重力場は次の重力方程式系によって記述される。1つは源方程式としてのアインシュタイン方程式 であり、もう1つは補助方程式としてのビアンキ恒等式 である。ビアンキ恒等式はゲージ理論的な場の方程式の導出法にしたがって導かれるので{}なるゲージ場の強さである曲率テンソル のふるまいを規定する場の方程式とみなせる。アインシュタイン方程式は場の強さの1次である作用積分 に変分原理を適用することで求まる。ゲージ理論的に導かれる源方程式は場の強さについて2次のラグランジアン密度を用いた作用積分から求まるので、アインシュタイン方程式はゲージ理論的な場の方程式とはいえない。この難点を解決する方法としてこれまでは、 を加えた修正ラグランジアン密度を用いた作用積分から導かれた場の方程式が提案されてきた。 我々は別のゲージ場である電磁場の方程式系 とのアナロジーから、適当な変数を導入して(1)-(3)を(6)-(7)の表記に近づけることが問題解決の糸口になると予想した。このことは非座標基底を用いた解析とそれにともなう非ホロノミー対象の導入によって可能となった。具体的にはまずビアンキ恒等式(2)(3)の生みの親であるヤコビ恒等式を非座標基底で解析することにより なる方程式を得た。これは(7)に対応している。次に非座標基底上の変分原理を用いることにより なる3個の方程式を得た。(11)と(12)は更に なる方程式に帰着できることが示せる。これは(6)に類似している。 重力場の性質は通常場の方程式を解き、その解を調べることでわかる。しかしながら(9)は解とは無関係に、重力場には固有の現象が存在することを示している。それは 1、重力場にはファラデー的な誘導現象がある 2、重力’磁気’単極は存在しない 3、重力場には拡張されたアンペール的な誘導現象がある などである。ファラデーの誘導現象の知識が発電機などの工学的応用を呼んで技術に革新がもたらされたように、重力の誘導現象も工学的に応用される可能性をもつ。 |