No | 119710 | |
著者(漢字) | ||
著者(英字) | ||
著者(カナ) | アレクサンダー,シェペレフ | |
標題(和) | 照射下における三元合金の原子偏析についての研究 | |
標題(洋) | Segregation in ternary alloys under irradiation | |
報告番号 | 119710 | |
報告番号 | 甲19710 | |
学位授与日 | 2004.09.30 | |
学位種別 | 課程博士 | |
学位種類 | 博士(工学) | |
学位記番号 | 博工第5915号 | |
研究科 | 工学系研究科 | |
専攻 | システム量子工学専攻 | |
論文審査委員 | ||
内容要旨 | 序論 この研究の目的は偏析への照射時の移動する格子間原子集合体への力学的なものと化学的な特性への影響にいて研究することです。 照射によって作られた点欠陥、面欠陥、微細構造やミクロコンポジショナルは力学的に、そして化学的な特性を変化させる。これらの中には欠陥のスウェリングや照射によるクリープや融解した偏析や脆化をふくみます。偏析は欠陥が動く温度領域で起こります、そしてそれは照射なしでは決して起こらない加算された重さが移動するメカニズムが現れることによって起こります。 これらの重さの移動というメカニズムは合金のフラックスと非平衡の点欠陥のシンクへのカップリングによって引き起こされます。照射によって誘起された偏析のモデルは逆Kirkendall効果によっておこり、このことで照射下のモデル合金での元素の偏析について予想することにせいこうしています。このモデルでは偏析は選択的な原子空孔のジャンプの結果起こります。 しかし、高い照射フラックスや広い温度領域では格子間原子の移動はこのモデルによらなければいけません。 論分の最初の項で三元合金のモデル結果が与えられています。線量の違いの効果や照射かの粒界での複合物の変化について研究しています。2番目の章では格子間原子の集合や移動の違いが合金モデルに含くめています。3つ目の章では格子間原子の移動のメカニズムがランダム合金モデルに含めています。集合エネルギーを求めるために移動や格子間原子ダンベルの交換を第一原理の電子構造に起因するものや分子動力学(CPMD)のプログラムを用いた計算を4章で行っています。 1合金モデル 顕微鏡レベルでは結晶格子での点欠陥や溶質の集中は次のような式で表されます。 Ck はk(Fe, Ni, Cr)それぞれの集合、Ciは格子間原子の集合、Cvは原子の集合、J はフラックスで、tは時間です。. P点欠陥生成率、,R再結合率, pd転位密度。 Zシンクの消失率です。. 格子間のフラックス(Ji)、空孔(Jv)溶質原子(Jk)は: Jk=-Dkα▽Ck+Ck(dkv▽Ck-dki▽Ci) Ji=-CiΣdkiα▽Ck-Di▽Ci Jv=CvΣdkvα▽Ck-Dv▽Cv(2) αは温度に依存するパラメーターDj拡散のインコフィーシエント性,溶質原子ではDk=dkvCv+dkiCi,格子間原子ではDi=ΣkdkiCi空孔ではDv=ΣkdkvCv。dkiとdkv原子の拡散のインコフィーシエント性です。 線量の変化による影響のためにこの異なる数式によって低い線量の長い時間かけての照射は複合物に大きな変化をもたらす。とくに、Fe-20Cr-25NiにおけるCrの結晶粒界での枯渇はis Ni(Fig.1)の集中に繋がっている。温度の影響で叉、複合物での最も高い変化が低い線量率で起こる。偏析レベルの高い温度での現象は低い線量で重要になる偏析の影響で起こる。(Fig. 2). このモデルによって格子間原子と空孔によって引き起こされる偏析のメカニズムが導かれる。しかし、格子間としてのそれぞれのものの移動パラメーターは同等に設定してある。このことによって格子間による偏析の引き起こしは無視されている。 Crの空孔の交換率はNiのそれよりも高い。それゆえ、欠陥によって引き起こされた偏析のメカニズムによって結晶粒界でCrは枯渇し、Niは過剰になる。 2格子間原子集合体の移動 古典的な格子間原子クラスターは欠陥への拡散のときランダムに衝突する。Niの格子間が遠視集合体のモデルで優先的な形成が推測される。それらは単一の格子間原子と同じ可動性に設定される。 格子間原子複合体や点欠陥の集合体は以下のように表される。 C2は2格子間の集中で,C33格子間の集中で,C44格子間の集中です。 レートはサイズjの格子間原子集合体と2あるいは3格子間原子の熱による転移の点欠陥への衝突を一定にする。: τ4 は最初の障害となるループサイズの成長に反する4格子間の寿命です。 格子間原子 集合体と点欠陥の集中の図です。 Fe-14.27Cr-16.22Ni,線量1dpa、温度700K 高い線量率で欠陥の集中は結晶粒界のみに起こる。Niクラスターの高い密度での集合はNiの偏析を引き起こす。 Ni-Ni集合体 の偏析上での影響 Fe-14.27Cr-16.22Ni、線量 1dpa、温度 700K Ni格子原子集合体のフラックスによって結晶粒界でのNiの集中が上昇する。 3.格子間原子の移動のメカニズム 高い線量率、特にfcc合金の格子間原子はダンベルと言う2つの原子が一つの格子サイトを占めるという役割を果たす。これらの原子は格子間原子のメカニズムで移動する。格子間原子の移動においてダンベルの一つの原子は隣接する格子サイトに新しいダンベルをそこに作って移動し、残ったもう一つの原子が格子サイトに戻ってくる。偏析の三元合金の修正モデルでは原子や点欠陥の時間や空間的な成長は格子間原子の移動は格子間原子のメカニズムを通して起こると考えられる。 Fcc三元合金は3つのタイプの原子が含まれていると考えられている。(AとBとC)それらは6つのタイプのダンベルを形成する。(AA, AB, AC, BB, BC と CC).これらのダンベルの可能な展開は描かれている。ダンベルは3つの異なる種類のジャンプをする。それはケージモーション、回転、転移です。ケージモーションだけが回転と関わって超距離の移動を導く。そのような移動は移動エネルギーEMiによって決められる。ダンベルの転移によってダンベルタイプのコンバージョンやコンバージョンエネルギーECiのフラックスの同等性で決められる。 ランダム合金と言うものが考えられAやB、Cと言った格子サイズの占有可能性はそれらの集中と同様に単純に推測される。格子間原子ダンベルのフラックスは下のように与えられる。: JiAA=-DiAA(CA▽CAA-CAA▽CA)-D(AA→AB)(CB▽CAA-CAA▽CB)/2-D(AA→AC)(CC▽CAA-CAA▽CC)/2-D(AB→AA)(CA▽CAB-CAB▽CA)/2-D(AC→AA)(CA▽CAC-CAC▽CA)/2(5) この式の最初の右側の因子はAAダンベルの拡散によるフラックスの影響によるものです。次の因子はすべての可能なAAダンベルの交換によるものを描いたものです。[6,7]. 1/2因子は必要である。なぜなら格子間原子ダンベルの移動はダンベルの一つの原子が隣のサイトに移動するジャンプによって引き起こされるものです。 JiBBとJiccの表現によって単純にかける。 JiAB=JiABA+JiABB+JiABC,JiAC=JiACA+JiACB+JiACC,JiBC=JiBCA+JiBCB+JiBCC(6) JiABA=-DiAB(CA▽CAB-CAB▽CA)-D(AB→BB)(CB▽CAB-CAB▽CB)/2-D(BB→AB)(CA▽CBB-CBB▽CA)/2(7) JiABB,JiABC,JiACA,JiACB,JiACC,JiBCA,JiBCBとJiBCCの表現は単純にかける。 この表現においてDは拡散の係数でCはCABと比較してJiABAの集中によるダンベルの移動過程によって起こる。それは、ABダンベルにおいてA原子が残ってB原子がジャンプしてA原子にABダンベルが形成される移動過程です。 格子原子の空孔の交換による移動はランダム合金モデルによって Jv=-(DvACA+DcBCB+DvCCC)▽Cv+DvACv▽CA+DvBCv▽CB+DvCCv▽CC(8) 更なるフラックスによって空孔メカニズムによって原子のフラックスが解け、CAの変化はAAダンベルの移動によって起こる。それはAタイプの原子が開放され、単純にダンベルの移動や集中によってCBとCCが変わるからです。 JA=-DvACv▽CA+DvACA▽Cv-JiAA-JiABA-JiACA JB=-DvBCv▽CB+DvBCB▽Cv-JiBB-JiABB-JiBCB JC=-DvCCv▽CC+DvCCC▽Cv-JiCC-JiACC-JiBCC(9) 濃度方程式。 フラックスによる点欠陥生成について結合すると、格子原子ダンベルと空孔やコンバージョンの格子間原子型ダンベル間での集合は下のような式によって書ける。 〓と〓の表現は単純に RAA=[K1AACA+K1(AA→AB)CB+K1vACA+K1vBCB+K1(AA→AC)CC+k1vCCC]CiAACV(13) RBB,RCC,RAB,RAC and RBCは単純に ここで、 P欠陥生成率,K1は再結合率、K2はダンベルの変換率定数, そしてRはダンベルの結果への再結合率。_はダンベルと空孔の再結合率です。 拡散のインコフィーシエントや率定数は数式によって Dn=αnvnexp(-Emn/kT),Dn(conv.)=αnvnexp(-Ecn/kT) Kn=αnvnexp(-Ecn/kT),Kn(conv.)=αnvnexp(-Ecn/kT)(14) αは幾何学的因子、vジャンプ周期、Emは移動エネルギー、Ecダンベルコンバージョンエネルギーはすべてのタイプのダンベルの移動 4.格子間原子ダンベルの移動や結合のエネルギー形成 CPMDによる電子構造へのアプローチは Hohenberg-Kohn-Sham平面波の密度関数理論/スードポテンシャルインプリメンテーションと一般化グラジエント近似です。 エネルギーや力やストレススードポテンシャル、粒界条件や最適化手順や並列化などなどは この得意な電子状態問題に結論を与える。Fe、CrやNi原子へのVanderbiltのウルトラソフトスードポテンシャル(GGA PW91)を使うことによってこのコードは作られている。原子レベルのシミュレーションにおいて点欠陥はシミュレーションブロックの真ん中にあり、ブロック全体のエネルギーは原子の転移が結晶粒界情景に選択され最小となるようにされている。移動エネルギーは緩和された 格子の 最も近いサイト でエネルギーバリアの高さ(鞍点)である。 結論 照射による析出生成の格子間原子移動の貢献はfccの三元合金によってなされる。格子原子集合体のもでるや拡散や格子原子ダンベルのコンバージョンは表現される。 Ni-Niカップリングは双方に最も重要なモデルです。格子間原子クラスターの表現や進化や移動は特に低い線量率では偏析モデルで考えなければならない。低いフラックスでは析出が起こされる。ループの成長や転位密度はフラックスに敏感で結晶粒界の析出には高い線量率では強く影響しないと言えます。 Fig.1 560K.、1dpaにおける照射後の粒界におけるNiとCr偏析の.線量依存性 Fig.2 照射後のNiとCrの結晶粒界における偏析1dpaでFe-14.27Cr-16.22Ni合金での温度依存性 Fig.3Dose rate = 10-10dpa s-1 Fig.4Dose rate=10-6dpa s-1 Fig.5Dose rate=10-3dpa s-1 Fig.6 格子間原子の移動エネルギーは1.1 eV Fig.7 格子間原子の移動エネルギーは0.85 eV | |
審査要旨 | 本論文は、照射環境におかれる合金材料において、機械的性質と化学的性質の変化の多大なる影響を及ぼす照射誘起偏析を評価するモデルを開発することによって、長期間に渡って使用される材料の健全性を予測評価する手法の基盤を確立しようとするものである。 論文は7章で構成されており、第1章は材料の照射効果全般をサーベイし、照射誘起偏析過程の原子論的基盤を整理するとともに、照射誘起偏析モデル構築による材料特性変化予測の必要性を議論している。 第2章は、照射誘起偏析の反応速度論的手法を用いたモデルによって、異なる損傷速度から得られた鉄-クロム-ニッケル系3元合金における偏析結果を評価している。この結果、実用炉条件からイオン照射による高い損傷速度に至る広い範囲において、損傷速度が低いほど照射誘起偏析が大きくなることを合金系ごとに定量的に示すことに成功している。 第3章は、鉄-クロム-ニッケル系3元合金において、格子間原子の集合体として最も高い頻度で形成されうるニッケルどおしの複合体の形成のモデル化を試み、近年、分子動力学法等によって明らかにされてきた格子間原子の微少集合体の移動過程も取り込んで、照射誘起偏析を評価するモデルを構築することに成功している。この結果、特に低い損傷導入速度でニッケル複合体モデルを用いた評価がさらに照射誘起偏析を加速しうることを示唆している。 第4章では、格子間原子集合体の形成と移動過程をさらに一般的に取り扱うために、合金における格子間原子ダンベルの形成、変換と拡散を取り扱うモデルを定式化することを試み、これを3元系合金に適用できるモデルとして完成させた。 第5章では、4章において構築したモデルのパラメータについて、議論しており、各種の実験結果と第一原理的な計算手法を援用して、各種の格子間原子ダンベル間のエネルギー差が、照射誘起偏析結果に本質的であることを示唆するとともに、適切なパラメータの組み合わせを提示している。この上で、新たに構築した格子間原子ダンベルを取り込んだモデルが、特に低損傷速度と高温において従来モデルとは、異なった結果を与えることを示している。 第6章は、第4章と5章において、開発したモデルによる照射誘起偏析評価結果を各種の実験結果と比較している。この結果、多くの実験結果が新たなモデルによって、よく再現しうることを示している。また、格子間原子ダンベルに基づくモデルが拡張できると考えられる格子間不純物を含有する実用合金についての照射誘起偏析結果をモデル計算結果と比較して議論しており、本研究で開発したモデルの適用性を評価している。さらに、照射誘起偏析と照射下クリープ変形及びスエリングによる体積膨張を同様なミクロモデルによって問い扱いうることを示しており、析出物を形成する合金材料を含めて、モデルの汎用性が高いことを示している。 第7章は、結論であり、合金材料における照射誘起偏析を格子間原子集合体の形成と拡散を適切に表現するモデルによって評価できる手法の開発とその有用性をまとめている。また、多元系合金材料に活用できる汎用モデルとしての重要性、及び損傷速度効果を適切に表現することによって、超長期間の材料挙動を短時間の加速試験等から得られた試験結果をも併用して、説得力のある評価手法とできることを議論している。 以上を要するに本論文においては、評価が困難であった照射誘起偏析過程をミクロモデルに基づいて評価することに成功しており、システム量子工学、特に量子材料工学並びにシステム保全学に寄与するとことが大きい。よって本論文は博士(工学)の学位請求論文として合格と認められる。 | |
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