学位論文要旨



No 119005
著者(漢字)
著者(英字) ALLEN,LOBBIA MARCUS
著者(カナ) アレン,ロビア マーカス
標題(和) ウェイブライダー派生型極超音速輸送機形状の設計と最適化のためのフレームワーク
標題(洋) A Framework for the Design and Optimization of Waverider-Derived Hypersonic Transport Configurations
報告番号 119005
報告番号 甲19005
学位授与日 2004.03.25
学位種別 課程博士
学位種類 博士(工学)
学位記番号 博工第5737号
研究科 工学系研究科
専攻 航空宇宙工学専攻
論文審査委員 主査: 東京大学 助教授 鈴木,宏二郎
 東京大学 教授 森下,悦生
 東京大学 教授 藤井,孝藏
 東京大学 助教授 李家,賢一
 東京大学 講師 寺本,進
内容要旨 要旨を表示する

グローバリゼーションが進んでいる現代世界において、高速度の移動手段が非常に重要であると考えられる。超音速輸送機を用いれば、乗客または貨物などを地球のどこへでも一日以内で移動させることが可能となる。しかし、2003年にコンコルドの運行が打ち切られた後、後継機が登場しないことからもわかるように、超音速輸送機は亜音速機と比較すると、コスト、ソニックブームなど様々な問題があるため、経済的な成功は困難である。

高速度の航空機が飛行する時、ミッションの大部分は飛行高度とマッハ数がほぼ一定な巡航状態であると考えられる。巡行状態のみを考えると、式(1)に示すブレゲーのレンジ方程式が得られる:〓式(1)において、燃料重量(mfuel)、構造および機体システム重量(mstructure)、ペイロード重量(mpayload)、飛行距離(d)、速度(U)、エンジン性能(比推力Isp)を仮定し、マッハ数に対するL/D(揚抗比)をプロットしたものを図1示す。この図は、上記のように飛行の大部分が巡航状態であるクルーズミッションに対し、ミッションに要求される航続距離(例えば東京・ニューヨークの間の11000 km)を得るために必要なL/Dを示しているとも言える。図1により、飛行マッハ数が低い方が必要なL/Dが高いと分かる。図には、種々の高速航空機のデータより得られた最大L/Dとマッハ数の統計も示されている。マッハ数が増加するとともに必要L/Dも最大L/Dもともに減少しているが、マッハ数が高くなると後者が前者を上まわり、極超音速機の優位性が現れるのがわかる。しかし、空力加熱防御やエンジン技術などの問題を考慮すると、飛行マッハ数は6以下に設定するのが現実的である。

以上から、本論文では将来の高速輸送機としてマッハ数5で飛行する極超音速輸送機(Hypersonic Transport:HST)が有望であることに着目し、その空力特性、ミッションの達成度、実現性などを調査し、HSTの設計と最適化のフレームワークを開発することを目的とした。巡航マッハ数を5に設定した利点として:1)図1に示すように必要L/Dが超音速機の巡航マッハとして考えられる2?3に比べ低下する、2)亜音速機や超音速機より速度が速く輸送能力に優れる、3)炭化水素燃料を用いたラムジェットエンジンが利用可能、4)高いマッハ数と高い飛行高度によりソニックブームが減少する可能性がある、5)空力加熱は金属製の熱防御システムの利用が可能となるレベルに押さえられる、ことが挙げられる。本研究ではマッハ数5のHSTの空力形状としてウェイブライダーを用いることを提案する。その利点は:1)ウェイブライダー形状の採用によりL/Dが向上(図1参照)するため設計可能範囲が広がる、2)エンジン・ペイロード・構造等を組み合わせた総合的な設計が可能である、3)逆設計法によって極超音速機周りの流れをエンジンに合わせて決定することが可能である、ことである。

本研究では、様々な計算モデルと設計方法を含めて、最適化設計を行う。図2に示すように、ウェイブライダー形状設計、ラムジェットエンジン解析、ミッション解析、空力特性の計算、を組み合わせたフレームワークが開発された。このフレームワークは、空力安定性解析、構造解析と組み合わせるなど、将来の拡張性にも優れている。

本論文は、第1部「研究背景と目的」、第2部「設計と最適化のためのフレームワーク」、第3部「結果とその考察」、第4部「結論」の4部で構成されている。第1部では、これまで述べてきたようにウェイブライダーを用いたマッハ5の極超音速輸送機の利点が説明され、研究の目的を明らかにしている。

第2部では、ウェイブライダーを用いた極超音速輸送機設計のためのフレームワーク構築法について述べられている。ウェイブライダーは設計状況で飛行する場合、機体前縁に衝撃波が接しており、下面と上面の流れが分かれているので従来の航空機よりL/Dを大きくできる可能性がある。ウェイブライダーを設計するためには、まず逆設計法で利用する流れ(Generating Flowfield:GF)を決定する必要がある。この流れから逆設計手法を用いてウェイブライダーの設計が可能となる。GFから、ウェイブライダーの形状を決定するために、まず、機体底面の下側曲線を与える。この曲線からGFの流線を上流に向かってトレースし、ウェイブライダーの下面を決定する。この流線がGFの衝撃波と交わるところが、ウェイブライダーの前縁となる。次に、この前縁部分から機体の底面まで自由流れ方向に下流に向かってトレースし、ウェイブライダーの上面が決定される。この方法の概略を図3に示す。本論文におけるウェイブライダー設計の特徴として、「接触円錐(Osculating Cone)」によるGFの利用が挙げられる。図4に示すように、接触円錐の流れは円錐流れと似ているが、対称軸はなく、各接触面上で円錐流れの解析解を適用する。それぞれの接触面において円錐流れの頂点の位置が個別に与えられ、衝撃波形状曲線(Shock Profile Curve:SPC)上の各点で異なった曲率半径を与えることができる。従って、SPCの形状を最適化する際に中央付近に2次元流れをつくり出し、エンジンとの適合性を向上させることが可能である。

ウェイブライダー派生型HSTで仮定している推進システムはターボジェット(約マッハ数0〜2)とラムジェット(約マッハ数2〜5)であり、図5に示すようなミッション軌道で利用する。ラムジェットの燃料としては水素も考えられるが、低い温度または高圧で保存が必要なので現実的には難しい。そのため、ここではメチルシクロヘキサン(Methylcyclohexane:MCH)と言う炭化水素燃料を使うことを提案する。MCHは室内温度・圧力でも保存可能であるため、HSTの翼の中に燃料タンクを配置可能である。また、MCHのもう一つの利点として、エンジンの中やノズルなど高温になっている表面の冷却として利用可能ことが挙げられる。

ラムジェットエンジンの形状を図6に示す。空気はウェイブライダーの下面でまず圧縮され、さらに空気取り入れ口の2次元のランプで圧縮されてストラットで作られているアイソレータに流入する。アイソレータの中でショックトレイン(normal shock train)が発生して、超音速流れを亜音速まで減速する。この亜音速流れが燃焼器に入り、ストラットの最後で燃料が投入され、燃焼を行う。流れは、燃焼器の中で熱的チョークにより超音速に戻り、ノズルで排気される。このラムジェットシステムは従来のエンジンと違い、断面積変化によるチョークではなく、normal shock trainと熱的チョークで流れの減速・加速を行う。それにより、エンジンの構造が単純となる。

ここでは、上記のような推進システムの性能計算法を構築した。空気取り入れ口のランプでは衝撃波理論を利用し、アイソレータの入れ口の状況を得る。アイソレータと燃焼器の流れは準1次元解析で行い、面積変化、淀み点温度、摩擦、衝撃波、燃料投入などのモデルが入る。そして、ノズルの形状は特性曲線法を用い設計し、流れの解析も行う。これにより巡航に必要な燃料使用量を計算することができる。巡航状態以外の状況での必要な燃料使用量については、経験的・実験的の関係で推算し、前者に加えることでミッション全体で必要な燃料の計算を行う。

HSTの空力性能の計算法は次の通りである。ウェイブライダーの下面の圧力分布はGFの解から得ることができる。上面は衝撃波・膨張波の解析法により計算する。表面の全体で圧力を積分して非粘性の空力特性を計算し、参照温度法による表面摩擦力を加えている。

この設計フレームワークではペイロードの形状も考慮されている。旅客機を想定し、乗客キャビンを前に、貨物室を後ろに配置したペイロード形状とした。このペイロードが収納できる条件がウェイブライダー形状設計に課せられる。ペイロード部より外側(通常の航空機では翼に相当する部分)では、必要な燃料タンク体積を保持した上で、上面の位置を下げ傾斜をつけて、流れを膨張させることでL/Dを向上させることが可能である。この点についても本フレームワークでは考慮されており、より高L/Dの機体形状設計を可能としている。

本法ではHSTの重量を3つの主な部分:燃料重量(mfuel)、構造および機体システム重量(mstructure)、ペイロード重量(mpayload)に分け、この3つの和がHSTの全体重量(mtotal)になる。重量計算に用いた方法は以下の通りである。まず、巡航時に揚力と重量が一致することから全体重量が決まる。必要な燃料重量は上記で説明したラムジェット性能計算法で算出される。一方、構造および機体システム重量はNASAで開発されたHASAコードによりコンポーネントごとに詳細な計算を行い、それらを積算することで求める。ペイロードは全体重量から構造および機体システム重量と燃料重量を引く残りである。このようにしてHSTの重量サイジングが行われる。

以上のようにウェイブライダー派生型HSTの設計法の概略である。巡航時にはエンジンの推力(T)と機体の抵抗(D)が一致する必要があり、また、計算されるペイロード重量はミッション条件を満足させる必要がある。一方、機体全重量が低いとコストも減少できるので、できるだけ全体重量を小さくする必要がある。上記を考慮して、本論文では式(2)に示す目的関数を最小にする最適設計を考える:〓

本フレームワークでは、上記で説明したGFの与え方、ペイロード形状、ラムジェットの設計など、合計24設計変数が考慮され、Nelder-Meadによるダウンヒルシンプレックス法で最適化が行われる。

本論文の第3部では、上記のフレームワークを用いて得られたHSTの最適化設計について述べる。ここでは、図7に示す、2種類のベースラインを設定し、最適化設計を行った。HST250形状は乗客250人用(mpayload = 40,000 kg)であり、HST400形状は乗客400人用(mpayload = 65,000 kg)である。この2つの形状の重量配分を表1に示した。HST250の全体重量は現用の亜音速旅客機と同程度であり、HST400においてもその値は十分現実的なものであると言える。機体各部分ごとの空気抵抗と揚力の配分を図8に示す。エンジンの抵抗は主にランプ(図6)で発生していることがわかる。ウェイブライダーにおいて最も大きな揚力の発生源は下面であるが、上面の発生する揚力も無視できないことがわかる。先に説明したように本フレームワークでは傾斜上面形状が採用されており、それがウェイブライダー全機のL/Dを増加させるのに有効であることが示された。

ここで用いた空力特性推算モデルでは、計算時間短縮のためウェイブライダー上面の圧力分布に2次元の衝撃波/膨張波理論を用いているので、3次元オイラー方程式の数値解析結果との比較を行い、その妥当性を確認した。結果を図9に示す。表面上の密度分布と表面流線を見ると、2次元手法は3次元解析と比較して横流れを捕捉できていないことがわかる。しかし、圧力分布の面積積分から求められるL/Dでは二つの解析法の差は3%以内である。これから、本フレームワークで採用した上面に関する2次元的モデルは、少ない計算量で空気力を十分な精度で予測できていることが示された。

このフレームワークを利用することにより、各種パラメータの最適設計に与える影響を調べることができる。その結果、ラムジェットの燃焼効率を向上させることの重要性が明らかになった。hc = 1.0とhc = 0.8の2つの燃焼効率を仮定してHST形状を最適設計した場合、燃焼効率の20%減少がHSTの全体重量において26%もの増加をもたらすことになる。機体の設計において、トリム性能も重要な項目である。機体の圧力中心位置と重心位置が異なる場合、トリムをとるために、フラップ等の空力制御面を付加しなければならず、それによって抵抗が増大してL/Dが減少する恐れがある。ここでは、機体の重心位置と圧力中心位置を目的関数に含めた最適化設計を行った。それによりトリム性能を向上させつつ高いL/Dを発生させる機体の形状設計が可能であることが示された。極超音速機において空力加熱は重要な問題であり、熱防御システムに伴うコスト低減のためには、それを低減させることが求められる。ウェイブライダーにおいて、空力加熱を低減させるためには前縁を鈍頭とする必要があるが、それは同時に空気抵抗の増加を招き、L/Dを減少させてしまう。ここでは、3次元ナヴィエ・ストークス方程式の数値解析により、ウェイブライダーにおける鈍頭前縁の効果を調べている。その結果、鈍頭半径を適切に設定することにより、ウェイブライダーの高いL/Dをほとんど損なうことなく、金属系の耐熱材料でも耐えられるレベルまで前縁の加熱率を減少させることが可能であることが明らかになった。

本論文で得られた結論は第4部のところで述べられている。本研究においてウェイブライダー派生型の極超音速輸送機の設計と最適化のためのフレームワークが構築された。本フレームワークは、ペイロード要求やエンジンの燃焼効率、トリム性能など多様な設計項目を考慮した実際的な機体設計に供しうる能力を有していることが示された。250人乗りと400人乗りのマッハ5の極超音速旅客機について最適設計を行った結果、現用の亜音速輸送機と比べ十分実現可能な機体全重量での設計が可能であることがわかった。これは、本研究で着目したマッハ5のウェイブライダー派生型極超音速機が、次世代の高速輸送機として有望であることを示すものであると言える。

マッハ数に対するL/Dの変化

本論文において開発された最適化設計フレームワーク

ウェイブライダーの設計方法の概略図

a) 軸対象の円錐流れとb) 接触円錐流れの比較(ウェイブライダーの底面から見た図、対称面の片側のみ表示。)

ウェイブライダー派生型HSTの軌道例

HSTのエンジン概略図

最適化設計されたa) 250人用のHST250形状とb) 400人用HST400形状

最適化設計で得られた形状機体における各部分ごとの空気抵抗と揚力の配分

HST250形状上面における2次元衝撃波/膨張理論による解析結果(左)と3次元オイラー解析結果(右)の比較(上:密度分布、下:表面流線)

最適化設計で得られた機体形状における重量配分

審査要旨 要旨を表示する

修士(工学)ロビア・マーカス提出の論文は、「A Framework for the Design and Optimization of Waverider-Derived Hypersonic Transport Configurations(ウェイブライダー派生型極超音速輸送機形状の設計と最適化のためのフレームワーク)」と題し、4部構成の本文13章および付録8項から成っている。

グローバル化が進む現代社会において、航空機による高速輸送は今後、ますます重要になると思われる。マッハ数5で飛行する極超音速機を将来型高速輸送機として考えた場合、次の利点があげられる。すなわち、1)高速化により輸送能力が向上する、2)同じ航続距離を飛行する場合、超音速機と比較して必要揚抗比が緩和され得る、3)飛行高度、マッハ数ともに超音速機より高いため、ソニックブームの問題が緩和される可能性がある、4)炭化水素燃料を用いたラムジェットエンジンが利用可能であり、より高マッハ数の機体と比べエンジン開発のリスクが少ない、5)空力加熱が金属系の熱防御システムで耐え得るレベルに押さえられる、等である。

このような背景から筆者はマッハ数5の極超音速輸送機に着目し、その機体形状としてウェイブライダーの利用を提案している。空力特性、エンジン性能、ミッション解析などを組み合わせたウェイブライダー派生型極超音速輸送機形状に関する統合的最適設計のための拡張性に優れたフレームワーク構築に成功し、得られた機体の特性を明らかにしている。本論文は、ウェイブライダー形状を用いた将来型極超音速輸送機の実現に向けて、有用な知見をもたらすものである。

第1部は研究背景と目的であり、第1章でウェイブライダーを用いたマッハ数5の極超音速輸送機の利点を述べ、第2章で過去の研究を概観し問題点を指摘した上で、第3章において本論文の目的と意義を明確にしている。

第2部では、本研究において開発した機体形状の設計と最適化のためのフレームワークに関する詳細な説明がなされており、第4章から第9章までの6章から成っている。第4章では、ここで扱う機体がラムジェットを用いて極超音速で巡航する極超音速機であり、その設計と最適化に必要なフレームワークの構成が述べられている。第5章はウェイブライダーを用いた極超音速機形状設計法の説明である。ウェイブライダーは、衝撃波を機体前縁に付着させ、衝撃波背後の高い圧力を機体下面に抱え込むことにより高い揚抗比を得る。従って、流れ場を先に決め、その流れ場を実現する機体形状を求める逆設計法が可能である。筆者は、錐状衝撃波流れと二次元衝撃波流れの両方を組み合わせることのできる接触円錐(Osculating Cone)法と呼ばれる手法を採用しており、このことが、機体下面中心線付近に二次元流れをつくり、エンジンとの形状適合性を向上させるために重要であると述べている。第6章は、極超音速飛行のためのラムジェットエンジンの搭載法および性能推算法である。ここでは構造の簡潔さからストラット型のラムジェット(Strut-Based Ramjet)を採用し、準一次元流れモデルによる性能推算法を新たに開発している。第7章では乗客数などのペイロード要求が定義され、それを考慮した機体形状修正法が述べられている。さらに、搭載燃料を含む機体重量と必要機体容積の推算についても説明されている。第8章は空力性能推算法である。第9章では機体形状の最適設計法について説明している。ここでは、機体の空気抵抗とエンジン推力の一致、及び、要求ペイロード重量の実現を考慮した上で、機体全重量の最小化が行われている。ウェイブライダー形状、ラムジェット設計など合計24の設計変数が考慮され、最適化にはダウンヒルシンプレックス法が採用されている。

第3部は、最適設計計算の結果とその考察であり、第10章から第12章までの3章で構成されている。ここでは乗客250人と400人の2つの基本ケースが設定され、第10章において、機体各部位が発生する空気力の配分や重量構成など詳細な結果の検討がなされている。本設計法では、ペイロード収納に必要な大きさを確保した上で、それ以外の機体上面に傾斜をつけて膨張波を形成する設計方針が採用されているが、これが機体上面の圧力を下げ、揚抗比の向上に大きく寄与することを指摘している。第11章は結果の検証であり、流体および飛行軌道の数値解析により、意図した性能が得られることを確認している。第12章では、機体底面の抵抗やエンジンの燃焼効率、トリム性能への要求、空力加熱と熱防御システム設計が機体形状設計と得られる性能にどのような影響を及ぼすかについて、詳細な検討がなされている。

第4部は結論であり、第13章として本研究で得られた知見をまとめている。

付録は8項から成り、風洞実験と数値解析によるウェイブライダー設計法の検証、特性曲線法によるノズル設計法の詳細、エンジン内部の準一次元流れモデルの詳細、経験式による機体重量の推算、HASA法による機体重量の推算、参照温度法による壁面摩擦力推算法、機体周り流れの数値シミュレーション法の詳細、設計した機体の諸元、について説明がなされている。

以上要するに、本論文は、ウェイブライダー派生型極超音速輸送機の空力形状設計と最適化のためのフレームワークを構築し、ペイロード要求やエンジン性能など多様な設計項目を考慮した最適設計について詳細な検討を行ったものであり、極超音速飛行体の空力形状設計法に新しい知見をもたらすとともに、マッハ数5のウェイブライダーが、次世代の高速輸送機として実現可能かつ有望であることを示した点で、航空宇宙工学上貢献するところが大きい。

よって、本論文は博士(工学)の学位請求論文として合格と認められる。

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