学位論文要旨



No 116776
著者(漢字) 中村,豪
著者(英字)
著者(カナ) ナカムラ,ツヨシ
標題(和) 他者知識の活用と日本企業の研究開発活動
標題(洋) Exploiting Others' Knowledge and Corporate R&D Activities in Japan
報告番号 116776
報告番号 甲16776
学位授与日 2002.03.15
学位種別 課程博士
学位種類 博士(経済学)
学位記番号 博経第150号
研究科
専攻
論文審査委員 主査: 東京大学 助教授 柳川,範之
 東京大学 教授 神谷,和也
 東京大学 教授 神取,道宏
 東京大学 助教授 松井,彰彦
 東京大学 助教授 松村,敏弘
内容要旨 要旨を表示する

 内生的経済成長理論の発展に伴い、企業の研究開発活動が経済成長の源泉として注目を浴びている。特に強調されている点は、研究開発によって生み出される知識が外部性を持ち、研究開発を行った経済主体以外にとっても利用可能であることである。研究開発によって生み出された知識が他者の研究開発を促し、その結果技術進歩が継続的に実現され、ひいては持続的な経済成長が実現する。これが、研究開発に基礎をおいた経済成長理論の要点である。

 この理論的な発展を受けて、研究開発の外部性を検証する実証分析が数多く出された。本論文においてなされた分析は、全てそれらの先行研究を踏まえ、さらに他者が生み出した知識がどのように企業の研究開発に役立っているのか、そのメカニズムを捉えようという試みである。先行研究によれば、研究開発の外部性は存在するが、他者の研究開発の成果を利用するには様々な障壁があり、必ずしも自由に外部知識を利用できるわけではない。この場合、企業が外部知識を活用するときの障壁を緩和するために、どのような努力や工夫を行っているかが問題になる。そこで本論文は、企業の研究開発活動に関する詳細なデータを用い、企業がより多くの外部知識を利用するために役立つと考えられる要因を探ることを目的とする。

 第一章においては、企業の研究開発の外部性に関して、既存の実証分析を概観する。知識のスピルオーバーを検証は、企業が潜在的に利用できる外部知識の変数を定義した上で、それが企業の生産性や研究開発の成果に影響するかどうかを見るという手法によって行われる。特にJaffe(1986)が提唱した技術的な緊密さをウェイトとした外部知識は、従来の財や資本ストックの購入をウェイトとしたものに比べ、純粋な知識のスピルオーバーをよりよく反映しており、その後の実証研究においても多く採用され、様々な国・産業において知識のスピルオーバーが存在することが示された。

 しかし、ある種の知識についてはスピルオーバーが完全ではないことも示されている。大学で行われるような基礎科学研究の成果は、地理的に離れた場合にはスピルオーバー効果が弱いという結果がJaffe(1989)において示されている。また、Branstetter(2001)では日本とアメリカの企業データを用い、国内のスピルオーバーに比べて海外からのスピルオーバーは有意に弱い影響しか持たないことが確かめられた。

 知識のスピルオーバーが完全ではないため、企業が外部知識を利用するためには何らかの努力ないし工夫が必要になる。Cohen and Levinthal(1989)は、研究開発活動の役割は、新技術を生み出すことだけでなく、外部の知識を利用するための能力を向上させることにもあることを指摘したが、さらに直接的な研究協力も、外部知識の活用に貢献していると考えられる。Zucker, Darby, and Brewer(1998)などでは、バイオテクノロジーの分野において、高い業績を挙げている専門研究者との協力が、バイオ企業の研究開発活動に寄与することを検証している。またBranstetter and Sakakibara(1998)では、研究開発組合に参加することが、参加企業間のスピルオーバーを促進するため、参加企業の研究開発生産性が高まるという分析がなされている。

 これらの先行研究を踏まえ、第二章ではまず大学・企業間の共同研究の役割を検証した。基礎科学研究の成果は、その商業化に当たって専門知識の理解が必要であり、企業の研究開発活動において利用されるには、困難が生じると考えられる。そこで、企業が大学等に所属する専門研究者と共同研究を行うことで、そのような困難が緩和され、基礎科学研究の成果を有効に活用することで、企業の研究開発の生産性が高められることが予想される。

 企業と大学等との共同研究については、先行研究においては企業の立地と大学の立地の近さを指標とするものが多いが、本章ではより直接的な指標によってその頻度を計測する。企業が出願した特許の中には、共同出願者あるいは発明者という形で大学等に所属する研究者の名前が見受けられるものがあり、これらは企業と大学等との間でなされた共同研究の成果を反映しているはずである。従って、各企業の特許中に現れた研究者の数によって、共同研究の程度を見ることが出来ると考えられる。共同研究が知識の伝達メカニズムとして働き、大学から企業へのスピルオーバーを促進しているとすれば、共同研究の程度が高いほど企業のイノベーションの成果が高まるはずである。

 この点を検証するために、日本の主要な化学系企業30社について、1982-1991年のデータを用いてパネルデータ分析を行った。その結果、共同研究は企業の特許出願に対して有意に正の効果を与えていることが認められた。また、学術論文数から作成された基礎的知識ストックとの交差項が有意に正であることから、知識のスピルオーバーを促進していることがよりはっきり窺える。その一方で、それぞれの研究者の発表論文数でウェイト付けしたものを共同研究の指標として用いた場合、有意ではない正の効果が観察された。さらに、企業の生産関数に対する影響を見たところ、共同研究の指標はいずれも有意に正の効果を持っており、これらの推定結果を総合すれば、企業と大学間の共同研究が、企業の研究開発活動に貢献していると結論される。

 第三章では、外部知識の利用と、企業が研究開発活動を多角化することとの関連を分析する。研究開発の多角化が企業に利益をもたらすのは、ひとつには企業内における知識のスピルオーバーが存在し、ある分野で行った研究の成果が、ほかの分野の研究開発に資することに由来する。しかし、もし企業外からのスピルオーバーが存在すれば、他分野の知識は必ずしも企業の内部に蓄積されていなくても、研究開発を行う上で役立つはずである。従って、研究開発の多角化が利益をもたらすのは、外部の知識を利用するには多大な困難を伴う場合であり、もし外部知識の利用が容易であれば、複数の研究開発分野を企業内に保持する意義は小さいものになると考えられる。

 そこで、研究開発の多角化の度合いを表す指標を定義して、それが外部知識の利用しやすさに応じて、研究開発に影響することを示そうというのが本章の目的である。多角化については、「副業」の特許出願に占めるシェア、及びハーフィンダール指数という伝統的な指標に加え、バイオテクノロジー・エレクトロニクスといった新興分野の特許出願に占めるシェアを用いている。複数の指標を用いることにより、推定結果が頑健であるかどうかを検証できる。また外部知識の利用しやすさについては、特許を共同で出願した相手先数で評価する。これは不完全ながら共同研究の活発さを反映した指標であると考えられ、共同研究が盛んであるほど、様々な企業から知識のスピルオーバーを受けられるという意味で外部知識の利用しやすさを表す。

 以上の変数を用いて、日本の主要な化学系企業32社について、1985-95年のデータを用いてパネルデータ分析を行った。その結果、共同研究が盛んであるほど、多角化が研究開発の効率性に及ぼす影響が低下することが示された。しかし、推定値に基づいて多角化の影響の最小値を計算すると、その場合でも正の効果を持つことが確かめられた。これも3種類の指標全てに関して共通の結果である。

 第四章では、海外で生み出された知識を利用するために、技術導入契約が果たしている役割を分析している。先行研究で、海外からの知識のスピルオーバーは、国内でのスピルオーバーに比べ極めて小さいものであることが示されている。一方海外からの技術導入は、当該技術や関連する技術についての知識をもたらす。そこで、海外からの知識のスピルオーバーが弱いという状況では、技術導入によって元来は利用が困難であった知識を利用できることになり、その結果研究開発の生産性が高まると考えられる。

 このことを、200社あまりの日本企業のデータを用いて検証した。対象とした企業は、化学または電機産業に属する企業であり、推定期間は1982-88年である。推定の結果、いずれの産業においても技術導入は有意に研究開発に寄与することが示されたが、その影響の大きさについては産業によって異なる結果が得られた。すなわち、化学産業における技術導入の影響は、電機産業と比べて有意に強いものであった。この2つの産業は、いずれも研究開発・技術導入に積極的であるが、日本の化学産業は欧米に比べると技術力で劣ると見られているのに対し、電機産業は日本の方が技術的に優れていると見なされているという違いがある。従ってこのような結果の差異は、国際的に見て技術水準が低い産業であるほど、技術導入によって海外から進んだ知識を得ることの利益が大きいことを意味していると解釈される。この結果はどのような推定方法を用いるかに関わらず観察されており、頑健な推定結果であると言える。

 さらに、同じ電機産業内でも、売上高に対して研究開発投資の少ない企業にとっては、技術導入の効果がより強く見られるという結果が得られた。売上高に対する研究開発支出の比率は、しばしば各企業の研究開発能力の指標として用いられる。故にこの結果は、電機産業内では研究開発能力の低い企業が、その技術力を高めるためには海外の知識に頼る意味が大きいことを示唆している。一方化学産業について同様の比較を行うと、研究開発能力の高低は、あまり技術導入の効果の大小には関係ないことが観察され、化学産業においては研究開発能力の高い企業であっても、海外から技術知識を獲得することの意味が大きいと考えられる。

審査要旨 要旨を表示する

 本論文は、経済の発展にとって重要な役割を果たす、研究開発活動における知識のスピルオーバーの問題を、日本のデータを用いて分析した意欲的な論文である。研究開発活動においては、そこで生み出された知識や情報が他者の研究開発活動に貢献しさらに研究活動を促進するという、知識のスピルオーバー効果が重要であるとされる。特に、近年活発に議論が行われてきた内生的経済成長理論においては、この効果が成長の源泉のひとつとして位置付けられており、理論的にも実証的にも大きな関心を集めている。そのため、スピルオーバーが実際どの程度かについて、実証分析が活発に行われてきた。しかし、スピルオーバーの程度は、実際には外生的に決まっているものではなく、企業がどのような工夫や努力を行うかによって、変化するものである。そこで本論文では、どのような企業活動が他者の知識をスピルオーバーさせる上で有功かを、日本企業のデータを用いて詳細に検討している。

 本論文の構成は以下のようになっている。

第一章 Review on Empirical Studies on Corporate R&D Activities and Knowledge Spillovers

第二章 Knowledge Spillovers through University-Firm Joint Research Projects

第三章 The Role of R&D Diversification in Exploiting Knowledge Spillovers

第四章 International Knowledge Spillovers and Technology Imports

 なお、第四章の論文は、Journal of Japanese and International Economics,というレフェリーつきの国際学術雑誌に掲載され、高い評価を受けているものである。

各章の内容の要約・紹介

 各章の内容を要約・紹介すると以下のようになる。

 まず、第一章では、研究開発活動における外部効果について行われてきた既存の実証分析について詳細かつ分かりやすいサーベイが行われている。研究開発活動の持つ外部性効果、より具体的には知識のもつスピルオーバー効果については、内生的経済成長理論の発展によって、注目を浴びるようになった。それは内生的経済成長理論が、研究開発活動に関するスピルオーバー効果が、成長を促す大きな要因になっていることを理論的に明らかにしたからである。その結果、実際どの程度のスピルオーバー効果が働いているかについて精力的に実証分析が行われるようになった。

 第一章では、これらの実証分析のなかでJaffe(1986)の論文をエポックメーキングの論文と位置付けサーベイを展開している。それは技術的な緊密の程度がスピルオーバーの度合いに影響を与えるという判断から、技術的な距離の度合いでウエイトづけして実証分析をしたものである。本章では、この論文以降飛躍的に増大したこの分野の文献について、分かりやすい整理が行われている。特に、本論文の大きな課題となっている、外部知識を利用するためには、どのような努力ないし工夫が必要かという観点から、手際の良い整理が行われている。

 第二章以降では、第一章で行われた過去の分析のサーベイを踏まえて、日本のデータを用いた実証分析が展開されている。第二章で行われている分析は、大学と企業との間で行われている共同研究開発が、知識のスピルオーバーにどのように影響を与えるかについての実証である。用いられたデータは、日本の化学系企業についての1982年〜1991年までのデータであり、それを使ってパネル分析が行われている。

 他者の研究開発の結果得られた知識は、何もせずにスピルオーバーしてくるものではない。特に基礎研究が主に行われている大学と応用研究が主に行われている企業との間では、知識のスピルオーバーを促進させるためには、何らかの工夫が必要と考えられる。そこで本章では、大学と企業の間の共同研究開発が、その工夫のひとつなのではないかと推測する。そして、共同研究と企業の生産性との間になんらかの関係があるのかどうか検討している。

 共同研究開発の度合いを表す代理変数として、この論文では各企業の特許中に現れた研究者の数を用いている。これは過去の文献で用いられることの多い、大学と企業の間の立地的距離に比べて、(特に日本の分析を行ううえでは)より適切な指標と考えられる。この指標を用いて日本の化学系企業30社について分析を行った結果、共同研究は企業の特許出願に対して正の効果を与えていることが確認された。また、企業の生産関数に与える影響も検討しており、生産関数に対しても、共同研究の指標は正の影響を与えていることも確認している。これらの結果を踏まえて本章では、企業と大学の間の共同研究が、企業の生産性に貢献していると結論づけている。

 第三章では、研究開発活動の多角化という側面に注目している。ここでは、企業が多角的な研究活動をする理由として、他分野の知識が企業内でスピルオーバーするメリットを考えている。つまり他分野の知識や情報を効率的に利用するために、多角化が行われていると考えるのである。もしもそうだとすると、多角化と研究開発活動の成果との関係は、企業外からの知識のスピルオーバーの程度に依存すると考えられる。なぜならば、外部から容易に知識を得ることができるならば、多角化を行って企業内で情報をスピルオーバーさせる必要は相対的に小さくなると考えられるからである。

 このような観点から、この章では研究開発活動の多角化の度合いおよび外部知識の利用のしやすさが研究開発活動の効率性にどのような影響を与えるかを実証分析している。多角化の度合いを、「副業」の特許出願に占めるシェアなどの複数の指標を、外部知識の利用のしやすさについては、特許を共同で出願した相手先数で評価している。データとしては、日本の化学系企業32社の1985年から1995年のデータを用いて分析している。その結果、共同研究が盛んであるほど、多角化が研究開発の効率性に及ぼす影響が低下することが示されている。

 第四章では、海外からの技術知識のスピルオーバーに注目している。海外からの知識については、国内からの知識に比べてスピルオーバーの程度が小さいことが知られている。そのため、海外からの知識の導入においては、技術導入契約の果たす役割が大きいと考えられる。そこでこの章では、日本企業200社あまりのデータを用いて、海外からの技術導入が研究開発の与える影響について実証分析を行っている。

 用いられた企業は日本の化学および電機産業に属する企業では、推定期間は1982年から1988年である。実証分析の結果、いずれの産業においても技術導入は研究開発に寄与することが確認されている。また、より興味深い点として、化学産業における技術導入の影響の方が、電機産業における技術導入の影響に比べて大きいことが確認された。この点は、電機産業のほうが化学産業に比べて日本企業の国際的な技術水準が高い点と合わせて考えることによって、国際的な技術水準の格差があればあるほど、技術導入によって海外の知識を得ることのメリットが大きいという結論を得ている。

論文の評価

 本論文がとりあげたテーマは、国際的にみて注目度の高い研究分野であり、また現在の日本企業のあり方を考えていく上でも重要なトピックスである。したがって、本論文のテーマは、学術的にみてもあるいは実態経済の面からみても、重要性の高いものであり、それに対して、正面から取り組んだ本論文の分析は高く評価できる。そもそもわが国においては、日本企業に関するマイクロデータを用いた実証分析は不足しており、このような形で独自にデータを整備し、その結果をきちんとした形で実証分析することは、ファクト・ファインディングという観点からみても、十分意義のあるものだといえ、その意味でも本章の取り組みは重要なものであろう。

 本論文がとりあげている研究開発における知識のスピルオーバーというポイントは、本論文が強調している内生的成長理論の基礎づけという目的のためだけではなく、企業の技術革新への影響や、産業構造問題への示唆など幅広い問題を検討、分析するうえでも重要なものである。したがって、本論文の分析結果は、かなり幅広い分野や問題に対して、今後影響をもってくると思われる。

 より具体的には以下の点について本論文には独創的な貢献が認められる。まず、第一章については、知識のスピルオーバーについての実証分析という、わが国ではまだあまり知られていない新しい分野についてのサーベイが的確に行われている。このサーベイはそれだけを取り出して読んでも、十分に研究の流れが把握できるものになっており、また、本論文の問題意識をそこから浮かびあがらせることにも成功している。

 第二章以下の実証分析については、単なるファクト・ファインディングにとどまらず、いくつかの重要な含意をそこから導きだすことに成功している。第二章の分析においては、大学と企業の間での共同研究の重要性を改めてデータで示す結果となっており、今後の産学協同研究の重要性を示唆するものである。分析の手法としては、共同研究の緊密さの度合いを、特許中に現れた研究者の数で計るという新しい視点を導入した点に、独創性が認められる。この点は、物理的距離のもつ意味合いがアメリカと異なる、日本国内の知識移転問題を考えるうえでは重要な貢献であるといえるだろう。

 第三章の多角化についての分析についても、多角化戦略を外部知識の利用可能性との関連で捉えるという興味深い視点が展開されている。このような視点は、より根源的には企業の境界をどう考えるかという重要であるが困難な問題への解明にもつながるものであり、重要な視点であろう。また、分析結果についても、明確な結論が得られている。

 第四章に海外からの技術導入と企業内の研究開発活動との関連についての興味深い分析がなされている。この点についてはわが国だけではなく、国際的にみても、まだまだ分析が不足している興味深い問題であり、それに対して、明快な実証結果を導出したことの意義は大きいといえよう。特に、産業ごとに技術導入のもつ意味合いが違いことを国際的な技術水準の違いから説明したことや、同じ電機産業内でも、独自の研究開発に相対的に資金を投入している企業とそうでない企業とで、技術導入の成果が異なることを明らかにしたことは、非常に重要な結論であろう。これらの結論によって、そもそも企業は知識をどのような形で取得し、それをどのような形で生かしているのかについて、重要かつ新たな視点を得ることができよう。

 このように本論文は研究開発の問題について、新たな情報と視点を提供する、優れた実証分析であるが、改善しうる点が、残されていないわけではない。まず実証分析については、筆者自身が整備した統計データから考えると、もう少しさまざまな観点から実証分析をし得る余地が残されているように思われる。たとえば、因果関係の検証などはもう少し丁寧な分析も可能であろう。また、パネルデータの特性をより生かした実証分析が可能なのではないかという意見もあった。また、記述の面については、第2章ではやや論文の独自性がどこにあるのかが明確な形で提示されていない、内生的成長理論との関連を強調しすぎるなどの点も指摘があった、しかしながら、これらの点はいずれも今後の更なる研究の発展を示唆するものであり、本論文の価値を損なうものではないと考えられる。

 以上により、審査委員は全員一致で本論文を博士(経済学)のが学位授与に値するものであると判断した。

審査委員(主査) 柳川 範之

神谷 和也

神取 道宏

松井 彰彦

松村 敏弘

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