複素数体上のn次元射影空間をPとする。XをPの連結で非特異な閉部分代数多様体とするとき、古典的なレフシェッツ超平面切断定理は次のように述べることができる: 定理(1)Xの特異点をすべて含む超平面H及びi<nなる整数iに対し、相対ホモロジー群は となる。 (2)さらに相対ホモトピー群についても、i<nなるiに対して となる。 M.Raynaudはエタールコホモロジーに対する類似の結果を証明しており、これはエタール位相に関して上記定理の(1)に相当する。本論文では、高次エタールホモトピー群に対して、(2)に対応する結果を証明する。 証明のアイデアは、ホモトピー群に関する結果をコホモロジー群の定理に帰着させることである。すなわち、一種のWhiteheadの定理を示すことが主眼となる。 古典的なWhiteheadの定理では、位相空間の連続写像がホモトピー群の同型を導くとき、ホモロジー群の同型をも導くことを主張している。ところが、逆にホモロジー群の同型からホモトピー群の同型を結論付けるためには一般にそれらの位相空間が単連結であるという仮定が必要となる。 そこで、まずWhiteheadの定理を単連結でない場合に拡張し、さらにその拡張された結果を副対象の圏に拡張する。これは、エタールホモトピー群は1つの群ではなく、群の副対象となっているからである。 我々の必要とするWhiteheadの定理の一般化は次のとおりである。Cを群のセール類とするとき^で副C-完備化を表わすと、 主定理1 n2とする。f:X→Yを基点つき副CW複体X,Yの間の連続写像とするとき、次の3つは同値である。 (1)i<nなる任意のiにたいして であり、 は全射。 (2)^であり、任意の係数加群M∈Cに対して はq<nのとき同型で、q=nのとき単射。 (3)^で、対応するC-被覆(すなわち、の1(X)および1(Y)への逆像に対応するXとYの被覆)の射 および任意の係数加群A∈C(但し、基本群の作用は自明とする)に対して、 はq<nのとき同型で、q=nのとき単射。 この定理を用いることにより、エタールホモトピー群の場合のレフシェッツの定理はエタールコホモロジーの場合に帰着できる。 本論文の主結果は次のとおりである。 主定理2kを代数閉体とし、k上のn次元射影空間をPnで表す。Xをd次元の連結な非特異閉部分代数多様体とする。Xの特異点をすべて含む超平面Hにたいし、Y=X∩Hとおく。d3のとき、包含写像により誘導される準同型 はi<d-1のとき同型でi=d-1のとき全射になる。 なお、kの標数を含まない素数の集合Lに対し、,はそれぞれXとYのエタールホモトピー型の副L完備化を表す。及びはこれらのホモトピー型の高次元副ホモトピー群である。 |