学位論文要旨



No 113161
著者(漢字) 吉岡,草美
著者(英字)
著者(カナ) ヨシオカ,シゲミ
標題(和) 膜内在性輸送タンパク質の細胞内局在性とその性質の解析
標題(洋)
報告番号 113161
報告番号 甲13161
学位授与日 1998.03.30
学位種別 課程博士
学位種類 博士(学術)
学位記番号 博総合第159号
研究科 総合文化研究科
専攻
論文審査委員 主査: 東京大学 教授 庄野,邦彦
 東京大学 教授 林,利彦
 東京大学 教授 須藤,和夫
 東京大学 教授 赤沼,宏史
 東京都臨床医学総合研究所 部長 川喜田,正夫
内容要旨

 細胞は細胞膜によって外界との物質の授受を制限し、細胞内を生存に適した状態に維持している。細胞の内部にもまた、同様に膜で区切られた種々のコンパートメントが形成されており、それぞれ特異的な物質の合成や分解などの反応が効率よく行われている。そのような特異的な機能を十分に発揮させるために、種々の生体膜にはそれぞれ特異的な輸送体タンパク質が局在し、適切な内部環境を維持し、内部で進行する反応に必要な基質を過不足なく供給している。これらの輸送体はまた、基質の供給量の調節を通じて膜内の空間で起きる反応を制御する因子としても機能する可能性がある。したがって、輸送体タンパク質の細胞内局在性や反応機構、制御機構を明らかにすることは、生体膜の機能や生理的役割を解明する上で重要な手がかりとなる。輸送体タンパク質のこのような側面について詳しく検討するためには、特定のコンパートメントを形成する膜を単離し、純化することが有用である。このような観点から、本研究においては異なる細胞内局在性を持つ2種類の輸送体を対象に、精密細胞分画法の検討と抗体による輸送体の検出を中心に研究を行った。

 特定のコンパートメントに由来する膜小胞を単離することは、互いに異なる細胞内膜系に由来する膜小胞の物理的性質が似ている場合が多いため、必ずしも容易ではない。しかし物質輸送系の研究においては、純度の高い膜標品を調製する方法を確立することが解決のために非常に重要であるという性質の問題にしばしば遭遇する。そのために僅かな比重の差を利用した細胞分画法が種々考案されているが、それらの分画性能が十分であるかどうかについては個々のケースについて慎重に検討される必要がある。本研究で対象とした2種類の輸送体はいずれも、そのように厳密な細胞分画法の検討を通じて問題解決への手がかりを得ることができた事例であった。

 第一部で対象としたNa+/H+ Exchanger(NHE)は、ほとんど全ての動物細胞の形質膜に存在し、細胞外からの情報に基づいて細胞内のpHや浸透圧等の恒常性維持に関与する調節的機能を持つ一方、腎皮質上皮においてはNa+の再吸収という、大量の物質を輸送する機能も担っている。このようなNHEの機能の多様性が認識されるとともに、NHEには複数の分子種があり、それらの間で機能分担が行われているのではないかという考え方が生まれた。それはcDNAクローニングによる計5種類のisoformの発見によって実体を伴うものとなり、大きく進展した。すなわち、isoform cDNAの発現実験の結果、isoformごとに特異的阻害剤であるアミロライド及びその誘導体に対する感受性が異なることが明らかになった。また、極性化させた上皮組織由来細胞中の発現実験の結果から、isoformは特異的な細胞内分布を持っていることが示唆された。そして、ウサギやラットの腎皮質においては、側底膜にアミロライド高感受性のNHE1、刷子縁膜にアミロライド低感受性のNHE3がそれぞれ発現していることが明らかにされた。

 一方、我々の研究グループではウシの腎皮質を材料としてNHEの精製を進めてきたが、その過程でヒトNHE1のC末ペプチドに対する抗体と交叉するが、特異的阻害剤アミロライドに対して低感受性を示すNHEが部分精製されていた。典型的なNHE1ともNHE3とも少し異なる性質を示すこのNHEの実体とその分布の解明は、これまでほとんど明らかにされていないウシNHE分子種の特性や他の動物のNHEとの異同等を明らかにするための手がかりとなると考えられた。

 これらの問題を解決するために形質膜の分画法について種々検討した結果、Percoll密度勾配を用いて刷子縁膜と側底膜をほぼ完全に分離する条件が確立された。そして、NHE1とNHE3のC末ペプチド抗体を利用して、ウシ腎皮質のNHE分子種の細胞内分布について、他の動物種と同様に刷子縁膜にNHE3が、側底膜にNHE1が局在することが明らかになった。さらに、ウシ腎皮質のNHE1が他の生物種のNHE1とは異なり、特異的阻害剤アミロライドに対して感受性の低いユニークな性質を有していることも明らかになった。従来標準的な方法とされてきたショ糖密度勾配遠心法では比重差の小さい刷子縁膜と側底膜を完全には分離できず、局在性に関して正確な知見が得られない場合があることが明らかにされたことは重要である。またこの研究によって、容易に大量の材料を得ることができるウシ腎皮質から高純度の刷子縁膜と側底膜を調製できる条件が確立された。これは腎皮質形質膜の膜タンパク質の生化学的研究一般の進展にも寄与するものと考えられる。

 一方、第二部の研究の対象とした糖ヌクレオチド輸送体は、複合糖質の生合成において糖転移酵素の基質を細胞質からゴルジ内腔に輸送供給する重要な輸送体である。この輸送体の分子的実体は明らかにされていなかったが、我々の研究グループでは最近、UDP-ガラクトース輸送体及びCMP-シアル酸輸送体のものと推定されるcDNA(それぞれUGT cDNA及びCST cDNAと呼ぶ)の単離に成功した。しかしUGT cDNAはヒトゲノムDNAの断片をプローブとして得られたものであり、またCST cDNAはUGT cDNAとの類似性に基づいて単離されたものであるため、これらのcDNAが実際に輸送活性を欠損した細胞の変異表現型である糖鎖合成不全を相補する活性を持つかどうかは不明であった。また、これらが輸送体本体をコードするものであるか、または発現や安定性の制御等に関係する本体以外の因子をコードするものであるかを決定することも重要な課題であった。そのために、輸送体を発現させた培養細胞の表現型を調べ、さらに発現細胞のゴルジ膜を他の細胞内膜系から分離して、cDNA産物の分布と輸送活性の関連を明らかにしようと考えた。培養細胞のゴルジ膜を分画する方法はまだ確立されていないが、糖ヌクレオチド輸送体の反応機構、活性調節などの生化学的解析を展開して、糖鎖合成の制御における輸送体の役割を明らかにしていく上でも培養細胞ゴルジ膜の精製法の確立は特に重要であり、そのために、第一部で検討した精密細胞分画から、多くの有用な示唆を得ることができると期待された。

 cDNA産物の分布を明確にするために、UGT cDNA、CST cDNAのそれぞれの産物に対するC末ペプチド抗体を作成し、これらのcDNAの特異的産物がcDNA導入輸送体欠損株のミクロソーム画分に、また導入株の膜に限って発現していることを明らかにした。一方、ミクロソーム画分の糖ヌクレオチド輸送活性を測定したところ、各輸送体欠損株から得た膜には活性がなく、それぞれのcDNAの導入に依存して欠損していた活性が、野生株と同程度に回復することが示された。欠損株から得た膜においても、欠損輸送体の基質以外の糖ヌクレオチドの輸送活性には異常がなかった。さらに、特異的ペプチド抗体を用いた免疫蛍光法による細胞染色により、ヒトUGT cDNA導入マウス細胞中において、UGTタンパク質はGolgi 58 kDa proteinと同じ分布を示し、ゴルジ装置に局在することを明らかにすることができた。これらの結果によって、cDNA産物がそれぞれ輸送体の本体であることが強く示唆された。

 さらにUGTについて、輸送活性とUGTタンパク質の関連、及びその細胞内局在性を詳しく生化学的に調べる目的で、ガラクトース転移酵素、NADPH-cytochrome c還元酵素をそれぞれゴルジ膜、小胞体膜の示標酵素として細胞分画の条件を検討した結果、Percoll密度勾配遠心法を利用して両者の分布の違いを識別できる条件を確立することができた。そして、UDP-ガラクトース輸送活性、hUGTタンパク質の分布がガラクトース転移酵素の分布とほぼ完全に一致することを明らかにした。

 これらの結果は、cDNA発現系において大量に発現させた場合にもUGTタンパク質が本来の細胞内局在と同じゴルジ膜に局在することを示している。さらに、得られたゴルジ膜は生化学的に損傷を受けていない正しい方向性を持った膜であることが確かめられた。このことは、この発現系および分画法が、今後生化学的な解析を行う上で大きな有用性を持つことを示す重要な結果である。

 以上本研究においてはPercoll密度勾配遠心法を利用することによって、比重の差が小さく、分離が容易でない動物組織の刷子縁膜と側底膜や、これまで明確な分離例がなかった培養細胞の小胞体膜とゴルジ膜を分離する条件を確立することができた。その結果、それらの膜に存在する輸送体の局在性および実体について、NHEに関しては従来一部混乱していた理解を整理していくつかの新しい知見を得ることができ、また2種類の糖ヌクレオチド輸送体についてはcDNA産物の局在性とその活性を明らかにすることができた。膜タンパク質の細胞内局在性がそれらの機能、性質の理解のための重要な情報であることを考慮すると、本研究において分離の困難ないくつかの膜を分離する条件が確立され、またショ糖密度勾配遠心法との直接の比較においてPercoll密度勾配遠心法のすぐれた特性が示されたことは意義深いことと考えられる。

審査要旨

 本研究は、細胞内の異なる膜に局在する2種類の輸送体を対象として、精密細胞分画法の検討と特異抗体によるタンパク質の検出を中心に物質輸送系の実体をタンパク質レベルで生化学的に、厳密に明らかにし、物質輸送の研究のさらなる発展の基礎をおくことを目的として行われたものである。

 形質膜、オルガネラ膜など種々の生体膜にはそれぞれ特異的な輸送体タンパク質が局在して適切な内部環境を維持し、内部で進行する反応に必要な基質を過不足なく供給している。これらの輸送体はまた、基質の供給量の調節を通じて膜内でおきる反応を制御する因子としても機能する可能性がある。したがって、輸送体タンパク質の細胞内局在性や反応機構、制御機構を明らかにすることは生体膜の機能や生理的役割を解明するうえで重要であるが、そのためには特定のコンパートメントを形成する膜を単離し、純化することが不可欠である。細胞内膜系の単離、純化は、それらの物理的性質が類似している場合が多いために必ずしも容易ではないが、物質輸送系の研究においては、膜の純化が決定的に重要である場合が稀ではない。論文提出者は、このことを敷衍するかたちで、厳密な細胞分画法の検討に基づく輸送体の細胞内局在性の詳細な研究を通じて、生体膜研究の分野の進展に寄与する新しい知見を加えることに成功した。

 本論文は、第一部「ウシ腎皮質におけるNa+/H+ exchanger(NHE)isoformの細胞内局在性」、および、第二部「cDNA発現系における糖ヌクレオチド輸送体の細胞内局在性と性質の解析」の2部から構成されている。

 第一部の研究の特色は、厳密な細胞分画法の徹底的な追求にある。Na+/H+ exchanger(NHE)は、事実上全ての動物細胞の形質膜に存在し、細胞外からの情報に基づいて細胞内のpHや浸透圧等の恒常性維持に関与する調節機能と、腎皮質上皮におけるNa+の再吸収等の物質輸送機能の二面的機能を担う重要な輸送体である。NHEには複数のisoformがあり、それらの間の機能分担の実態に関心が寄せられてきた。各isoformは特異的な細胞内分布を示し、また、特異的阻害剤であるアミロライドおよびその誘導体に対する感受性が異なると考えられている。近年の研究によって、ウサギやラットの腎皮質においては側底膜にアミロライド高感受性のNHE1、刷子縁膜にアミロライド低感受性のNHE3がそれぞれ発現していることが明らかにされた。これに対してウシ腎皮質では、抗NHE1抗体と反応するタンパク質が刷子縁膜標品中に見出されるなどやや変則的な分布を示すことが示唆されており、その実態の解明が待たれていた。また、ウシ腎皮質のNHEはヒトNHE1のC末ペプチド抗体と交叉するが、アミロライドに低感受性であることが部分精製によって示唆されていた。典型的なNHE1ともNHE3とも若干異なる性質を示すこのNHEの実体とその分布の解明は、これまでほとんど明らかにされていないウシNHE分子種の特性や他の動物のNHEとの異同を解明するための手がかりを与えると考えられた。

 これらの問題を解決するために、論文提出者は形質膜の分画法について種々検討し、Percoll密度勾配を用いて刷子縁膜と側底膜をほぼ完全に分離する条件を確立した。そして、NHE1とNHE3のC末ペプチド抗体を利用して、ウシ腎皮質のNHE分子種の細胞内分布について検討し、他の動物種と同様に刷子縁膜にNHE3が、側底膜にNHE1が局在することを明らかにした。さらにウシ腎皮質のNHE1が他の生物種のNHE1とは異なり、特異的阻害剤アミロライドに対して感受性の低いユニークな性質をもつことも明らかにした。この研究を通じて従来標準的な分画法とされてきたショ糖密度勾配遠心法では比重差の小さい刷子縁膜と側底膜を完全には分離できず、局在性に関して正確な知見が得られない場合があることが明らかにされたことは重要である。

 ウシ腎皮質上皮細胞におけるNHE isoformの分布に関する第一部の結論は、結果的には他の動物種の腎臓の場合と同一であるというやや平凡なものとなった。しかし、一見十分な分離を与えているかに見えるショ糖密度勾配による分画パターンに問題があることを見抜くことがこの結論に至るうえで決定的であったことを考えれば、ここでさらに徹底した分画を追求した点に論文提出者の高い科学的能力と洞察力を見ることができるであろう。また、それとともに、第一部における膜分画法の確立によって第二部の研究の生化学的な基礎が固められたことも見逃してはならない点である。

 第二部は、生化学的な細胞分画に加えて細胞生物学的手法を導入することにより、cDNA cloningによってようやく実体が解明されはじめた糖ヌクレオチド輸送体タンパク質について詳しく解析した結果について述べたものである。

 糖ヌクレオチド輸送体は、複合糖質の生合成において糖転移酵素の基質を細胞質からゴルジ内腔に輸送供給する重要な輸送体である。論文提出者は、研究協力者のグループによって最近単離された、UDP-ガラクトース輸送体(UGT)およびCMP-シアル酸輸送体(CST)のものと推定される2種類のcDNAが実際に輸送活性を欠損した細胞の変異表現型である糖鎖合成不全を相補する活性をもつかどうか、また、それらが輸送体本体をコードするものであるかあるいは発現や安定性の制御等に関係する本体以外の因子をコードするものであるかを明らかにすることを第二部の課題とした。そしてそのために、輸送体欠損培養細胞中で輸送体を発現させてその表現型を調べ、さらに発現細胞のゴルジ膜を他の細胞膜系から分離して、cDNA産物の分布と輸送活性の関連を明らかにしようと試みた。培養細胞のゴルジ膜を分画する方法は十分に確立されていないが、糖ヌクレオチド輸送体の反応機構、活性調節などの生化学的解析を展開して糖鎖合成の制御における輸送体の役割を明らかにしていくうえで、培養細胞ゴルジ膜の精製法の確立はきわめて重要な課題の一つである。

 論文提出者は、cDNA産物の分布を明確にするためにUGT cDNA,CST cDNAのそれぞれの産物に対するC末ペプチド抗体を作成し、これらのcDNAの特異的産物がcDNA導入輸送体欠損株のミクロソーム画分に、また導入株の膜に限って発現していることを明らかにした。一方、ミクロソーム画分の糖ヌクレオチド輸送活性を測定し、各輸送体欠損株から得た膜には活性がなく、それぞれのcDNAの導入に依存して、欠損していた活性が野生株と同程度に回復することを示した。欠損株から得た膜においても、欠損輸送体の基質以外の糖ヌクレオチド輸送活性には異常がなかった。さらに、特異的ペプチド抗体を用いた免疫蛍光法による細胞染色により、ヒトUGT cDNA導入マウス細胞中において、UGTタンパク質はGolgi 58kDa proteinと同じ分布を示すこと、CST導入細胞中ではCSTタンパク質がGolgi mannosidase IIと同じ分布を示すことが明らかになり、両者ともにゴルジ装置に局在することが明確に示された。これらの結果に基づいて、cDNA産物がそれぞれの輸送体の本体であることが明らかにされたということができる。さらに論文提出者は、UGTについて輸送活性とUGTタンパク質の関連およびその細胞内局在性を詳しく生化学的に調べる目的で、第一部における生体膜分画法の検討の豊富な経験を基礎として、細胞分画の条件を詳しく検討した。そして、Percoll密度勾配遠心法を利用してゴルジ膜と小胞体膜を分離する条件を確立することに成功した。その結果、ヒトUGT発現マウス細胞中で、UDP-ガラクトース輸送活性、ヒトUGTタンパク質の分布が小胞体膜のマーカーであるNADPH-cytochrome c還元酵素と分離し、ゴルジ膜のマーカーであるガラクトース転移酵素の分布とほぼ完全に一致することが明らかになった。

 これらの結果は、cDNA発現系において大量に強制発現させた場合にもUGTタンパク質が本来の細胞内局在部位であるゴルジ膜に組み込まれることを示している。また、得られたゴルジ膜は生化学的に損傷を受けていない正しい方向性を保持した膜標品であることも確かめられている。これらのことは、この発現系および分画法が、今後生化学的な解析を行ううえで大きな有用性をもつすぐれたものであることを示す重要な結果であると考えられる。

 以上本研究において論文提出者は、比重の差が小さく、分離が極めて困難な動物組織の刷子縁膜と側底膜や、これまで明確な分離例がなかった培養細胞の小胞体膜とゴルジ膜を分離する条件を確立した。その結果、それらの膜に存在する輸送体の局在性および実体について、NHEに関しては従来一部混乱していた理解を整理していくつかの新しい知見を得ることができ、また2種類の糖ヌクレオチド輸送体についてはcDNA産物の局在性とその活性を明らかにして研究の展開の基礎を据えることができた。膜タンパク質の細胞内局在性がそれらの機能、性質の理解のための重要な情報であることを考慮すると、本研究において分離の困難ないくつかの膜を分離する条件が確立され、また、標準的な細胞分画法として現在もなお多用されているショ糖密度勾配遠心法の問題点が指摘され、しかも代替法としてのPercoll密度勾配遠心法のすぐれた特性が両者の直接の比較において示されたことは、生体膜の生化学の分野全般にとって極めて意義深いことと考えられる。

 このような膜生化学分野全般をカバーする意義とならんで、本研究の特に第二部において報告された糖ヌクレオチド輸送体cDNAの発現およびcDNA産物の解析に関する成果は、世界的に見てもこの研究分野全体をリードするすぐれた成果であり、この発現系を用いた今後の多様な研究の展開を用意するものとして、その将来性を含めて高く評価することができる。

 本研究成果がまとめられるまでには多数の研究協力者の関与があったが、研究全般を見るとき、最も大きな貢献は吉岡草美氏によるものであると考えられる。よって本論文は博士(学術)の学位請求論文として合格と認められる。

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