No | 118987 | |
著者(漢字) | ||
著者(英字) | Sinlapeecheewa,Chanin | |
著者(カナ) | シンラピーチーワ,チャニン | |
標題(和) | カラーパターンによる高速人体三次元形状計測 | |
標題(洋) | Rapid 3D Profile Measurement of Human Body Based on a Color Projection Pattern | |
報告番号 | 118987 | |
報告番号 | 甲18987 | |
学位授与日 | 2004.03.25 | |
学位種別 | 課程博士 | |
学位種類 | 博士(工学) | |
学位記番号 | 博工第5719号 | |
研究科 | 工学系研究科 | |
専攻 | 精密機械工学専攻 | |
論文審査委員 | ||
内容要旨 | 三次元画像を再構成することはコンピューター・ビジョンにとって意義のある研究である。典型的な応用例に部品検査、つまりCAD/CAM/CAEのために仮想モデルを作るリバース・エンジニアリングがある。最近、人間のモデルを使用する必要性も増加している。例えば、衣類では、人体の仮想モデルは個人に適したデザインのために使用される。整形外科では、顔のスキャニングによって、クライアントの要求をコンピューター上で修正することができる。このモデルは手術において、術者のための「テンプレート」として役立つ。 人間の測定の場合、測定を行っている間、測定対象が動くことにより大きな測定誤差が発生してしまう。人間の測定を高精度に行うためには、測定時間が1秒未満であるべきである。そのため、パッシブ測定とアクティブ測定に分類される、多くの技術が研究されている。基礎的な測定法は、スポット光あるいはスリット光を使用して、測定物表面の光を取得し、パラメータ化するものである。これらの三角測量法は、対応点問題を除けば曖昧さのない測定結果を得ることができるが、測定物が静止していなければならないという欠点があります。代わりの案として、時系列空間符号化法がある。この手法は表面画像を得るためにn個の2値化画像を投影する。この手法は対応点問題がないが、測定時間がかかるために測定対象が動く場合は適していない。 本研究では、カラーパターンを投影して、アクティブな三次元形状計測技術を開発する。プレゼンテーション用のDLPプロジェクターと2台のカラーCCDカメラとパソコンによる単純なシステムを用いて、各カメラからの1つのイメージだけを用いた“one shot scanning”という手法を提案する。提案手法の主な利点は、測定時間がカメラのシャッタースピードに等しいということである。実験では1/60秒のシャッタスピードが可能であった。この速度は人体のような移動する測定物の測定が可能である。 カラーパターンの利点は多くの色を使用することができることである。また、「色調」情報を見るだけで、色を容易に認識することができる。投影する色の種類と数を決定するために、適切なカラーパターンを生成する色の選択プロセスが必要である。その結果、6つの色が色調の範囲が他の色とオーバーラップせず、しかも光の検出に十分な明るさの色を選択する。これによって、多重縞パターンの色は、色調情報を見ることで他の色と容易に区別できる。縞の位置の精度はCCDセンサーの解像度に依存するが、サブピクセル補間と明度情報を用いて高精度化する。このシステムのデータ処理における問題点は投影パターンと取得画像の間の対応点問題である。この対応点問題を解決するために、対応確率の情報を、取得画像中のすべての縞の色情報および三角測量に基づいて生成する。対応点問題を解決するために対応確率の情報に基づいた対応点探索アルゴリズムを開発した。 また、高精度測定のためには、プロジェクターとカメラ・システムのキャリブレーションが重要である。DLPプロジェクターによって平面上にキャリブレーションポイントを投影し、CCDカメラによってそれらを捕らえることでキャリブレーションを行った。カメラのモデルおよびプロジェクターのモデルから計算したキャリブレーションポイントの誤差を最小限にすることによって、パラメーターを非線形最小二乗法によって同定することができる。この手法の利点は、キャリブレーションのプロセスを短くしかも自動化でき、また投影パターンとキャリブレーションポイントの両方が同じプロジェクターから投影されるので、三次元形状測定の場合とキャリブレーションプロセスの環境が同じである。 提案した三次元形状測定手法およびキャリブレーション手法の有効性を示すためにキャリブレーションの結果と高速な測定実験を行った。その結果、三次元形状測定の測定精度は測定対象の大きさの0.25%であった。開発したシステムにより,人体の三次元形状測定を行いその有効性を確認できた。 以上のように,本論文は,人体の高速計測システムを開発したばかりではなく,このシステムを高精度化するための信号処理手法、システムのキャリブレーション手法を確立した工業的にも有用なシステム構築が行えた. | |
審査要旨 | 本論文は,「Rapid 3D Profile Measurement of Human Body Based on a Color Projection Pattern (カラーパターンによる高速人体三次元形状計測)」と題し,カラーパターンの投影による高速な人体形状の測定システムを開発するために,新しい信号処理手法を開発し,そのキャリブレーション技術を確立している. 三次元画像を再構成することはコンピューター・ビジョンにとって意義のある研究である.典型的な応用例に部品検査,つまりCAD/CAM/CAEのために仮想モデルを作るリバース・エンジニアリングがある.最近,人間のモデルを使用する必要性も増加している.例えば,衣類では,人体の仮想モデルは個人に適したデザインのために使用される.整形外科では,顔のスキャニングによって,クライアントの要求をコンピューター上で修正することができる.このモデルは手術において,術者のための「テンプレート」として役立つ. 人間の測定の場合,測定を行っている間,測定対象が動くことにより大きな測定誤差が発生してしまう.人間の測定を高精度に行うためには,測定時間が1秒未満であるべきである.そのため,パッシブ測定とアクティブ測定に分類される,多くの技術が研究されている.基礎的な測定法は,スポット光あるいはスリット光を使用して,測定物表面の光を取得し,パラメータ化するものである.これらの三角測量法は,対応点問題を除けば曖昧さのない測定結果を得ることができるが,測定物が静止していなければならないという欠点があります.代わりの案として,時系列空間符号化法がある.この手法は表面画像を得るためにn個の2値化画像を投影する.この手法は対応点問題がないが,測定時間がかかるために測定対象が動く場合は適していない. 本研究では,カラーパターンを投影して,アクティブな三次元形状計測技術を開発する.プレゼンテーション用のDLPプロジェクターと2台のカラーCCDカメラとパソコンによる単純なシステムを用いて,各カメラからの1つのイメージだけを用いた“one shot scanning”という手法を提案する.提案手法の主な利点は,測定時間がカメラのシャッタースピードに等しいということである.実験では1/60秒のシャッタスピードが可能であった.この速度は人体のような移動する測定物の測定が可能である. カラーパターンの利点は多くの色を使用することができることである.また,「色調」情報を見るだけで,色を容易に認識することができる.投影する色の種類と数を決定するために,適切なカラーパターンを生成する色の選択プロセスが必要である.その結果,6つの色が色調の範囲が他の色とオーバーラップせず,しかも光の検出に十分な明るさの色を選択する.これによって,多重縞パターンの色は,色調情報を見ることで他の色と容易に区別できる.縞の位置の精度はCCDセンサーの解像度に依存するが,サブピクセル補間と明度情報を用いて高精度化する.このシステムのデータ処理における問題点は投影パターンと取得画像の間の対応点問題である.この対応点問題を解決するために,対応確率の情報を,取得画像中のすべての縞の色情報および三角測量に基づいて生成する.対応点問題を解決するために対応確率の情報に基づいた対応点探索アルゴリズムを開発した. また,高精度測定のためには,プロジェクターとカメラ・システムのキャリブレーションが重要である.DLPプロジェクターによって平面上にキャリブレーションポイントを投影し,CCDカメラによってそれらを捕らえることでキャリブレーションを行った.カメラのモデルおよびプロジェクターのモデルから計算したキャリブレーションポイントの誤差を最小限にすることによって,パラメーターを非線形最小二乗法によって同定することができる.この手法の利点は,キャリブレーションのプロセスを短くしかも自動化でき,また投影パターンとキャリブレーションポイントの両方が同じプロジェクターから投影されるので,三次元形状測定の場合とキャリブレーションプロセスの環境が同じである. 提案した三次元形状測定手法およびキャリブレーション手法の有効性を示すためにキャリブレーションの結果と高速な測定実験を行った.その結果,三次元形状測定の測定精度は測定対象の大きさの0.25%であった.開発したシステムにより,人体の三次元形状測定を行いその有効性を確認できた. 以上のように,本論文は,人体の高速計測システムを開発したばかりでなく,このシステムを高精度化するための信号処理手法,システムのキャリブレーション手法を確立した工業的にも有用なシステム構築が行え,工学的に大きく寄与すると考えられる.よって本論文は博士(工学)の学位請求論文として合格と認められる. | |
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