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Interaction faults are a major concern in networked systems build from interconnected sub-systems designed by independent parties. This work addresses the problem of detecting inconsistent values received from a sub-system, as a result of an interaction fault. This type of error is characterized by a field that is generated containing incorrect data, even though the message is correctly formatted and not corrupted during transmission. When the faulty sub-system cannot be modified and traditional schemes cannot be used, one alternative is resorting to receiver-based strategies that employ some kind of implicit redundancy --- relations between events or data. We propose an approach for detecting inconsistent values using implicit redundancies that are automatically located in examples of communications. Even without adding any redundant information to the communication, our approach can achieve reasonable error detection coverage in fields where sequential relations exist. Aspects such as false alarms and latency are also evaluated.

This work has several contributions. First and foremost, we propose a method for error detection that explores implicit redundancies, instead of the explicit redundancies used by traditional methods, which require cooperation between the sub-systems and imply in additional communication. Our method also differs from ad hoc receiver-based methods that use the knowledge of a human expert, locating implicit redundancies automatically and in a protocol-independent way. Furthermore, our approach produces sequential rules that are not discovered by existing approaches used for similar purposes, and considers more complex inputs as, well. Other contributions are the overview of the challenges imposed by interaction faults in networked systems, and the method for injecting inconsistent values --- a type of error not covered by existing fault injection mechanisms.

本論文は「Error Detection for Inconsistent Values Caused by Interaction Faults in Networked Systems Using Implicit Redundancies (潜在冗長性を利用したネットワーク相互作用フォールトに起因するデータ誤りの検出)」と題し、英文で6章から成っている。情報社会の基盤として地球規模で進化を続けるコンピュータネットワークには互いに独立した第3者によって設計・製造された様々な情報システムが接続されるため、単独では正常に動作する複数のシステム同士の相互作用によってシステム障害が引き起こされることがあり、ネットワークにその活動のすべてを依存する情報社会の安全性、信頼性にとって大きな脅威になりつつある。特に、第3者システムから送信されるメッセージのフォーマットやタイミングは正常であるがその意味内容が正常ではないようなデータ誤り(inconsistent values)は従来の多重化や符号化などの空間的・時間的冗長化技術が適用できないため、原因不明のシステム障害を生じやすい。本論文は、ネットワークを介した第3者システムとの相互作用から生じ得るこのようなデータ誤りをメッセージ系列に埋もれた潜在冗長性(implicit redundancy)を利用して検出する方法を提案し、その有効性をシミュレーション実験によって確認した結果をまとめたものである。

第1章「Introduction」では、本研究で考察の対象とした問題の定義、本研究で得られた成果の学術的貢献、本研究に関連する従来の研究、本論文の構成を述べている。

第2章「Interaction Faults Caused by Third-Party External Systems」では、まず、標準プロトコルに従ったメッセージ交換によって外部の第3者システムとネットワークを介して通信するシステムのモデルを与え、システム間相互作用が原因でその通信インタフェースに発生し得る誤りモデルを類型化している。次いで、この誤りモデルの正当性検証のため、ネットワーク接続の標準プロトコルであるUPnP(Universal Plug-and-Play)を用いて実際に稼働する情報システムの障害データを収集、解析した結果、既存技術で未検出のままシステム障害に至るほとんどのケースがデータ誤りであることを指摘し、本研究では従来の多重化や符号化の空間的・時間的冗長化技術が適用できないデータ誤りに焦点を絞ることを述べている。また、標準プロトコルのもとで第3者システムと通信する際の相互作用に起因するデータ誤りをオンラインで検出するためのアイデアと基本概念が相互作用履歴の中に埋もれている潜在冗長性の利用であること、およびそのために克服すべきいくつかの挑戦課題を述べている。

第3章「Generating Simulated Data for Evaluation」では、提案するデータ誤り検出方法の有効性、妥当性を評価するために、システム相互作用に起因して生じ得るデータ誤りを人工的に生成し、システムに注入し、システムの振る舞いを観測する方法を提案し、それに基づいてUPnPプロトコルのもとでの通信をシミュレーションする方法を示している。

第4章「Automatic Location of Implicit Redundancy」では、ネットワークを介した複数のシステム間の相互作用履歴の中に埋もれる潜在冗長性をそれらのシステムが交換するメッセージ系列のパターンとしてモデル化し、これを学習によって自動的に抽出する問題を定式化している。この定式化を基に、潜在冗長性を「もし事象e1とe2が起きるならば、次のタイプtのメッセージの送受によって事象e3が必ず生じる」という形式の規則の集合として表現し、事前学習によってオンライン誤り検出に有効な規則集合を自動的に抽出するアルゴリズムを示し、その有効性がシミュレーション実験によって示されたと述べている。

第5章「Detecting Inconsistent Values by Exploiting Implicit Redundancy」では、潜在冗長性を表す規則集合を用いて、外部の第3者システムから受信するメッセージ系列に存在するデータ誤りをオンラインで検出するアルゴリズムを示し、UPnPプロトコルを含む3種類のネットワーク通信に対するシミュレーション実験によって、提案する潜在冗長性抽出アルゴリズムとそれを利用したデータ誤り検出アルゴリズムが優れた誤り検出性能を有することが示されたと述べている。さらに、誤った警報(false alarm)を生じる確率、および誤り検出所要時間(error detection latency)に関する考察を述べている。

第6章「Conclusion 」では、本研究で得られた成果を要約している。

以上を要するに、本論文は、情報社会の基盤であるネットワーク化システムの複雑な相互作用を原因とするため従来の時間的空間的冗長化技術が適用できなかったデータ誤りの検出問題を、潜在冗長性という概念の導入によって解決したものであり、その成果は学術的に貢献するところが大きい。よって本論文は博士(学術)の学位請求論文として合格と認められる。