学位論文要旨



No 123163
著者(漢字) 孫,亨燮
著者(英字)
著者(カナ) ソン,ヒョンソプ
標題(和) プライバシー権と個人情報保護の憲法理論
標題(洋)
報告番号 123163
報告番号 甲23163
学位授与日 2008.03.06
学位種別 課程博士
学位種類 博士(法学)
学位記番号 博法第215号
研究科 法学政治学研究科
専攻 総合法政専攻
論文審査委員 主査: 東京大学 教授 石川,健治
 東京大学 教授 長谷部,恭男
 東京大学 教授 斎藤,誠
 東京大学 教授 荒木,尚志
 東京大学 教授 川出,良枝
内容要旨 要旨を表示する

本研究は、情報社会における重要な法的・社会的論点であるプライバシー権・個人情報保護の法理論を特に憲法理論的側面から研究するものである。現代情報社会において人格の尊重にかかるプライバシー権・個人情報保護に対しては、様々な危険が存在する。法的に保護されるべきプライバシー・個人情報の意味を究明し、関連する現代の法的争点を解決することが本論文の研究目的である。

比較分析的研究方法により、空間的には、アメリカ、EU、日本、韓国のプライバシー権理論及び個人情報保護法制度を検討した。時間的には、プライバシー権のみならず、ローマ法・ドイツ・イギリス・アメリカの名誉毀損法理等、プライバシー権と類似・関連する法理論・法概念等を通時的に検討することで、プライバシー権概念の明確化を試みた。全体は三部に分かれ、各々四章ずつで構成されており、全12章にかけて論じた。

第一部では、プライバシー権・個人情報とは何であるか、そしてそれらの司法審査に関する法理論はいかにあるべきかを四つの章で論じた。第一章は、プライバシーの意味を論ずる。プライバシー権がWarren&Brandeis論文ではじめて法的権利として主張されたのは、アメリカでの表現の自由の伸張により、名誉毀損に関して真実性の抗弁が広く認められたため、縮減された名誉毀損の保護領域を「ひとりにしておいてもらう権利」としてのプライバシー権によって保護することが目的であった経緯も分析した。プライバシー権と名誉毀損の関係は、ローマ法からの人格権法理と接続する点も明らかにした。

第二章では、プライバシー権の概念に関するアメリカの様々な論議を紹介し、分析・評価した。Westin、Fried、Parker、Gerety 等の見解を検討し、プライバシー権を情報社会における自己情報コントロール権として捉える議論の価値及びその限界を究明した。人格的プライバシー権説、また実用主義的アプローチ等についても、その価値及び限界を検討した。そして、プライバシー権が現に有する多様な意義および領域をありのままに受け入れるべきだとの判断から、憲法上のプライバシー権として全領域を包括する最広義のプライバシー権を概念化し、その領域の中から日本国憲法の他の条文により優先的に保障される人権を除外して、プライバシー権を「人格にかかる、個人の私生活の秘密を保護し、自己情報に関する接近・保有等をコントロールする権利」と定義した。

第三章では、プライバシー権と個人情報の概念を区別し、他の隣接概念をも検討してプライバシー権及び個人情報の領域的関係を分析した。最近では、個人情報保護法制度の登場によってプライバシー権の保護意識が高まっている。個人情報には、情報プライバシー権として保護される領域と保護対象ではなく自由に利用可能な領域があることを図によって説明した。個人情報保護法制はプライバシーの重要な部分の保護に貢献しているが、その他の保護されないプライバシーについては、民・刑事法及び他の法制によって保護するべきであると言える。

第四章では、憲法上の権利としてのプライバシー権を保護するための司法審査基準論を論じた。二重の基準論と比例原則を検討して、プライバシー権に関する司法審査を行う方法、特に、どのプライバシーへの制約が厳格審査されるべきかを論じ、切り札としてのプライバシー権及び当該領域に対するプライバシー権の司法審査基準を論じた。多数決による立法手続の反復を防止し、不当な立法から切り札としての人権であり、プライバシー権の中核的領域に当たる個人情報を公開・収集・保有・管理する立法行為等の公権力的侵害に対しては、司法府は厳格な判断基準を適用すべきである。そして、二重の審査基準の下での厳格審査と同様の機能は、比例原則の厳格な適用によっても果たすことができると考えられる。

第二部では、第一部で検討したプライバシー権の概念及びその法理論を基礎にして、各国におけるプライバシー・個人情報の侵害に対する対応と保護法制について論じた。第一章では、アメリカのプライバシー保護の伝統、判例、その保護のあり方を分析した。アメリカは、プライバシーに関する数百もの法律を有し、コモン・ローの不法行為による保護等をも備えるなど、プライバシー保護は「多元的で複雑」である。 情報化時代におけるアメリカのプライバシー権及び個人情報問題に関する豊かな判例・理論は重要な先行研究としての価値がある。公的部門ではFOIA、Privacy Actが作用し、民間部門は自主規制を原則とする制度態様は他の国にも影響を与えている。しかし、9・11テロ事件の後、反テロ立法などによるプライバシー権侵害の恐れがあり、個人情報の広範囲な調査や販売に関する問題を抱えている。

第二章では、ヨーロッパのプライバシーに関する法は、分野別(sector)に個人情報を保護しているアメリカのプライバシー法とは異なり、包括的に公共・民間部門を規律するのが特徴である。 EUの「1950年ヨーロッパ人権条約」、「1980年OECDのプライバシーガイドライン」、「1995年EU個人情報保護指令」は、プライバシー権・個人情報保護の国際的標準を定めており、EU加盟国の実定法のみならず他の国にも影響を与えている。

第三章では、日本のプライバシー法理の展開を概観した。日本は民事事件においてプライバシー権を認定することで、プライバシー権の法理を発足させ、展開した。アメリカ、特にEUの論議を反映した個人情報保護法の立法とともに国民的なプライバシー・個人情報の保護意識は高まった。他方で、プライバシー権の侵害技術も多様化している。

日本においては国際的プライバシー権・個人情報の保護とその合理的・合法的利用に関する興味深い論議が継続している。情報を誰もがどこでも利用しうるユビキタス時代への技術の発達を背景として、プライバシーの保護と個人情報の合理的利用の両立を目指した課題に対処することができる法理論の構築を目指すことが求められている。

第四章では、韓国のプライバシー権について、「私生活の秘密及び自由」(憲法17条)の条文化によるプライバシー権、特に自己決定権・自己情報決定権の論議の異同を検討した。また、 「公共機関個人情報保護法」と「情報通信網律」等の問題点を先進的な個人情報理論に照らして分析した。また、インターネット上の多様な侵害様相に対応する事例に配意し、法的検討を加えた。

第三部においては、現代社会におけるプライバシー権の重要な論点を挙げて、様々な問題を解決する法理論の展開を試みた。

政府が電子化・情報化によって市民に便利なサービスを提供し、企業が市民の情報の利用・管理を通じて営業上あるいは取引上の利便性・安全性を提供する法制度上の前提として、人権としてのプライバシー権、公共財としてのプライバシー権の保護は先行条件である。しかし、そのためには法的に保護されるべきプライバシー権の領域と自由に利用できる個人情報の明確な区別が必要である。また、法的に保護されるべきプライバシー権についても、憲法上厳格な保護が必要な領域と政策的考慮によって一定の制限が合理的に可能である一般プライバシー権の区別が必要である。

第二章では現代プライバシー権の憲法的論点を含む事例を提示し、それを中心に自己情報コントロール権としてのプライバシー権の法理論を検討した。「指紋採取」の問題において、日本の外国人登録法にかかる判決と韓国の住民登録法上の指紋押捺制度を検討して、(1)プライバシー権の中核領域にあたる個人情報、(2)一般プライバシー権にあたる領域を区別して、それぞれを司法審査において厳格に保障しなければならない切り札としてのプライバシー権と合理性の基準審査(あるいは緩やかな基準審査)が妥当するプライバシー権の区別に対応させた。指紋の採取・保有・管理はプライバシー権の侵害に関わる問題であるが、その侵害によって直接に深刻な人格的損害をもたらすプライバシー権の中核領域の侵害、すなわち切り札としてのプライバシー権が侵害されるわけではない。その議論に基づいて、指紋制度は公益を根拠とする合理的な政策的立法形成が可能な制度と評価される。しかし、指紋の採取・保有・管理に関わる制度は、他の基本的人権を侵害するか、そのプライバシー権の侵害の危険性が増加することによって違憲と判断される可能性はあるので、立法府・行政府はその公権力の行使においてプライバシー権の効果的保護に留意するべきである。このような法理論は韓国の教育情報システムによる学校で教育情報の収集・管理・利用の問題に関しても妥当する。また、軍事機関で法的根拠なしに民間人のセンシティヴ情報を収集・管理する行為の不法性の判断にも、妥当することになる。個人情報の提供の事例として韓国において、警察官が法的根拠なく住民番号を通じて個人情報を照会し、その情報を第三者に提供した事例に鑑み、日本の住民基本台帳制度の運用における公務員の個人情報漏洩の危険に警鐘を発した。

このような自己情報コントロール権に関する事例及び法理論の研究は、現代日本における住民基本台帳法上の住基ネット制度の合憲性を論じることに至る。第三章では、「住基ネットと個人情報の保護」との関係を研究課題とし、日本における住基ネットに関する判例を筆者のプライバシー権の法理論によって分析した。住基ネットで収集・保有・管理する個人情報は直接及び深刻の人格的侵害がない一般プライバシー権の領域に当たるもので本制度は当然には違憲ではないと判断される。しかし、その一方で、さらにプライバシー権の侵害の危険性が具体化すると違憲と判断される可能性があることを説明した。

最後に、第四章において筆者のプライバシー権理論を整理し、プライバシー概念の源流と実体の多様性を認め、その中で憲法上の価値に応じて、切り札としてのプライバシー権の領域をその中核領域(the core zone of privacy)とし、その他の法的保護が必要である一般プライバシー権の領域(the general zone of privacy)と区別した。それは憲法上の判断における侵害の違憲性の有無、審査基準に関して厳格な憲法的保障を受けるか否か、また政策的判断の余地があるかの区別と関連する。さらに、その理論に基づいて、司法審査によって厳格に保障されない一般プライバシー権にも、行政府及び立法府による最適の保護を義務付けているものであると述べた。

従来のプライバシー権における問題点は、保護範囲が狭いことにあったのではない。プライバシー権として主張される領域は広いのに、その広範な保護領域中でいかなる領域をどの程度保護すべきかが明確でなかったことに問題があったと筆者は判断する。故に、プライバシー権の人権としての価値を究明し、その法的保護の領域を明確にすることによって「より強い保障」が可能となり、利用可能な個人情報に対しては「より便利な利用」を可能とすることが重要である。プライバシー権の適切で一貫した法的保護のための論議に、本研究が貢献することができれば幸いである。

審査要旨 要旨を表示する

プライバシーおよび個人情報保護は、情報化社会において鍵となる法的論点である。新たに登場する情報技術によって現代生活の利便性が飛躍的に向上する一方で、本人の知らない形で個人情報が収集・管理・利用されるなど、プライバシー侵害への懸念も高まっている。本論文は、プライバシーおよび個人情報保護の概念と意義を分析し、各国の関連する法制度を比較検討するとともに、情報化社会の直面する多様な憲法上の論点を解明することを課題とする。

論文は、序論の他、全体で3部に分かれ、各部はそれぞれ4章で構成されている。序論では、研究目的並びに論文全体の構成が示される。第一部では、プライバシーおよび個人情報の意義と両者の関係が分析され、その上で、プライバシーを侵害する国家行為に妥当する違憲審査基準を導出する上での基本的な視点が示される。第二部では、アメリカ合衆国、EU、日本および韓国におけるプライバシー権法理の発展と個人情報保護法制の展開が跡づけられる。第三部では、住民登録制度、指紋採取、教育情報システムなど、各国の個別の問題に即した検討が行われ、中でも日本の住民基本台帳ネットワークが含む憲法上の論点が分析される。

第一部「プライバシー権とは」では、サミュエル・ウォーレンとルイス・ブランダイスによる著名な論文を出発点とするプライバシー概念の生成と展開、プライバシー保護と名誉保護との相補的関係、プライバシーと個人情報との異同が分析される。アラン・ウェスティンの情報コントロール権としてのプライバシーの把握、自己情報コントロール権の重要性を人間関係の形成を自律的に選択する能力に求めるチャールズ・フリードの見解、自己情報のコントロールを自己(の一部)を誰が覚知しうるかに関するコントロールとして捉え直すリチャード・パーカーの議論、プライバシーに関するさまざまな理解が個別の法的論点の解明に資するか否かを重視するダニエル・ソローヴの実用主義的アプローチ等を概観した上で、著者は、プライバシー権に関するいずれの把握もプライバシーとして各社会において理解されているものを統一的に過不足なく捉えることは困難であるとし、当該社会において現にプライバシーとされる雑多なものを広くプライバシーとして受け止めるしかないとする還元主義の立場が妥当であるとする。

しかし、こうして広く把握されたプライバシーがすべて憲法上、同等の保護に値するわけではない。著者は、裁判所による司法審査の核心的機能は、社会の構成員の選好を集計することで社会全体の統一的決定を導く政治部門によっては左右されるべきではない、各構成員の人格的自律に関わる利益――「切り札」としての人権――を保護することにあるとし、プライバシーを制約する国家行為がいかなる違憲審査基準に服することになるかを判断するにあたっては、そこで問題とされているプライバシーが当事者の人格的自律に関わるものといえるか否か、そして、侵害の態様が直接的なものであるか否かが主要な論点となるとする。この結果、プライバシーの中でも、憲法上、厳格な審査による厚い保障が必要となる領域と政策的考慮に基づいて一定の合理的制約が可能となる領域との区別が導かれる。このことは、プライバシーと重なり合いながらも外延を異にする個人情報の制約に関わる違憲審査についても当てはまる。

第二部「各国のプライバシー権」では、民間部門での個人情報保護について部門ごとの自主規制を主とし、9・11テロ以降は公的機関による広汎なプライバシー侵害のおそれが懸念されているアメリカ合衆国、公共部門・民間部門を包括する個人情報保護法制を備えるEU諸国、さらにこうした国々の影響を受けつつプライバシー・個人情報保護法制を発展させてきた日本と韓国におけるプライバシー権法理および個人情報保護法制の展開がさまざまな判例・立法例を素材とし、その問題点の指摘を含めて、詳細に跡づけられる。とりわけ、韓国における公共機関個人情報保護法制が、多くの例外規定や適用除外の法令を含むため、個人情報保護の観点から、十分な法制とはいい難い点が指摘される。第二部の各国の法制・判例等の紹介は、プライバシー概念の理解が時代により、また社会によって異なるものであり、特定の観念によってすべてを過不足なく説明することは困難であると第一部での主張を裏付ける意味を持つ。

第三部「現代社会におけるプライバシー権の争点」では、第一部で導かれたプライバシーおよび個人情報保護に関する概念の整理と違憲審査のアプローチを具体的な問題にあてはめることを通じて、現代社会が直面する多様な憲法の争点を解明することが試みられる。とりあげられるのは、日本の外国人登録法上の指紋採取に関する判例、韓国の住民登録法上の指紋押捺制度、韓国の教育情報システム等であるが、中でも日本の住民基本台帳ネットワークがもたらすプライバシー侵害の懸念に関する争点が、関連する裁判例とともに詳細に分析される。

いずれの争点に関しても著者のアプローチは一貫しており、プライバシーの保障根拠に関する特定の観念を前提とした上で問題となっている情報がプライバシーの保護範囲に属するといえるか否かを決め手とするのではなく、収集・管理の対象となるプライバシーあるいは個人情報が人格的自律に深く関わる領域に属するものか、あるいはそれ以外の領域に属するものかによって厳格な違憲審査が要求されるか否かが区別されるとするものである。住民基本台帳ネットワークについても同様のアプローチが妥当し、著者は、同ネットワークによって収集・管理される氏名・住所・性別等の個人情報は、その収集・管理によって直接に個々人の人格的自律に直接かつ深刻な侵害が生ずるものではないため、制度として当然に違憲と判断することは困難であるとしつつ、同システムの安全性に外部からの侵入等の具体的な危険性が存在する場合には、合理性を欠く政策的選択として違憲とされることもありうるとする。

以上のような具体の争点に関するあてはめを通じて、著者のプライバシー概念の把握と違憲審査のアプローチが十分な有用性を持つことが主張される。

以上が本論文の要旨である。本論文の長所としては、次の点を挙げることができる。第一に、プライバシー概念の把握やその保護の必要性に関してさまざまな学説を丹念に紹介・検討していることが挙げられる。プライバシー権を個人情報や名誉権、さらには自己決定権等との関係でいかに把握すべきかについては、なお判例・学説ともに流動的なところがあり、著者が行った基礎的な諸学説の紹介は、この問題を理解する上で重要な示唆を与えるものである。当該社会において現にプライバシーとされるものをプライバシーとして受け止めるべきだとする著者の還元主義の立場、さらには、こうして広く把握されたプライバシーがすべて憲法上、同等の保護に値するわけではなく、問題とされているプライバシーが当事者の人格的自律に関わるものといえるか否かによって違憲審査基準を区分すべきだとする著者の議論も、相応の説得力を持つものと思われる。

第二に、こうしたプライバシー概念の理解と違憲審査のアプローチを、日本の住民基本台帳ネットワークの合憲性等、情報化社会が直面する具体的な争点にあてはめて解決の方向性を示している点を挙げることができる。著者は必ずしも個別の論点に関する具体的結論を明確に示しているわけではないが、問題ごとに留意すべき論点と採るべきアプローチを示す慎重で謙抑的な姿勢は、むしろ著者の分析に説得力を与えているともいえる。

第三に、プライバシーおよび個人情報保護に関する各国の理論と法制度をその生成と発展の経緯を含め、丹念に紹介していることが挙げられる。とくに、韓国におけるさまざま法制度および憲法判例の紹介は他にその例が多くはないことから、日本における同種の法的論点を検討する上で参考となるものと考えられる。

もっとも、本論文にも短所がないわけではない。第一に、各国の個別の学説、判例、法制度等の紹介は丹念になされているものの、それらを全体として貫く理論的・体系的な分析という点で深みに欠けるところがあり、平板な論点の指摘にとどまっているかに見える点がある。第二に、日本語の文章表現にやや生硬さが散見され、著者の主張内容の明確な理解を困難にしている点がないわけではない。しかし、これらは本論文の価値を大きく損なうものとはいえない。

現代社会においてプライバシーおよび個人情報保護法制が持ちうる意義を分析し、具体の諸論点について解決の方向性を示す本論文の著者が、本論文の優れた内容に照らして、自立した研究者あるいはその他の高度に専門的な業務に従事するに必要な高度な研究能力およびその基礎となる豊かな学識を備えていることは明らかであり、本論文は博士(法学)の学位を授与するにふさわしいものと判断される。

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