No | 119486 | |
著者(漢字) | 内田,和歌奈 | |
著者(英字) | ||
著者(カナ) | ウチダ,ワカナ | |
標題(和) | 性染色体内在テロメアと黒穂菌を用いた雌雄異株植物ヒロハノマンテマの生殖システムに関する分子細胞形態的研究 | |
標題(洋) | Molecular, cytological, and morphological studies on the reproductive system of the dioecious plant Silene latifolia using the interstitial telomeric repeats of sex chromosomes and the smut fungus Microbotryum violaceum | |
報告番号 | 119486 | |
報告番号 | 甲19486 | |
学位授与日 | 2004.03.25 | |
学位種別 | 課程博士 | |
学位種類 | 博士(生命科学) | |
学位記番号 | 博創域第34号 | |
研究科 | 新領域創成科学研究科 | |
専攻 | 先端生命科学専攻 | |
論文審査委員 | ||
内容要旨 | 序論 被子植物の生殖システムは多様である.被子植物の7割は,シロイヌナズナに代表される両性花植物であるが,残り3割の雌雄同株あるいは雌雄異株植物には,トウモロコシ・キュウリ・カボチャあるいはホウレンソウ・アスパラガス・ホップなど重要な農作物が多く存在する.雌雄異株植物の生殖システムの研究には,XY型の性染色体を持つヒロハノマンテマ(図1)は優れた材料である. ヒロハノマンテマの雌雄性は,Y染色体の有無によって遺伝的に決定される.Y染色体上には雄性決定遺伝子が存在しており,これを単離する多くの試みがなされてきたが成功していない.修士課程では,遺伝子ではない,特徴のある構造領域に着目してY染色体の構造を解析した.博士過程では,この研究をさらに発展させた.一方,植物ホルモンや光・温度などの環境要因は,ヒロハノマンテマの性決定には影響しないことが確かめられている.しかし,ヒロハノマンテマには,雌花(XX)に感染するとY染色体のように挙動して雄しべを形成させる黒穂菌の存在が知られている.ヒロハノマンテマの生殖システムを巧妙に利用する黒穂菌がもたらす現象について形態的に解析した. 内在テロメア配列を介したヒロハノマンテマY染色体の進化について 内在テロメア配列(Interstitial telomeric repeats, ITR)は,テロメア配列を介した染色体再構成の痕跡である.モデル植物のシロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana)と,性染色体をもつ雌雄異株植物ヒロハノマンテマ(Silene latifolia)の内在テロメア配列を解析して染色体進化を考察した. シロイヌナズナの内在テロメア配列 テロメア配列(TTTAGGG)を連続して3つ以上含むものを内在テロメア配列として,シロイヌナズナゲノムから,BLASTN検索で,8つの内在テロメア配列を含む領域を同定した.これらはテロメア配列との相同性から3つのクラスに分類できた.内在テロメア配列の近傍(ITR-adjacent sequences, IAS)には,クラスごとに保存性の高い共通配列(IASエレメントa-j)が存在した(図2).転座などにより,内在テロメア配列が形成された後,近傍領域ごとゲノムに重複したと考えられる.120Mbという,高等植物としては比較的小さなゲノムをもつシロイヌナズナでさえ,領域ごとに小さな染色体再構成を何度も経てきたことが示唆された. ヒロハノマンテマの内在テロメア配列 ヒロハノマンテマのY染色体は,X染色体のプロトタイプに,常染色体の一部が転座により付加して生じたと考えられている.この仮説に基づき,転座の痕跡としての内在テロメア配列の単離を試みた.オスのゲノミックライブラリーから9つの内在テロメア配列を単離したところ,これらの近傍領域に,シロイヌナズナと同様,保存性の高い共通配列(IASエレメントa-g)を見出した(図3).IASエレメントの分布から2クラス4タイプに分類できた.テロメア配列をプローブとしたFISH解析では,末端のみが標識され,内在テロメア配列は検出されなかった.内在テロメア配列のサイズが小さい(〜200bp)ためだと考えられる.そこで,テロメア配列の代わりに,IASエレメントd(450bp)をプローブとし,内在テロメア配列のY染色体上への可視化を試みた.X染色体とY染色体のセントロメア付近とサブテロメアにシグナルが検出された(図 4).これはヒロハノマンテマのY染色体の構築にはテロメア配列を介した転座が関与したことを示唆している. 黒穂菌に感染したヒロハノマンテマ雌花(XX)が形成する雄しべの形態解析 テロメア配列を介した転座などの染色体再構成を経て,X染色体とY染色体は異型化し,強力な雄性決定遺伝子をもつY染色体が生じたと考えられる.一方,Y染色体をもたないメス(XX)に感染して雄しべ(葯と花糸)を形成させ,葯で胞子形成を行う黒穂菌 Microbotryum violaceum がいる.黒穂菌は,メスに感染した場合にはY染色体のように挙動する.黒穂菌感染による花の変化を形態的に解析した. 感染個体の花の寿命 ヒロハノマンテマに感染させる黒穂菌2株は,YPD培地に植菌してから5日目にDWに懸濁して108-9cell/mLに調整した.2株を混合すると,接合して2核性の菌糸体となる.2株の混合液を,播種後10日目のヒロハノマンテマの茎頂に傷をつけて接種した.湿度100%,温度16度で培養すると,3ヶ月目に花茎が伸張し開花した(第一花).感染率は100%で,全ての花で黒穂胞子が観察された. 第一花が咲いて14日目の花茎あたりの花の数は,感染により,オスでは8±3個から13±1個に,メスでは3±2個から7±3個に有意に増えた.しかし,14日目までに咲いた全ての花の数は,感染すると,オスでは24±6個から14±5個に,メスでは22±3個から19±5個に有意に減少した.一方,個々の花の寿命は,オスでは3±1日から8±3日に,メスでは6±1日から14±4日に有意に長くなった.咲く花の合計は減少するが,個々の花の寿命が長くなるために,咲いている花の数が増えることがわかった.黒穂菌は虫媒で分布を拡大する.個々の花の寿命が長くなれば,黒穂胞子はより長く花に留まり虫に遭遇する機会を増やすことができる. 感染個体の花原基の形態変化 感染による花原基の形態変化を,低真空走査型電子顕微鏡(NSEM)で観察した(図5).NSEMでは試料を液体窒素で固定して直接クールステージで観察することができる.花原基発達のステージ分けはGrantら(1994)に従った.メスの花原基では,オスと同様に,雄しべ原基と雌しべ原基の両方が分化するが,オスと違って,雄しべ原基はステージ6のまま発達しない.ステージ8,9の感染メスの雄しべの観察から,黒穂菌はメスの花原基で新たな器官形成を行って雄しべ様の構造を作るのではなく,発達を抑制されている雄しべ領域を活性化させて雄しべを発達させることが確認された.黒穂菌は,ヒロハノマンテマがもつ雄しべ形成遺伝子を活性化させていると考えられる. 感染メスの雄しべ(葯)における黒穂菌の分布 感染メスではステージ7以降も雄しべが発達することから,ステージ6か,それより前に,黒穂菌は,メスの雄しべ原基の分化を促すような物質を供給していることが考えられた.この時期の黒穂菌の分布が手がかりになると考え,花原基のテクノビット切片をノマルスキー顕微鏡で観察した.雄しべ(葯)は花粉形成の場であり,ステージごとに花粉となる細胞群が発達する(図8,オス).メスの花原基では,オスと同様に,ステージ5で雄しべ原基が分化し,ステージ6で胞子形成細胞とこれを取囲む側壁細胞が形成される.ステージ5およびステージ6の感染メスの雄しべ原基も同様に発達した.このとき,黒穂菌は雄しべ原基だけでなく,がく・雌しべ・花弁原基にもまばらに分布していた(図6).ステージ7-8のオスの雄しべ原基は,葯と花糸に分かれる.葯では,側壁細胞が3層(タペート細胞・中間層細胞・内被細胞)に分化するが,メスでは分化しない.一方,ステージ7-8の感染メスの葯では,側壁細胞が3層に分化した.黒穂菌の分布と数には変化はなかった.ステージ9のオスの葯では,胞子形成細胞が花粉母細胞に分化する.ステージ9の感染メスの葯では,黒穂菌は胞子形成細胞の間で特異的に増殖を開始し,花粉母細胞は形成されなかった.ステージ10のオスの葯では花粉母細胞から小胞子四分子が形成される.一方,ステージ10の感染メスの葯では,内被と表皮の内側は黒穂菌で埋めつくされた.黒穂菌は,少なくともステージ9になるまで,雄しべ原基を認識していないようにみえる.それにも関わらず,ステージ7-8で,メスでは分化しない側壁細胞が3層に分化するのは,黒穂菌が感染してからずっと側壁細胞の分化に関わる因子を供給しつづけているか,あるいは,感染によるストレスで側壁細胞の分化が進行してしまうか,のいずれかであると考えられる. 感染葯の構造変化と黒穂菌の増殖 感染メスの黒穂菌の分布はステージ8までは葯特異的ではない.感染オスでも同様であった.しかし,成熟ステージ12では,黒穂菌は葯特異的に増殖している.いつ黒穂菌が胞子形成の場として葯を認識するのかを明らかにするために,透過型電子顕微鏡(TEM)でステージ8以降の葯を観察した.観察のポイントは,i)黒穂菌の分布と形態,ii)黒穂菌が宿主細胞の変化を促すような物質を供給しているか,iii)宿主細胞はどのように変化しているのかである.ステージ8-11の葯を加圧凍結固定した.加圧凍結固定は,化学固定および脱水に伴うアーティファクトを回避でき,多細胞の植物組織の固定に適す. ステージ8まで黒穂菌は菌糸体(parasitic hypha)で宿主細胞間領域に分布していた.ステージ8で,黒穂菌糸に隣接する胞子形成細胞の1つが電子密度が高くなって崩壊していた(図7).ステージ9前半では細胞死領域が拡大した.宿主細胞間の黒穂菌の近くには様々な電子密度の物質が観察された.ステージ9後半で,さらに多くの胞子形成細胞が細胞死した.その領域で,発達した黒穂菌糸体(sporogenous hypha)が観察され、分裂して増殖した(teliospore initial).ステージ10になると,タペート細胞・中間層細胞が崩壊して細胞死し,葯の内部では黒穂胞子(young teliospore)が分裂増殖した.黒穂胞子は胞子壁を発達させて成熟した(mature teliospore).ヒロハノマンテマの細胞のうちで,葯の胞子形成細胞は黒穂菌糸に感受性が高いか,あるいは黒穂菌感染のストレスのために細胞死しやくすなり,一方,黒穂菌はこれらの崩壊する胞子形成細胞を認識して増殖を開始すると考えられる(図8). 結論 本研究では雌雄異株植物ヒロハノマンテマの生殖システムに関わる2つの現象を解析した. ヒロハノマンテマ性染色体の起源に関わると考えられる内在テロメア配列を同定した.内在テロメア配列とその近傍の保存配列は,染色体再構成の指標となりうる.シロイヌナズナゲノムにもヒロハノマンテマゲノムにも内在テロメア配列が存在した.FISH解析から,Y染色体は内在テロメア配列を介した転座により獲得された可能性が示唆された. 黒穂菌感染したヒロハノマンテマの葯内部の構造変化を形態的に明らかにした.2-1) 黒穂菌に感染すると,ヒロハノマンテマの花の数は減るが,個々の花の寿命が長くなる.虫媒で分布を拡大する黒穂菌は,花の上に長く留まり,胞子の散布のための機会を増やす.2-2) NSEM観察により,ヒロハノマンテマのメスに感染した黒穂菌は,新たに雄しべ様構造を形成するのではなく,抑制雄しべ原基を活性化させて,雄しべを発達させることが確認された.2-3) テクノビット切片をノマルスキ-顕微鏡で観察した結果,メスの葯では3層に分化しない側壁細胞が,感染により分化する時期には,黒穂菌は葯特異的に分布していないことがわかった.2-4) TEM観察から,黒穂菌の形態変化を明らかにした.感染葯の胞子形成細胞は花粉母細胞に分化する前に崩壊した.崩壊する胞子形成細胞が増加すると黒穂菌は増殖を開始した.タペート細胞・中間層細胞も崩壊して内被と表皮の内側は黒穂胞子で埋まった. ヒロハノマンテマの雄花(左)・雌花(右).オス(XY)は雄花をつけ花粉を内包した10本の雄しべを発達させる.メス(XX)は雌花をつけ5本の花柱をもつ雌しべを発達させる.雄花では雌しべ原基が発達せず,雌花では雄しべ原基が発達しない. シロイヌナズナの内在テロメア近傍領域 (ITR-adjacent sequences, IAS).シロイヌナズナ内在テロメア配列(三角)の近傍(IAS)には保存性の高い共通配列,IASエレメントa-jが存在する.3クラスに分類できた.セントロメア内部の内在テロメアも存在する. ヒロハノマンテマのIAS.ヒロハノマンテマIASにも保存性の高い共通配列,IASエレメントa-g(図2のa-jとは異なる)が存在する.IASエレメントの分布から2クラス4タイプに分類できた. ヒロハノマンテマIAS-dのFISH解析.テロメア配列は染色体末端のみに(A),IAS-dはX染色体とY染色体のセントロメア付近(矢印)とサブテロメア(矢頭)に検出された(B). ヒロハノマンテマ花原基の観察.ステージ6,8,9は低真空SEM像,ステージ12は実体顕微鏡像.Mオス,IM感染オス.雌しべ原基(g)が発達しない.Fメス.雄しべ原基(st)がステージ6のまま発達しない(矢頭).IF感染メス.ステージ6以降も雄しべ原基(st)が発達する(矢印).ステージ分けはGrantら(1994)に従う. 感染メスの雄しべ(葯)での黒穂菌分布.葯のテクノビット切片のノマノレスキ-顕微鏡観察像.IF感染メス.胞子形成細胞(sp)と側壁細胞(pa)が形成される.黒穂菌(矢頭)はまばら(ステージ6).側壁細胞が,タペート細胞(tp)・中間層細胞(ml)・内被細胞(en)に分化.メスでは分化しない.黒穂菌(矢頭)はまばら(ステージ7-8).胞子形成細胞(sp)の細胞間領域で黒穂菌(矢頭)が増殖し始める(ステージ9).胞子形成細胞とタペート細胞は崩壊して観察されない.内被(en)が発達.内被と表皮(ep)の内側は黒穂菌で埋めつくされる(ステージ10). 感染メス葯の細胞死と黒穂菌の増殖.加圧凍結固定後,樹脂包埋したオスと感染メスの葯の切片の電子顕微鏡観察像.Mオス.胞子形成細胞(sp)と4層の葯壁層(ステージ8).花粉母細胞(pmc)のカロース壁(ca)は電子密度が高い(ステージ9).発達中の小胞子(ms, ステージ11).IF感染メス.ステージ8 胞子形成細胞(sp)の一部が細胞死して電子密度が高くなっている(矢印).死んだ宿主細胞(*)付近に黒穂菌糸(hy).ステージ9前半 細胞死領域が増す(矢印).黒穂菌が宿主細胞(HC)に電子密度の高い物質を分泌(矢頭).ステージ9後半 細胞死領域がさらに拡大(矢印).崩壊しつつある胞子形成細胞の間で,黒穂菌(ti)の発達した菌糸(shy)が観察される.ステージ10 葯内部は,分裂を繰り返す黒穂菌(ti)で埋まる.黒穂菌は厚い胞子壁をもつ2nの冬胞子を形成する. 雄しべの内部構造の変化 | |
審査要旨 | 本論文は,XY型の性染色体を持つ雌雄異株植物ヒロハノマンテマの生殖システムに関わる2つの現象を解析した4章からなる.ヒロハノマンテマの雌雄性は,Y染色体の有無によって遺伝的に決定される.Y染色体上には雄性決定遺伝子が存在しており,これを単離する多くの試みがなされてきたが成功していない.本論文ではテロメア配列を介した染色体再構成の痕跡である「内在テロメア配列」に着目してY染色体の構造を解析している.第1章ではシロイヌナズナゲノムにおける内在テロメア配列の特徴を明らかにし,第2章ではヒロハノマンテマの内在テロメア配列を同定してY染色体に局在する可能性を示している.ヒロハノマンテマの性決定には,植物ホルモンや光・温度などの環境要因は影響しないことが確かめられている.しかし,黒穂菌はY染色体をもたない雌花に感染して,雄しべを形成させる.第3・4章では,黒穂菌がもたらすヒロハノマンテマ生殖器官発達時の形態変化に注目し,第3章では光学顕微鏡観察を中心とした解析,第4章では電子顕微鏡を用いた形態解析について述べている. シロイヌナズナの内在テロメア配列 テロメア配列(TTTAGGG)を連続して3つ以上含むものを内在テロメア配列として,シロイヌナズナゲノムから,BLASTN検索で,8つの内在テロメア配列を含む領域を同定した.これらはテロメア配列との相同性から3つのクラスに分類できた.内在テロメア配列の近傍には,クラスごとに保存性の高い共通配列が存在した.転座などにより,内在テロメア配列が形成された後,近傍領域ごとゲノムに重複したと考えられる.高等植物としては比較的小さなゲノムをもつシロイヌナズナでさえ,領域ごとに小さな染色体再構成を何度も経てきたことが示唆された. ヒロハノマンテマの内在テロメア配列 ヒロハノマンテマのY染色体は,X染色体のプロトタイプに,常染色体の一部が転座により付加して生じたと考えられている.この仮説に基づき,転座の痕跡としての内在テロメア配列の単離を試みた.雄のゲノミックライブラリーから9つの内在テロメア配列を単離したところ,これらの近傍領域に,保存性の高い共通配列を見出した.IASエレメントの分布から2クラスに分類できた.テロメア配列をプローブとしたFISH解析では,末端のみが標識され,内在テロメア配列は検出されなかった.代わりに内在テロメア近傍の共通配列をプローブとしたところ,X染色体とY染色体のセントロメア付近とサブテロメアにシグナルが検出された.これはヒロハノマンテマのY染色体の構築にはテロメア配列を介した転座が関与したことを示唆している. ヒロハノマンテマ雌花に感染した黒穂菌が誘導した雄蕊の形態解析 黒穂菌に感染すると,ヒロハノマンテマの花の数は減るが,個々の花の寿命が長くなる.虫媒で分布を拡大する黒穂菌は,花の上に長く留まり,胞子の散布のための機会を増やす.NSEM観察により,ヒロハノマンテマの雌に感染した黒穂菌は,新たに雄しべ様構造を形成するのではなく,抑制雄しべ原基を活性化させて,雄しべを発達させることが確認された.テクノビット切片をノマルスキ-顕微鏡で観察した結果,雌の葯では3層に分化しない側壁細胞が,感染により分化する時期には,黒穂菌は葯特異的に分布していないことがわかった. ヒロハノマンテマ雌花に感染した黒穂菌が誘導した雄蕊の微細構造解析 感染葯の胞子形成細胞は花粉母細胞に分化する前に崩壊した.崩壊する胞子形成細胞が増加すると黒穂菌は増殖を開始した.タペート細胞・中間層細胞も崩壊して内被と表皮の内側は黒穂胞子で埋まった. なお,本論文第1章は,松永幸大・杉山立志・河野重行との,第2章は,松永幸大・杉山立志・柴田洋・宮沢豊・日詰雅博・河野重行との,第3章は,松永幸大・杉山立志・風間裕介・河野重行との,第4章は,松永幸大・河野重行との共同研究であるが,論文提出者が主体となって分析及び検証を行ったもので,論文提出者の寄与が十分であると判断する. したがって,博士(生命科学)の学位を授与できると認める. | |
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