結果 1)正常被験者;FDIでは、正常者20例中19例で、刺激間隔1-5msで有意な抑制効果が見られた。average size ratio(1-5)の平均(±SE)は、0.38±0.13であった。磁気刺激によりD-waveが誘発される1例では抑制効果は得られなかった。同じ条件刺激はH波及び大脳電気刺激による反応は抑制しなかった。SCMの場合にも刺激間隔1-5msで抑制効果がみられた。刺激間隔1-5msでのaverage size ratioの平均(±SE)は、安静状態では0.59±0.07であり、弱収縮時では0.64±0.04であった。
2)不随意運動を呈する患者
a.)ミオクロヌースてんかん;全例で抑制効果がみられずaverage size ratio(1-5)の平均(±SE)は0.91±0.17と正常者より有意に大きかった。
b.)基底核病変により不随意運動が出現した患者;3例とも抑制効果が消失していた。[average size ratio(1-5)は、1.76、1.40、1.15]
c.)特発性痙性斜頚;SCMを被検筋とすると有意な抑制効果はみられず、average size ratio(1-5)の平均(±SE)は0.86±0.06であった。症状の見られないFDIでは正常被験者と同様の抑制効果がみられた。
d.)舞踏運動;全例において有意な抑制効果が得られ、ハンチントン病でも抑制効果がみられた。average size ratio(1-5)の平均(±SE)は、舞踏病全例では0.47±0.11、ハンチントン病では0.48±0.13であった。
e.)本態性振戦;振戦を呈したFDIとSCMの両方で正常被験者と同様の抑制効果がみられた。
3)脳血管障害;感覚野の病変例では抑制効果が正常と有意な差がなく、補足運動野の病変がみられた1例では、抑制効果が消失していた。[average size ratio(1-5)は1.05]
4)脊髄小脳変性症;全例で正常者と同様の抑制効果が得られた。