2.調査内容 1)基本属性:性、年齢、婚姻状況、最終学歴、発作の回数、診断名、利き手、病巣側、就労状況、支払方法、身体障害者手帳の級、年収、主な介護者、今回の発症日、入院日、同居家族数についてカルテより情報を収集した。
2)ADL(Activity of Daily Living):FIM(Functional Independence Measure)の運動項目にて測定した。
3)認知能力:MMSE(Mini-Mental State Examination)にて測定した。
4)ストレス:研究者作成による、障害によるストレスの認知的評価表(CADS; Cognitive Appraisal of Disability for Stroke)にて評価した。
5)コーピング行動:(1)コーピング行動の主観的評価はJCS(Jalowiec Coping Scale)にて測定した。下位尺度は直面志向型(Confrontive)、情動志向型(Emotive)、回避志向型(Palliative)から成る(下位尺度名の日本語訳は研究者による)。(2)コーピング行動の客観的評価を活動度変数(臥床時間、専門リハ回数、自己リハ回数、外出回数、社会的交流回数、福祉サービス利用数)として操作的に定義し、T2、T3の2時点において面接前2週間の生活状況から得点化した。
6)QOL(Quality of Life):CLS(Cantril Life Satisfaction)にて測定した。
3.分析方法 まず、障害によるストレスの認知的評価表について、初回面接者105人を対象に、因子分析による構成概念妥当性、クロンバックによる内的整合性の検討を行った。
次に、3回目まで継続的に面接を受けた5人を対象に、ストレスの認知的評価とコーピング行動の経時変化の特徴について、反復測定による分散分析(Repeated Measures ANOVA)、多重比較(Tukey法)により検討を行った。
更に、FIM(運動)70点、MMSE24点を層別の基準点とし、退院時のADLと認知能力により、障害度別に「軽度障害群(自立・高認知)」、「認知障害群(自立・低認知)」、「運動障害群(要介助・高認知)」、「重度障害群(要介助・低認知)」の4群に対象者を類型化し、各群における経時変化の特徴を、反復測定による分散分析、多重比較(Tukey法)により検討を行った。
基本属性の比較検討には、2検定、t検定、一元配置分散分析を用いた。