FEMやFDMなどの数値解析にメッシュ生成が必要である。ぞのメッシュ生成のプリプロセスに莫大な時間と労力がかかることはまだ統合化のCAEのボルトネックとなっているといえる。この問題を打開するために、メッシュ自動生成法と違う方向で、ボクセル解析法とメッシュレス法が研究されてきて、注目を浴びている。ボクセル解析がボクセル情報から規則的なメッシュを作ることで、プリプロセスが極めて簡単、3次元のどんな形状でも高速的にメッシュを確実に生成できる。けれども、境界表現や精度コントロールなどはまだ研究途上となっている。一方、メッシュ生成を避けるメッシュレス方法として、EFG、PUFEM、hp-Cloudなどが提案されて、メッシュ生成の必要のない新しい解析方法が出てきたが、理論的にも実用的にもまだ課題を抱えている。特に、境界条件の処理、必要な精度の積分の効率、一次独立性の問題などがメッシュレス法の実用化を妨げている。 最近、FCM法が提案されてきた。FCM法は被覆分布が規則的であるため、プリプロセサスがボクセル解析と同じ簡単で、数学領域と物理領域を分離しているので境界処理がボクセル解析より合理的に有効である、しかも、被覆関数の次数で解析精度もコントロールできる。しかし、今までの研究ではすべての要素が統一的であるため、ローカルで要素のサイズが調整できていない。そのため、場合によってp法より有効なh法が実現できていない。 本論文では、このFCMの理論枠を一般化した上で、PU(Partition of Unity)による形状関数を作る場合に対して一次独立性を検討し、二つの充分条件を提案した。さらに、ローカルでh法もp法も実現できるように、CLSA(Cover Least Square Approximation)を提案し、ボクセル情報を利用したマルチスケールの被覆法を開発した。 FCM法は被覆システムで構築されたFCM近似空間でPDEの近似解を求める。被覆システムは数学被覆、物理被覆と被覆関数及びウィンドファンクションに構成されている。数学被覆が物理領域と分離して分布される。ウィンドファンクションで被覆近似を局部化し、PUやCLSAなどの方法で全領域のFCM近似空間を構築する。PDEが数学被覆領域でなく、物理被覆領域上で満足されることで、近似解を求める。 数学被覆 ⊂Rnを解析領域とし、{}i=1,2,…,NC を次の条件を満たすカバーとする。 上で関数空間()を定義する。をこの関数空間の基とする。(,)を数学被覆と、を数学被覆領域という。 物理被覆 ∂をの境界及び不連続面とする。数学被覆領域が∂でKi個の子領域ikに分割された場合、(ik∩)を物理被覆領域と呼ぶ。各子領域に対してKi個の近似関数を定義し、被覆関数と呼ぶ。 i番目の物理被覆をと書き、相当の被覆関数を次のように書く。 すると、各物理被覆上で次のローカルの近似空間が構築できる (,)を物理被覆と、iを被覆関数と呼ぶ。 グローバル近似 被覆のローカル近似からグローバル近似の構築方法として、本論文ではPU法とCLSA法を用いる。一般的に、次のように記述する。 ここで、Pがローカル近似空間からグローバル近似空間への映写である。P より構築したグローバル近似空間が次の条件を満たさなければならない。 V⊂VN()が解析に必要な関数空間である。たとえば、H1。 ,hはメッシュサイズである。 ウィンドファンクション グローバル近似関数空間を構築する時、被覆関数の局部化と被覆間の結合とのために、被覆ごとにウィンドファンクションを定義する。PU法では、重み関数wiを用いる。CLSA法では、influence degree function wi(あるいは重み関数と呼ぶ)とlocalization factor function iを用いる。 PU法と一次独立性 PU法でグローバル近似関数が次のように作られる。 通常の線形重み関数を用いるときに、グローバル近似関数の一次独立性が失われる可能性があることが判った。それに対して、本論文では一般的な充分条件を挙げたほか、より実用的な重み関数でのもう一つの充分条件を提案した。 CLSA法 CLSA法はメッシュレス法の一種である。ある点で近似値を求める時、次の汎関数を用いる。 ここで、 J(a())を最小化することにより、a()が決められる。 a()をu1(x,)に代入して近似を求める。 本論文では、CLSA法のinterpolatoryや一次独立性などの性質を分析した。 被覆は、マルチスケールのボクセル情報を利用してマルチスケール的に分布される(図1)。これに三つの利点がある。まず、分布生成(メッシュ生成)が完全自動的に確実に実現できる。そして、多数の要素がまったく同じパラメータを持っていることを利用して、要素グループの概念(図2)を導入し、計算時間とメモリのコストを下げることが可能となる。つまり、一つの要素グループに対して、要素剛性マトリクスの計算が一回だけで、保存も一つだけである。更に、ボクセルのサイズで被覆分布の疎密度をローカル的に調整し、解析精度を向上することができる。ボクセル情報で生成したマルチスケールの被覆分布の中に不適合要素が存在する。この不適合要素を処理するために、CLSA法を導入したのである。 図表図1 Multi-scale cover distribution using multi-scale voxel information / 図2 Element Group 弾性解析にボクセル情報を利用したマルチスケール被覆法を適用し、解析例題でマルチスケール被覆法の実用性を示した。図3は一つの二次元の例題で、図4は一つの三次元の例題である。 図表図3 mesh and Computed result of y for a2D plate with hole / 図4 mesh and computed result of u for a 3D plate with hole |