No | 126150 | |
著者(漢字) | 栗原(大窪),恵美子 | |
著者(英字) | ||
著者(カナ) | クリハラ(オオクボ),エミコ | |
標題(和) | 高等植物の細胞生長における液胞膜輸送タンパク質の機能解析 | |
標題(洋) | Analysis of Vacuolar Transporters in Plant Cell Growth | |
報告番号 | 126150 | |
報告番号 | 甲26150 | |
学位授与日 | 2010.03.24 | |
学位種別 | 課程博士 | |
学位種類 | 博士(生命科学) | |
学位記番号 | 博創域第567号 | |
研究科 | 新領域創成科学研究科 | |
専攻 | 先端生命科学専攻 | |
論文審査委員 | ||
内容要旨 | 序論 植物細胞では細胞分裂後の細胞体積の増加が個体の生長量の大部分を占めている。そこで主要な役割を果たしているオルガネラが液胞である。液胞は植物細胞の体積の大半を占める普遍的かつ巨大なオルガネラであり、不要タンパク質の分解、色素やタンパク質の蓄積や細胞の恒常性維持に関与している。とくに細胞の生長や形態変化に関わる液胞機能として、細胞形態維持のための膨圧の生成と、植物に特徴的な大型の細胞を維持するための空間充填機能が挙げられる。それゆえ、液胞の発達は植物の形態形成のみならず、気孔の開閉など環境応答としての形態制御に関しても重要な役割を担っている。このように液胞は細胞の生長段階、細胞の内外環境に応答して、さまざまな機能や形態でその役割を果たしている。この液胞の機能と形態の両面におけるダイナミズムを遺伝子・分子レベルから理解するには、液胞を構成する要素である液胞膜タンパク質の機能解析が有効である。 液胞は様々な物質を蓄積することにより浸透圧差を生じ、吸水によってその体積を急速に増大させると共に、膨圧の生成を通して細胞の生長および形態制御を実現している。また、細胞の生長段階や内外環境に呼応した液胞・細胞機能の付与に関しても、細胞質から液胞、液胞から細胞質への物質輸送は重要である。液胞の物質輸送には液胞膜に局在する数多くのトランスポーターが関わっていると考えられる。これまでに過剰発現植物やRNAiによるノックダウン植物を用いて、液胞膜を構成する膜輸送タンパク質の機能解析が試みられてきた。しかし、こうした個体レベルの分子遺伝学的手法では表現型が認められないケースや、致死性を示すケースがしばしばみられ、液胞膜タンパク質の多くは機能解析が不十分である。また、個体中の細胞を追跡し、細胞生長と液胞の発達過程を追跡することも困難である。 そこで、本研究では培養細胞系を駆使し、個体では困難であった液胞膜タンパク質の機能解析を行った。まず、液胞の発達を同調的に誘導させ、経時的な追跡が可能な培養系を開発した。そして本培養系を用いて、植物細胞の主な輸送物質である水とショ糖に着目し、両者の各々の輸送を担うと考えられる液胞膜型アクアポリンおよび液胞膜型ショ糖トランスポーターについて、生理学的・細胞生物学的な機能解析を行った。この解析により、植物の細胞生長過程における液胞の機能を明らかにすることを目指した。 第1章. タバコBY-2ミニプロトプラスト培養系の開発 まず、液胞機能と細胞生長との関係を細胞レベルで同調的かつ詳細に追跡するための培養系として、タバコBY-2細胞から液胞を除いたミニプロトプラストに着目した。液胞膜を可視化したタバコBY-2細胞(図1A)から酵素処理により調製したプロトプラスト(図1B)を密度勾配溶液中で遠心処理を行い、液胞を除去することによりミニプロトプラストを調製した(図1C)。細胞生長を効率的に誘導できる培養条件を検討した結果、オーキシンとしてナフタレン酢酸(0.1 μg/ml)、サイトカイニンとしてベンジルアデニン(1.0 μg/ml)を含む培地が最適であった。培養開始直後は液胞がほとんど除去されているが、培養開始後約6時間目には網状の液胞が細胞全体に展開し、培養開始後約12時間目ではチューブ状の液胞構造が再生した(図1D)。培養開始後24時間目にはチューブ状液胞の一部から巨大液胞が出現し、同時に細胞の伸長が見られた(図1D 48h)。液胞の発達段階により細胞を分類し、それぞれの割合の変化を調べた。その結果、液胞の再生が同調的であり、タバコBY-2ミニプロトプラストの培養系は液胞の発達と細胞生長との関係を解析する上で最適の実験系であると判断した。この実験系では細胞を同調的かつ大量に培養することが可能であり、in plantaでは困難であった細胞生長にともなう液胞構造変化の顕微鏡下での追跡(顕微鏡画像解析)のみならず、液胞の発達段階に応じた目的遺伝子の発現解析(遺伝子発現解析)やタンパク質の機能解析も容易になった。 第2章. 液胞の発達を伴う細胞生長における液胞膜型水チャネル(NtTIP1;1)の同定と機能解析 液胞は主に吸水によりその体積を増大させることから、水の輸送を担う実体と考えられる液胞型アクアポリンに着目し、その機能解析を行った。 2-1.タバコの液胞膜型アクアポリンの同定 細胞生長における液胞発達の役割を解析するために、液胞膜型アクアポリン遺伝子(NtTIP1;1,Nicotiana tabacum tonoplast intrinsic protein 1;1 )をタバコBY-2細胞から同定した。また、NtTIP1;1の液胞の発達における機能を解析するために、NtTIP1;1にGFPを融合したタンパク質(NtTIP1;1-GFP)を過剰に発現するタバコBY-2の形質転換細胞を作出し、BY-TIPG(transgenic BY-2 cells expressing NtTIP1;1-GFP)細胞と名付けた。BY-TIPG細胞から調製した単離液胞では、低浸透圧処理下での体積増加に要する時間が短縮した(図2)。この結果からNtTIP1;1-GFPはアクアポリン活性を持ち、液胞膜の水透過速度を上昇させると考えられる。 2-2.液胞の発達におけるNtTIP1;1の機能解析 液胞の発達におけるNtTIP1;1の生理的な機能を解析するためにNtTIP1;1-GFP を恒常的に発現するBY-TIPG細胞からミニプロトプラストを調製し、液胞構造の変化を観察した(図3)。その結果、コントロールに対して、BY-TIPG細胞では液胞の発達に要する時間が短縮した。この結果からNtTIP1;1-GFPの過剰発現は液胞の発達を促進すると考えられる。 2-3.植物細胞の伸長生長におけるNtTIP1;1の機能解析 NtTIP1;1-GFP の過剰発現が液胞のみならず細胞生長に影響をもたらす可能性を検討するため、上記のミニプロトプラスト培養系を用いて、細胞全体の形態の変化を顕微鏡画像から定量評価した。まず細胞体積の推移を培養24時間後の細胞断面積によって検討した結果、NtTIP1;1-GFPを過剰発現するBY-TIPG細胞では、細胞体積がより大きくなっていた。また、細胞の長軸と短軸の長さを測定した結果、いずれもBY-TIPG細胞の方がコントロールに比べて増加していたが、細胞の伸長率(細胞長軸/細胞短軸)には有意な差はみられなかった。以上の結果から、細胞生長において液胞膜型アクアポリンNtTIP1;1が液胞の発達を伴う細胞の吸水生長に関与することが示された。 2-4.植物細胞の分裂生長におけるNtTIP1;1の機能解析 プロトプラスト培養系は添加する植物ホルモンにより細胞の生長様式を随意に制御することが可能である。そこで、プロトプラストを用いて、細胞生長におけるNtTIP1;1の新奇機能の探索を行った。プロトプラストにおいて培地中のオーキシン濃度を細胞伸長誘導条件(低オーキシン)および細胞分裂誘導条件(高オーキシン)にそれぞれ調節して培養し、生長速度および細胞分裂の頻度を解析した。その結果、低濃度のオーキシン条件下でプロトプラストを培養した場合、BY-TIPG細胞では培養2日目においてコントロールの1.4倍に細胞伸長が促進されただけでなく、細胞分裂の頻度がコントロールに対し約2倍に増加していた。従って、NtTIP1;1は細胞の伸長生長のみならず細胞分裂にも関与している可能性が示唆された。以前の報告により液胞膜型プロトンポンプの遺伝子がオーキシンの輸送を促進し、細胞分裂を増加させることが示唆されている。そこでタバコのプロトンポンプであるNtTVP9遺伝子の発現を解析したところ、本条件のBY-TIPG細胞で遺伝子発現が上がっていた。以上の結果から、NtTIP1;1-GFPの過剰発現により、NtTVP9遺伝子の発現が上昇し、オーキシンの輸送が変化し細胞分裂が促進されたという可能性が考えられる。 第3章. 細胞生長における液胞膜型ショ糖トランスポーター(NtSUT4)の同定・機能解析 アクアポリンを介した水の移動は浸透圧差によるものであり、その原動力となる浸透圧物質の一つにショ糖が挙げられる。植物においてショ糖は主要な輸送物質であり、液胞内には高濃度のショ糖が蓄積されている。ショ糖は浸透圧調節や代謝に重要であるが、その輸送を担うトランスポーターの機能については不明な点が多い。そこでBY-2細胞から液胞膜型ショ糖トランスポーターを同定し、機能解析を行った。 3-1.タバコBY-2細胞におけるショ糖トランスポーター遺伝子(NtSUT4)の同定 細胞生長における液胞発達の役割を解析するために、タバコBY-2細胞の液胞膜型ショ糖トランスポーター遺伝子を同定し、NtSUT4(Nicotiana tabacum sucrose transporter 4 )と名付けた。また、NtSUT4の細胞内局在を調べるため、NtSUT4にGFPを融合したタンパク質(NtSUT4-GFP)を恒常的に発現するタバコBY-2の形質転換細胞を作出し、BY-SUTG(transgenic BY-2 cells expressing NtSUT4-GFP)細胞と名付けた。蛍光顕微鏡観察の結果、NtSUT4-GFPは液胞膜に局在していることが確認された。 3-2.ミニプロトプラストを用いたNtSUT4の機能解析 NtSUT4の液胞の発達や細胞生長に関する機能を解析するため、NtSUT4-GFPを恒常的に発現するBY-SUTG細胞のミニプロトプラスト培養系を用いて、液胞および細胞形態の変化について評価を行った。その結果、液胞の構造はコントロールと目立った差異は観察されなかった。また、細胞形態について、細胞断面積、細胞長軸長、細胞短軸長を測定した。その結果、培養2日目の細胞断面積についてはコントロールとBY-SUTGの両者の間に差異がみられなかった(図4A)。一方、BY-SUTGの細胞伸長率(細胞長軸/細胞短軸)はコントロールと比較して減少していたことから(図4B)、BY-SUTGでは細胞の長軸方向への伸長が抑制されることが示唆された。そこで同様にミニプロトプラストにおいてカルコフローによりセルロースを染色し、その蛍光輝度を定量的に測定した。その結果、BY-SUTGの方が蛍光輝度が高く、セルロースの蓄積量が増加していることがわかった。以上の結果からNtSUT4がショ糖の輸送を介して細胞壁の形成に影響を与え、細胞形態に関与する可能性が示唆された。 まとめ 植物細胞において体積の大半を占める液胞は、植物細胞の体積や液胞中に蓄える物質の種類と量を変化させることにより、細胞の生長と機能分化を支えている。液胞のこうした機能は、液胞膜に局在する個々の輸送タンパク質を解析することによって理解できると考えられるが、有効な実験系に欠けていた。 本研究ではまず、液胞と細胞の生長を同調かつ詳細に追跡できる実験系としてミニプロトプラスト培養系を開発した。この培養系を用いたNtTIP1;1の解析から、液胞膜型アクアポリンの恒常発現により、液胞の発達およびそれに伴う細胞伸長が促進されることを明らかにした。また、低濃度オーキシン条件下では細胞伸長だけでなく、細胞分裂も促進されることを示した。さらに、NtSUT4の解析から液胞膜型ショ糖トランスポーターは液胞の発達ではなく細胞形態に関与していることを見出した。SUT4はショ糖を輸送するため、細胞内のショ糖濃度の変化が細胞壁の合成量に影響をおよぼし、細胞形態に関与している可能性などが予測される。 本研究により液胞膜を構成する輸送タンパク質は、液胞の発達と細胞生長のみならず、細胞の分裂や細胞の形態そのものにも関与していることが示唆された。 図1: 巨大液胞の除去と液胞の再生 N: 細胞核 Scale bars: 10 μm 図2: 単離液胞を用いた水輸送活性の測定 A: 単離液胞の蛍光画像 B: 単離液胞の直径の経時変化 コントロールにはAtVAM3-GFPにより液胞膜を可視化したBY-GV細胞を用いた. Scale bars: 10 μm 図3: ミニプロトプラストを用いた液胞の発達におけるNtTIP1;1恒常発現の影響 bars: SE 図4 NtSUT4の過剰発現による細胞体積および細胞形態の変化.A: 細胞断面積の変化 B: 細胞長軸 / 細胞短軸の変化 bars: SE | |
審査要旨 | 本論文は3章からなり、第1章はタバコBY-2ミニプロトプラスト培養系の確立、第2章は細胞生長における液胞膜型アクアポリン(NtTIP1;1)の同定・機能解析、第3章は細胞生長における液胞膜型ショ糖トランスポーター(NtSUT4)の同定・機能解析について述べられている。 生物にとって生長は基本的かつ重要な生理現象であるが、植物細胞では細胞分裂した後の細胞が細胞体積を著しく増加させるのが特徴的で、細胞体積の増加が個体の生長量の大部分を占める。そこで主要な役割を果たしているのが植物細胞の体積の大半を占めているオルガネラの液胞である。液胞は多機能なオルガネラであり、細胞の生長段階、細胞の内外環境に応答して、さまざまな機能や形態でその役割を果たしている。この液胞の機能と形態の両面におけるダイナミズムを遺伝子・分子レベルから理解するために、液胞を構成する要素である液胞膜タンパク質の機能解析に着目した。 液胞の物質輸送には液胞膜に局在する数多くのトランスポーターが関わっていると考えられる。これまでの過剰発現植物やRNAiによるノックダウン植物を用いた液胞膜を構成する膜輸送タンパク質の機能解析では、表現型が認められないケースや、致死性を示すケースがしばしばみられ、液胞膜タンパク質の多くは機能解析が不十分であった。また、個体中の細胞を追跡し、細胞生長と液胞の発達過程を追跡することも困難であるという問題点を解決する必要があった。本論文では個体では困難であった細胞生長における液胞膜タンパク質の機能解析を行った。この解析により、植物の細胞生長過程における液胞の機能を明らかにすることを目指した。 第1章ではこれまで植物個体では困難であった液胞膜タンパク質の機能解析を行うために、まず、液胞の発達を同調的に誘導させ、経時的な追跡が可能な培養系を確立した。均一で大量に培養が可能なBY-2細胞を用い、細胞から液胞を除去しミニプロトプラストを調整した。このミニプロトプラストを伸長条件となるような培地中で培養すると、細胞の伸長および液胞の発達が誘導されることが分かった。このミニプロトプラストを用いて阻害剤を用いた液胞の構造解析や液胞発達段階における遺伝子の発現解析が可能となったことを示した。この実験系では細胞を同調的かつ大量に培養することが可能であり、in plantaでは困難であった細胞生長にともなう液胞構造変化の顕微鏡下での追跡(顕微鏡画像解析)のみならず、液胞の発達段階に応じた目的遺伝子の発現解析(遺伝子発現解析)やタンパク質の機能解析も容易にした。 第2、3章では、第1章で確立したミニプロトプラストの培養系、およびプロトプラスト培養系を用いて液胞膜型輸送タンパク質の機能解析を行った。まず第2章では液胞が主に吸水によりその体積を増大させることから、水の輸送を担う実体と考えられる液胞型アクアポリンに着目し、その機能解析を行った。まずタバコにおいて発現している液胞膜型アクアポリン(NtTIP1;1)を同定した。次に、ミニプロトプラスト培養系を用いて、NtTIP1;1の過剰発現が液胞の発達に及ぼす影響を解析した。その結果、NtTIP1;1過剰発現細胞(BY-TIPG細胞)では野生株と比較して液胞の発達が促進されていた。また、BY-TIPG細胞では細胞体積の増加速度も亢進されていることを見出した。以上の結果から、NtTIP1;1の細胞の肥大生長への関与が示唆された。さらに、プロトプラストの伸長を高頻度に誘導する条件で培養したところ、BY-TIPG細胞では細胞伸長率の促進のみならず、細胞分裂の促進もみられた。このとき過剰発現体ではV-PPase遺伝子の発現が約3倍高くなっておりオーキシン輸送の変化が予想された。以上の結果からNtTIP1;1が細胞分裂に関与している可能性も見出した。 第3章では植物において最も多量に輸送が行われている物質の1つであるショ糖に着目し、その輸送を担うトランスポーターの機能解析を試みた。本論文ではまず、タバコの液胞膜型ショ糖トランスポーター(NtSUT4)を同定し、NtSUT4-GFPを恒常発現するタバコ培養細胞(BY-SUTG)を作出した。次に細胞生長に関するNtSUT4の機能を解析するため、液胞を除去したミニプロトプラストの培養系を用いて細胞形態の変化について評価を行った。その結果、培養2日目の細胞断面積についてはコントロールとBY-SUTGの両者の間に差異がみられなかった。一方、BY-SUTGの細胞伸長率(細胞長軸/細胞短軸)はコントロールと比較して減少していたことから、BY-SUTGでは細胞の長軸方向への伸長が抑制されることが示唆された。そこで同様にミニプロトプラストにおいてカルコフローによりセルロースを染色し、その蛍光輝度を定量的に測定した。その結果、BY-SUTGの方が蛍光輝度が高く、セルロースの蓄積量が増加していることがわかった。以上の結果からNtSUT4がショ糖の輸送を介して細胞壁の形成に影響を与え、細胞形態に関与した可能性が示された。 植物細胞において体積の大半を占める液胞は、植物細胞の体積や液胞中に蓄える物質の種類と量を変化させることにより、細胞の生長と機能分化を支えている。液胞のこうした機能は、液胞膜に局在する個々の輸送タンパク質を解析することによって理解できると考えられるが、有効な実験系に欠けていた。そこで本論文では、液胞と細胞の生長を同調かつ詳細に追跡できる実験系としてミニプロトプラスト培養系を開発した。この培養系を用いたNtTIP1;1の解析から、液胞膜型アクアポリンの恒常発現により、液胞の発達およびそれに伴う細胞伸長が促進されることを明らかにした。また、低濃度オーキシン条件下では細胞伸長だけでなく、細胞分裂も促進されることを示した。これは液胞膜型アクアポリンの細胞生物学的な知見に貢献し、また、細胞分裂については新奇機能であり、動物のアクアポリンとも類似した現象が明らかとなり興味深い。さらに、タバコの液胞膜型アクアポリンとして初めてNtSUT4を同定し、機能の解析からはNtSUT4が細胞形態に関与していることを見出した。本研究により液胞膜を構成する輸送タンパク質は、液胞の発達と細胞生長のみならず、細胞の分裂や細胞の形態そのものにも関与していることが示唆された。 なお、本論文第2章は佐野俊夫、桧垣匠、朽名夏麿、馳澤盛一郎との共同研究であるが、論文提出者が主体となって分析および検証を行ったもので、論文提出者の寄与が十分であると判断する。 したがって、博士(生命科学)の学位を授与できると認める。 | |
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