学位論文要旨



No 118180
著者(漢字) 鄭,鎭成
著者(英字)
著者(カナ) チョン,チィン シオン
標題(和) Terrabacter sp.DBF63株におけるフルオレン/ダイオキシン分解系の解析
標題(洋) Genetic and functional analysis of fluorene- and dioxin-degrading system of Terrabacter sp. strain DBF63
報告番号 118180
報告番号 甲18180
学位授与日 2003.03.28
学位種別 課程博士
学位種類 博士(農学)
学位記番号 博農第2569号
研究科 農学生命科学研究科
専攻 応用生命工学専攻
論文審査委員 主査: 東京大学 教授 大森,俊雄
 東京大学 教授 高橋,秀夫
 東京大学 教授 山根,久和
 東京大学 教授 太田,明徳
 東京大学 助教授 野尻,秀昭
内容要旨 要旨を表示する

 近代における急速な産業活動の発展に伴い、それまで地球環境中には見出されなかった人為起源の難分解性化学物質が大量に環境中へと放出されてきた。その結果、水圏、大気圏、土壌圏といった地球上のあらゆる環境において汚染状況は深刻化しており、自然界の生物はもとより人類にもその影響が現れている。このような化合物のひとつにダイオキシン類と呼ばれる化合物群がある。ダイオキシン類は毒性が強い上、発癌性、変異原性を有するものが多く、特にベトナム戦争で使用された枯れ葉剤に含まれていた2、3、7、8-tetrachlorodibenzo-p-dioxinは、人類史上最強の毒性・変異原性を有すると言われている。一方、ダイオキシン類とは別の環境汚染物質として、多環芳香族炭化水素(PAHs)と呼ばれる一連の化合物群が知られている。PAHsは天然には石炭や原油など化石燃料中に存在するため、これらの燃焼により大気を通じて水環境や土壌中に拡散し、時にはタンカーの座礁事故などにより大量に水環境へと放出される。PAHsの中にも、ダイオキシン類と同様に発癌性や変異原性を有するものが存在するため、環境中での残留性や人体への影響が問題となっている。

 近年、ダイオキシンやPAHsに関しては多くの物理化学的な処理方法が開発されつつあるが、コストが高くなるなどの問題もあり、それに代わりうる生物学的な修復法(bioremediation)が有望な浄化技術として期待されている。汚染土壌中に土着の分解菌が存在しない場合は、他で単離された強力な分解菌を汚染現場に添加するのが最適な手法(bioaugmentation)であると考えられており、多くの研究者が細菌や真菌類といったダイオキシン分解菌およびPAHs分解菌の単離・解析を行っている。

 当研究室では、ダイオキシンのモデル化合物であるdibenzofuran(DF)とPAHsのモデル化合物であるfluorene(FN)の両方を唯一の炭素源・エネルギー源として生育可能なDBF63株が、既に土壌サンプルから単離されている。本菌株は、DFをsalicylic acid(SA)、gentisic acid(GA)を経由した代謝経路で資化し、FNを9-fluoreno1、9-fluorenoneを経由した代謝経路で資化する。また、dibenzo-p-dioxin(DD)も共酸化することが示された。その後、DBF63株はグラム陽性細菌のTerrbacter属細菌であると同定され、メタ開裂物質の黄色を指標としたショットガンクローニングにより2、2',3-trihydroxybiphenyl(2,2',3-THB)からSAへの変換に関与するメタ開裂酵素遺伝子(dbfB)及び加水分解酵素遺伝子(dbfC)の取得にも成功した。しかしながら、DD/DF骨格の中でも強固なエーテル結合を特異的に開裂する重要な初発酸化酵素dibenzofuran 4、4a-dioxygenase(DFDO)をコードする遺伝子はdbfBC遺伝子の周辺領域には存在しなかった。そこで、Rieske non-heme iron oxygenase内に保存されている配列から調製したプライマーを用いて、PCRを行ったところ、DFDOのteminal oxygenase componentをコードするdbfA1A2遺伝子のクローン化に成功した。dbfA1A2遺伝子を大腸菌内で発現させると、大腸菌由来のferredoxinおよびferredoxin reductaseが電子伝達系として機能し、DFDO活性を示す。また、dbfA1A2遺伝子の周辺には、約20kbに渡って既知の芳香族分解系と相同性を示す複数個のORFが存在していたが(図1)、それらの機能は未知であった。

 以上の様な背景から本博士論文研究ではまず、dbfA1A2遺伝子群の周辺領域に存在する各ORFの機能解析を行うことを目的とした。またdbfA1A2遺伝子群の局在性と生育基質の違いによる分解系酵素遺伝子群の発現を調べた。加えて、DBF63株および取得されたDF分解系酵素DbfA1A2BCがchlorinated dibenzofurans(CDFs)やdibenzo-p-dioxins(CDDs)に対して分解活性を保持しているか調べた。

1.DBF63株におけるフタル酸分解系酵素遺伝子群の解析

 DBF63株においてのdbfA1A2遺伝子群の上流に存在した、芳香族化合物初発酸化酵素のoxygenase large subunit,oxygenase small subunit,ferredoxin,ferredoxin redactaseをコードする遺伝子とそれぞれ相同性を示す4個のORF(ORF13,12,9,8)、脱水素酵素および脱炭酸酵素と相同性を示すORF(それぞれORF10とORF7)をクローニングして大腸菌内で発現させ、フタル酸を基質とした変換反応を行った。プラスミドpDF203(ORF13,12,10,9,8を含む)で形質転換した大腸菌を用いて休止菌体反応による変換反応を試みた結果、フタル酸から3,4-dihydroxyphthalateの生成が確認された。またORF7については、確実に大腸菌内で発現させるため、その上流にSD配列を付加したプラスミド(pDFS205)を構築し、大腸菌内でpDF203と共発現させたところ、フタル酸からプロトカテキン酸の生成が確認された。

 以上の結果から、ORF13,12,9,8はphthalate3,4-dioxygenaseの各コンポーネント(PhtAl,PhtA2,PhtA3,PhtA4)を、ORF10は3,4-dihydro-3,4-dihydroxyphthalate dehydrogenase(PhtB)を、ORF7は3,4-dihydroxyphthalate decarboxylase(PhtC)をコードすることが明らかとなった(図1)。PhtAはフタル酸以外にも、o-chlorobenzoic acidも基質として酸化できた。一方、phtC遺伝子の直下流に存在するORF6は、相同性検索の結果、フタル酸代謝系遺伝子の転写制御に関与するタンパク質をコードすることが推測された(phtR)。本博士論文研究の開始後に報告されたArthrobacter keyseri12B株のpht遺伝子群の遺伝子構造と比較すると、phtBの位置が異なっていることや、phtA1遺伝子では約70%の相同性が見られるのに対し、phtBは30%の相同性しか見られないなどの違いが示された1)。

2.DBF63株におけるFN分解系酵素遺伝子群の解析

 DBF63株においてdbfA1A2遺伝子の周辺に存在した、FN代謝系酵素群をコードすると推定されるORF4,3,15,16,17について機能解析を行った。ORF4-dbfA1A2-ORF3-ORF15-ORF16-ORF17を含むDNA領域をクローニングし、大腸菌を用いたFNおよび9-fluorenoneの変換反応を行ったところ、いずれからもFNの分解産物であるフタル酸の生成が確認された。相同性検索の結果、FN代謝に関与するメタ開裂酵素および加水分解酵素と推測されたORF15およびORF3を削ったORF4-dbfA1A2-ORF16-ORF17を含むDNA領域をクローニングし、大腸菌を用いたFNおよび9-fluorenoneの変換反応を行ったところ、いずれからもFNの代謝中間体である2'-carboxy-2、3-dihydroxybiphenyl(CDB)のlactone化物(8-hydroxy-3,4-benzomucoumarin)を生成することが示された。これらの結果は、short-chain dehydrogenase-reductase familyと相同性を示すORF4およびORF17が、1-hydro-1,1a-dihydroxy-9-fluorenone(DHF;9-fluorenoneのcfs-dio1体)の五員環開裂に関与していることを示している。また、ORF4遺伝子産物は、9-fluorenolが9-fluorenoneへの変換活性も持っていることが示された。一方、メタ開裂酵素と相同性を示すORF15のみを大腸菌で発現させた場合には活性が検出されなかったが、ORF16と共発現させた場合にメタ開裂活性を示すことが明らかとなった。

 以上の結果から、DbfA1A2はFNから9-fluoreno1への変換活性および9-fluorenoneからDHFへの変換活性を有していること、ORF4遺伝子産物(FlnB)が9-fluoreno1から9-fluorenoneへの変換活性を有していること、FlnBおよびORF17遺伝子産物(FlnC)の2つのタンパク質がDHFからCDBへの変換に関与していること、ORF15遺伝子産物(FlnD1)とORF16遺伝子産物がCDBのメタ開裂活性を有していること、ORF3遺伝子産物(FlnE)がCDBメタ開裂物質の加水分解活性を有していることが示された(図1)。一方、f1nB遺伝子の直上流に存在するORF5は、相同性検索の結果から、FN代謝系遺伝子の転写制御に関与するタンパク質をコードすることが推測された(flnR)。DBF63株のflnRBdbfA1A2flnED1ORF16flnC遺伝子群(dbflfln遺伝子群)は、FN分解系遺伝子群としては世界で初めての報告例である。

3.DF・FN分解系遺伝子群の発現とゲノム上における局在性

 DBF63株において解析されたDF・FN分解系酵素遺伝子群の発現について調べるため、RT-PCR解析を行った。DFで生育させたDBF63株の菌体から全RNAを抽出し、dbfA1A2、dbfBCおよびphtA3A4遺伝子をそれぞれ増幅するようなプライマーを用いてRT-PCR解析を行ったところ、dbfA1A2とdbfBC遺伝子の転写が確認されたが、phtA3A4遺伝子の転写は確認されなかった。一方、FNで生育させたDBF63株の菌体から全RNAを抽出し、同様な実験を行ったところ、dbfA1A2とphtA3A4遺伝子の転写が確認されたが、dbfBC遺伝子の転写は確認されなかった。以上より、dbfA1A2およびdbfBC遺伝子はDF代謝に関与しており、dbfA1A2およびphtA3A4遺伝子はFN代謝に関与していることが明らかとなった2)。

 また、DF・FN両方の代謝に関与すると考えられるdbfA1A2遺伝子およびDF代謝に関与するdbfBC遺伝子の局在性についても調べた。DFで生育させたDBF63株の全DNAをパルスフィールドゲル電気泳動(PFGE)に供した結果、染色体以外に、メガプラスミドと考えられる2本のバンドが確認された。dbfA1A2遺伝子をプローブとしたサザン解析を行ったところ、160kbのプラスミド(pDBF1)とそれより少し大きなプラスミド(pDBF2)の双方にシグナルが検出されたことから、dbfA1A2遺伝子はプラスミド上にコードされていることが明らかとなった。一方、dbfBC遺伝子をプローブとした場合には染色体にシグナルが検出されたことから、dbfBC遺伝子は染色体上に存在すること示された2)。以上RT-PCR解析とPFGEの結果より、FN代謝においては隣り合う2つのオペロンが機能しているのに対し、DF代謝においては異なる遺伝子座に局在している少なくとも2種類の遺伝子が関与するという結果から,DBF63株におけるDF代謝系は、進化的に未成熟である可能性が示唆された。

4.DBF63株の塩素化ダイオキシン分解能の検討

 DBF63株が、実際に環境汚染を引き起こしている塩素化ダイオキシンに対しても分解能を有しているか調べるため、DBF63株によるCDFsおよびCDDsの変換反応を試みた。また比較として、当研究3室保有の別のダイオキシン分解菌であるcarbazole(CAR)資化菌Pseudomonas resinovorans CA10株についても同様な実験を行った。DFで生育させたDBF63株およびCARで生育させたCA10株を用いて、1から3個の塩素で置換されたダイオキシン類を基質とした休止菌体反応を行った結果、両株ともに分解が認められた。2-Chlorodibenzofuran(2-CDF)、2-chlorodibenzo-p-dioxin(2-CDD)、2、3-dichlorodibenzo-p-dioxin(2、3-DCDD)からは分解産物として相当するクロロサリチル酸(CSA)やクロロカテコール(CC)の生成が認められた。

 一方、dbfA1A2遺伝子を保持した大腸菌を用いて同様な塩素化ダイオキシンの変換反応を行った。比較として、CA10株由来のCAR初発酸化酵素をコードするcarAaAcAd遺伝子を保持した大腸菌についても実験を行った。その結果両者とも、2-CDFと2,8-dichlorodibenzofuranを相当するtrihydroxybipheny1へと変換することが示された。また、2-CDD、2、3-DCDDおよび1、2、3-TCDDも相当するtrihydroxydiphenyl etherへと変換した。一方、2、7-DCDDに対してはCarAaAcAdのみがtrihydroxydiphenyl etherへの変換活性を示した。

 以上の結果より、DBF63株およびDF分解系酵素は、2、7-DCDDを除く1から3塩素化ダイオキシンに対して分解活性を保持していることが明らかとなり、今後DBF63株を使用したバイオレメディエーション技術の開発に興味がもたれた3)。

図1:Proposed degradation pathway for FN and gene organization of dbf/fln and pht genes in Terrabactersp.strain DBF63

審査要旨 要旨を表示する

 Terrabacter属細菌DBF63株は、ダイオキシンのモデル化合物であるdibenzofuran(DF)とpolycylic aromatic hydrocarbons(PAHs)のモデル化合物であるfluorene(FN)の両方を、唯一の炭素源・エネルギー源として生育可能な細菌である。これまでの研究で、DBF63株のDF分解に関与する初発酸化酵素遺伝子(dbfA1A2)、メタ開裂酵素遺伝子(dbfB)及び加水分解酵素遺伝子(dbfC)の取得にも成功している。しかしながら、dbfA1A2遺伝子の周辺約20kbに渡って存在する、既知の芳香族分解系酵素遺伝子と相同性を示すORFについてはその機能が未知であった。本博士論文研究では、dbfA1A2遺伝子群の周辺領域に存在する各ORFの機能解析、dbfA1A2遺伝子群の局在性とdbf遺伝子群の発現様式の解明を行うとともに、取得されたDF分解系酵素のchlorinated dibenzofurans(CDFs)やdibenzo-p-dioxins(CDDs)に対する分解能についても調べてもので、全5章からなる。

 第1章の序論に引き続き、第2章ではDBF63株においてdbfA1A2遺伝子群の上流に存在した、芳香族化合物分解系酵素遺伝子とそれぞれ相同性を示す6個のORF(ORF13、12、10、9、8、7)をクローニングして大腸菌内で発現させ、フタル酸を基質とした変換反応を行った。ORF13、12、10、9、8を含むプラスミドpDF203で形質転換した大腸菌を用いて休止菌体反応を行った結果、フタル酸から3、4-dihydroxyphthalateの生成が確認された。またORF7については確実に大腸菌内で発現させるため、その上流にSD配列を付加したプラスミドpDFS205を構築し、大腸菌内でpDF203と共発現させたところ、フタル酸からプロトカテキン酸の生成が確認された。これらの結果から、ORF13、12、9、8はphthlate 3、4-dioxygenaseの各コンポーネント(PhtA1、PhtA2、PhtA3、PhtA4と命名)を、ORF10は3、4-dihydro-3、4-dihydroxyphthalate dehydrogenase(PhtB)を、ORF7は3、4-dihydroxyphthalate decarboxylase(PhtC)をコードしていると結論づけた。またPhtAはフタル酸以外にも、o-chlorobenzoic acidも基質として酸化できることを明らかにした。

 第3章では、dbfA1A2遺伝子の周辺に存在した5個のORF(ORF4、3、15、16、17)およびdbfA1A2遺伝子をクローニングして大腸菌内で発現させ、FNを基質とした変換反応を行った。ORF4-dbfA1A2-ORF3-ORF15-ORF16-ORF17を含むDNA領域をクローニングし、大腸菌を用いた休止菌体反応を行ったところ、FNの分解産物であるフタル酸の生成が確認された。また、メタ開裂酵素および加水分解酵素遺伝子と相同性を示すORF15およびORF3を削ったORF4-dbfA1A2-ORF16-ORF17を含むDNA領域をクローニングし、大腸菌を用いた休止菌体反応を行ったところ、FNの代謝中間体である2-carboxy-2、3-dihydroxybiphenylの1actone化物8-hydroxy-3、4-benzomucoumarinの生成が確認された。これらの結果から、この領域のORFがFNからフタル酸への変換に必要なORFであることを示し(ORF4-dbfA1A2-ORF3-ORF15-ORF16-ORF17をflnB-dbfA1A2-flnE-flnD1-ORF16flnCと命名した)。また、FlnBが、9-fluorenolから9-fluorenoneへの変換活性も持っていること、FlnD1とORF16遺伝子産物の2つのタンパク質がメタ開裂酵素活性を示すのに必要であることも示した。

 第4章では、DBF63株から今まで取得された酵素群のDF・FN分解への関与を示すために、RT-PCRによる発現解析を行った。DFおよびFNで生育させたDBF63株の菌体から全RNAを抽出し、dbfA1A2、dbfBCおよびphtA3A4遺伝子をそれぞれ増幅するようなプライマーを用いてRT-PCR解析を行った。その結果、dbfA1A2およびdbfBC遺伝子はDF生育時に発現してDF代謝に関与しており、dbfA1A2およびphtA3A4遺伝子はFN生育時に発現してFN代謝に関与していることが示された。また、DFで生育させたDBF63株の全DNAをパルスフィールドゲル電気泳動に供したところ、染色体以外にメガプラスミドと考えられる2本のバンド(pDBF1、pDBF2)が検出され、サザン解析を行ったところ、dbfA1A2遺伝子はプラスミド上にコードされており、dbfBC遺伝子は染色体上に存在することが示された。

 第5章では、DBF63株が、実際に環境汚染を引き起こしている塩素化ダイオキシンに対しても分解能を有しているか調べる目的で、DBF63株によるCDFsおよびCDDsの変換反応を行っている。DFで生育させたDBF63株を用いて、1から3個の塩素で置換されたダイオキシン類を基質とした休止菌体反応を行った結果、2-chlorodibenzofuran(2-CDF)、2-chlorodibenzo-p-dioxin(2-CDD)、2、3-dichlorodibenzo-p-dioxin(2、3-DCDD)からは、分解産物として相当するクロロサリチル酸(CSA)やクロロカテコール(CC)の生成が認められた。一方、dbf1A1A2遺伝子を保持した大腸菌を用いて同様な変換反応を行ったところ、2-CDFと2、8-dichlorodibenzofuranを相当するtrihydroxybipheny1へと変換し、2-CDD、2、3-DCDDおよび1、2、3-TCDDを相当するtrihydroxydiphenyl etherへと変換することが示された。

 以上、本論文は、Terrabacter属細菌DBF63株においてFN分解に関与する上流代謝系酵素遺伝子群を世界に先駆けて明らかにするとともに、本菌株のFN代謝系酵素が、1から3塩素化ダイオキシンに対して分解活性を保持していることを示すなど、ダイオキシン・PAHs分解系遺伝子の構造やバイオレメディエーション技術の開発に資する新知見を与えたものとして学術上、応用上貢献するところが少なくない。よって、審査委員一同は、本論文が博士(農学)の学位論文として価値あるものと判断した。

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