(4)測定方法 実験1:実験条件は6種類に分けた:ヒールのみ、ロッカーバーなしで、1)標準型ヒール2)トーマス型ヒール3)逆トーマス型ヒールついで、ヒールとロッカーバー(MP関節の後方1cmに取り付け)を同時に付け、4)標準型ヒール+バー5)トーマス型ヒール+バー6)逆トーマス型ヒール+バー。
60×40cmの一歩型床反力計を中央に設置した7.5mの歩行路上を使用した。各対象者はメトロノーム(歩行率100steps/min)に合わせて歩き、5歩目に測定する足が床反力計に乗るようにした。上記の実験条件1),2),3),4),5),6)の順番で、右足5回、左足5回の歩行を行い、左右で測定した。データはPEAK5動作解析ソフトにて、サンプリング周波数120Hzで取り込み、床反力の代表ベクトルの作用点軌跡を描出した。同時に記録した靴型と合わせ、踵部と第2趾を結ぶ足軸と基に、作用点軌跡との間の面積(E)を測定した。この面積の大きさは体重心に向かう床反力作用点のぶれに関係がある。即ち、面積が大きくなると、歩行時、立脚相での足底における床反力作用点の軌跡は外側に移動する。反対に、面積が小さくなると、立脚相での足底における床反力作用点の軌跡は内側に移動する。この面積Eの変化を評価し、歩行時のヒールの違いによる靴底における作用点軌跡の影響を検討した。
実験2:実験条件はやはり6種類に分けた:まず、ヒールのみで、ロッカーバーなし:1)標準型ヒール2)トーマス型ヒール3)逆トーマス型ヒール、それから、標準型ヒールとロッカーバーを同時につけ:4)標準型ヒール、ロッカーバーはMP関節直下に取り付け5)標準型ヒール、ロッカーバーはMP関節の後方1cmに取り付け6)標準型ヒール、ロッカーバーはMP関節の前方1cmに取り付け。
今回の実験で、ヒールの効果(後足部要素)を知るため、1),2),3)を設定した。また、ロッカーバーの取り付け位置による効果(前足部要素)を知るため、4),5),6)を設定した。データをとる際の順番も、1),2),3),4),5),6)の実験条件で、着靴時の自由立位時(静的状態)と歩行時(動的状態)の足底圧をとった。被験者に試歩行靴にあったサイズの足底圧測定用のインソールを挿入した。立位時(重心の置き方の指示なし)、開脚度は5cm幅で、10秒間測定した。歩行時、20mの歩行路上で、歩行率1分105歩、メトロノームにあわせ、15歩の足底圧データをとった。
立位時の足底圧の変化を知るために、足部を後足部、中足部、前足部にわけ、さらに足軸方向に2分割し、合計6つの領域における足底圧を観察した。一方、歩行時のデータから、足軸方向にて内・外側を2分し、踵接地からつま先離地まで、この内・外部分における足底圧の時間変化を観察した。