学位論文要旨



No 127396
著者(漢字) 石川,明美
著者(英字)
著者(カナ) イシカワ,アケミ
標題(和) インドネシア国西ジャワ州の稲作地帯における代替的な農業開発の選択肢 : SRIは農村部における多面的な貧困の緩和に貢献できるか?
標題(洋) An Option for Alternative Agricultural Development in Rice Cultivation Areas of West Java, Indonesia : Can SRI contribute to alleviating multidimensional rural poverty?
報告番号 127396
報告番号 甲27396
学位授与日 2011.07.28
学位種別 課程博士
学位種類 博士(国際貢献)
学位記番号 博総合第1096号
研究科 総合文化研究科
専攻 国際社会科学
論文審査委員 主査: 東京大学 教授 中西,徹
 東京大学 教授 山路,永司
 東京大学 教授 池本,幸生
 東京大学 教授 木村,秀雄
 東京大学 教授 佐藤,安信
内容要旨 要旨を表示する

1.研究の目的と背景

本研究の目的は、「緑の革命」の農村社会及びこれを主に構成する農民への社会経済的影響を再検討することによって、インドネシア国西ジャワ農村部の稲作地域における農民の福祉(well-being)の観点から見た、農村部の多面的な貧困の緩和を目指す新たな代替的な農業開発を提示することである。

農業は、概して低付加価値産業であり、生産物の価格はその生産コストに対して低い。また、生産量及び生産性は気候などの自然条件等により不安定である。このような農業の特徴は、農村部に貧困を生み出す主な要因となっており、このため、一般的に、農業開発だけで農村部の貧困緩和を達成することは困難であると考えられている。すなわち、現在の農業部門を縮小し将来的には工業部門を発展させた方が、貧困緩和には有効であると言うのが通説であり、施政者の多くはこの方向性の発展を希望している。しかしながら、多くの発展途上国において農業は、(1)多くの農村部の人々にとって所得を創出するための主要な産業であり、また(2)(狭義及び広義の)食糧安全保障の観点から見ても、依然重要な産業である。

発展途上国における農業が、いまだに多くの農村部の人々にとって所得を創出するための主要な産業であるが故、農村部の貧困と農業の低生産性の問題は深く関連している。しかしながら、「緑の革命」に代表されるような、これまでの農業開発には、様々な要因により農業生産の増大及び農村部の貧困緩和に貢献できなかったプロジェクトや、逆に農村社会やこれを主に構成する農民、特に貧農に対し、社会経済的悪影響を引き起こしてしまったプロジェクトもある。

よって、本研究においては、右を作業仮説として、議論・分析を進めるものとする:(1)「緑の革命」は、多大な農業投入財が必要とされ、また農慣行に関連して貧農や極貧農にとって不利益な社会変容を引き起こしたため、彼らには、便益を及ぼさなかった、(2)「緑の革命」は、農民の福祉の観点から見た農村部の貧困緩和(=農村部の貧困者がエンパワーメントされた状態)、すなわち多面的に貧困を捉えた際には、これに貢献できなかった、(3)SRI (System of Rice Intensification) は、社会経済的な悪影響を避け、農民の福祉の観点から見た農村部の貧困緩和に貢献する、代替的な農業開発の一要素となり得る。

これら作業仮説の検証結果を基に、農民の福祉の観点から見た農村部の貧困緩和に貢献する農業開発が必要であり、ここで採用できる技術としてSRIが考えられうること、またそのためにはどのような技術、環境、社会・文化、組織制度・管理運営、経済・財政的配慮が必要か、特に「文化・社会」的側面に注目して、議論を展開し、当該分野に対する政策的含意を述べる。さらに、従来からある開発経済学・開発社会学での持続可能な開発/代替的な開発に対して、新たな代替的な開発の方向性を提示する。

なお、インドネシア国西ジャワを研究対象地域とした理由は、主に2点である。まずインドネシアは、政府の指導により約30年間にわたり、BIMASプログラムに代表される「インドネシア版緑の革命」が大々的に実施された国であり、その普及の中心地はジャワ島であった。同国は、この一連のプログラムの成果により1984年にコメの自給を達成したと言われている。しかし同時に、この「インドネシア版緑の革命」は、多くの研究者により、農村社会やこれを構成する農民、特に貧農に対し大きな社会経済的悪影響を及ぼしたことも、指摘されている。また、同国は代替的な農業開発の一要素となることが期待できるSRIの効果が、発祥の地であるマダガスカルに次いで実証された国であり、その最初の農家による圃場試験が実施されたのが西ジャワであった。

2.論文の構成・概要

本稿は、前書き、第1章から第5章、及び結論(第6章)により構成される。まず、前書きにおいて、本研究の背景を簡単に論じた。引き続き、第1章「序論」において、本研究の目的、意義、方法、作業仮説、使用される用語の定義、及び基本的な理論的枠組みを説明した。本研究では、これまで農業開発の文脈において、あまり注意を払われてこなかった農村部の貧困及び農民の福祉の多面的な側面を重視し、また農業の他の産業とは異なる特殊性について考慮し、これに価値を置いて分析を行うことを述べた。

次に、第2章「緑の革命:その功罪」において、コメの「緑の革命」及び「インドネシア版緑の革命」の功罪につき、先行研究を基に整理し、「緑の革命」が農村社会と農民に及ぼした社会経済的影響を再検討した。多くの先行実証研究から、主に東南アジアの熱帯地域において、「緑の革命」がコメの増産及び貧困の減少に成功したことが確認された。他方、インドネシアにおいて「緑の革命」は、(1)農慣行、特に収穫慣行の急激な変容による土地無し農業労働者の状況悪化、(2)小規模農家と土地無し農業労働者の下方分解の進展、(3)地域格差の拡大、(4)農業生産の過度な政府依存による農家の農業技術、農作業における自律性の弱体化といった社会経済的悪影響を農村社会と農民にもたらしたことも明らかとなった。また、過度な化学肥料と農薬の使用による自然環境の悪化ももたらした。

第3章SRIにおいては、代替的な農業開発の一要素としてSRIを、SRIに関わる論争と共に論じた。また、インドネシアにおけるSRI導入の歴史とその進展についても言及した。章末では、「緑の革命」とSRIの社会的、経済的インパクトについて比較分析を行った。この結果を基に、「緑の革命」技術と比較して、SRIは低投入であるため、農村社会と農民に対して、社会経済的悪影響をもたらさず、また成果達成に創意工夫の必要性があることから、農民の自律性を高めるため、農民の福祉の観点から見た農村部の貧困緩和に貢献できるのではないか、と論じた。

引き続き、第4章「SRIは、農村部の多面的な貧困の緩和に貢献できるか?-西ジャワのスカナガラ村を事例に」において、現地調査の結果を基に、SRIの普及・実施が、西ジャワ農村における貧困緩和と社会経済の変容に如何なる影響をもたらしたのか、検証した。影響評価に際しては、貧困を多面的にとらえることを目的に、経済面(物的資産の拡大)だけでなく、社会的、心理的変容等を見るための指標(ケイパビリティの拡大)も取り上げた。

調査結果は、SRIの作付けが水はけなどの面で比較的条件の良い水田にほぼ限定されるため、作付面積及び実施農家数が限定的であるものの、実施農家は、水田所有面積に関係なく便益(個人的物的資産及び個人的・集団的ケイパビリティの拡大)を受けていることを示すものであった。SRIの成果達成には土地条件に対応した固有の技術の利用が不可欠であり、それは農民に対して自律と創意工夫を要求する。調査対象村の近隣県におけるSRIの普及状況が示すのは、このような創造性に富む農民たちの存在が、調査対象村においても、近い将来コミュニティのメカニズムを通じて、集団的物的資産やケイパビリティの拡大を村落全体にもたらし得る可能性を示唆するものであった。

以上の分析から、(1)農民はこれまで、外部からの投入を最小限にしてコメの収量及び収入を増加すると共に、自らの自律性を尊重する、「緑の革命」に代わる技術を探求していたこと、このことから(2)「緑の革命」は、農民の福祉の観点から見た農村部の貧困緩和、すなわち多面的に貧困を捉えた際には、これに貢献できなかったこと、(3)SRIは、西ジャワの稲作地帯において、社会経済的悪影響を避け、農民の福祉の観点から見た農村部の貧困緩和に貢献する、代替的な農業開発の一要素となり得る、と結論付けた。

第5章「インドネシア国西ジャワの稲作地帯における農村部の多面的貧困緩和に資する代替的な農業開発」では、SRIを採用した新たな代替的な農業開発の方向性を横断的視点から検討し、提示すると共に、その普及に対する提言を行った。

SRIは、「緑の革命」技術を代替可能と考えられるが、普及を促進するためには、(1)不十分な情報伝達、(2)農業用水の確保、(3)排水不良の改善、(4)有機肥料の材料確保、(5)高い労働需要といった制約を克服する必要がある。(1)については、農民フィールド学校方式やSRI篤農を活用した農民同士の情報伝達の促進等で克服が可能であると考えられる。(2)については、天水田におけるSRIの成功例が報告されており、(4)については最低限の化学肥料の利用が考えられる。(5)については、農村人口が希薄な地域においては機械化の可能性があり、調査対象村のように人口が過密で、農外就労が限定的、且つ労働交換の慣行が残るような地域においては、歓迎される条件である。(3)に関しては、工学技術的な解決策が必要となるため、農民の自律性を尊重できる外部資金の活用を提案した。

最後に、第6章「結論」において、第1章から第5章までの議論・分析の総括を行った。SRIは西ジャワの稲作地帯において、農民の福祉の向上に貢献し、彼らの生活を良くすることができる農村部の貧困緩和のための農業開発の一要素となりうること、またSRIは地域の人々が、外来の科学的知識・技術を参照しながら、地域の文化・伝統(固有性)を利用した代替的な農業開発を牽引し、農村・農業社会において「欠乏からの自由」を実現するための農業開発における一要素となりうる、と結んだ。

1 フランス人のロラニエ神父がマダガスカルにおいて、農民達と20年間研究を重ねた結果開発した乳苗移植、一本植え、疎植、間断灌漑、有機肥料といった技術を組み合わせた省資源型稲作技術。

審査要旨 要旨を表示する

1960年代半ばからアジア諸国を席巻した「緑の革命」は,果たして,これらの国々に持続的発展をもたらしたのであろうか。高収量品種の開発・普及にもとづく画一的な慣行農業の浸透によって米収量は飛躍的に増加したことは事実である。それは,アジア諸国の食糧危機を救うと同時に,工業化の基礎的諸条件を整備し,その後のアジア諸国の経済発展にも大きく貢献したとして,これまで開発研究の分野において高く評価されてきた。しかし,その一方で,「緑の革命」には数多くの問題点も指摘されている。食味や病虫害への耐性など,その後の品種改良によってある程度までは改善された問題もあるものの,化学肥料や農薬の多投による土壌劣化や水質汚濁,種子の単一化によるリスクの増加,自家採種や種子交換の禁止による農民の独立性の阻害など,けっして無視することができない長期的な生産性や持続性に対する問題が多くの論者によって提起されてきたのである。

このような稲作技術を取り巻く状況の中で,近年,世界的に注目されるようになった技術が,1980年代にマダガスカル島でロラニエ神父が開始した「稲集約農法」(System of Rice Intensification: SRI)である。それは,片山佃氏の分蘖理論を参考とし,田植えにおける乳苗移植・疎植・一本植えと間断灌漑を特徴とするものであり,種子を選ばず,分蘖の促進をもたらし,さらに安全性と持続性に優れる有機農業によっても,収量が「緑の革命」並に増大する特徴を有する。現在では,広く発展途上国に普及し,その収量増大効果についての実証研究も進んできた。

石川明美氏が注目したのは,このSRI に基づく有機農業の実践が,単に収量増大のみならず,人々の「生き様」に積極的な影響をもたらす可能性,つまり,A.K.センのいう「ケイパビリティ」の増加に貢献し,多角的な側面から貧困の緩和に大きな役割をもつ可能性であり,同氏は,「緑の革命」の諸効果についての文献渉猟によって,次のようなリサーチ・クエスチョンに行き着く。すなわち,従来の「緑の革命」は,生産性の上昇と引き替えに,その技術の画一性と生産活動における自由度の低さゆえ,農村貧困層が有している生き甲斐や自尊心,ひいては農民間の信頼を軸とするコミュニティ資源を損なう結果になったのではないか,そして,こうした問題を解決し得る代替的農法としてSRIを位置づけることができるのではないかという問いである。

本論文は,この重要かつ論争的な問いに対して,SRIの先進地域の一角であるインドネシアの西ジャワを対象として,世帯別実態調査にもとづき,農村における「貧困」を,経済的指標のみならず多角的に検討することによって,解答を与えようとする意欲的研究である。

以下,各章の内容を紹介しよう。第1章 Introduction(序論)において研究課題と問題の所在があきらかにされたあと,第2章Green Revolution: its Advantages and Disadvantages(「緑の革命:その功罪」においては,コメの「緑の革命」及び「インドネシア版緑の革命」の功罪について,既往の研究の展望にもとづいて,「緑の革命」が農村社会と農民に及ぼした社会経済的影響が再検討されている。その結果,東南アジアの熱帯地域においては,「緑の革命」がコメの増産及び貧困の減少に成功したことが確認されたものの,とくにインドネシアにおいては,「緑の革命」が,(1)農慣行,特に収穫慣行の急激な変容による土地無し農業労働者の状況悪化,(2)小規模農家と土地無し農業労働者の下方分解の進展,(3)地域格差の拡大,(4)農業生産の過度な政府依存による農家の農業技術,農作業における自律性の弱体化,(5)化学肥料と農薬の多投による自然環境の悪化といった社会経済的悪影響を農村社会と農民にもたらしたと論じている。

これを受けて,第3章SRI(System of Rice Intensification)においては,代替的な農業開発の選択肢として,SRIを取り上げ,既往の議論の展望による検討を踏まえ,「緑の革命」とSRIの社会的,経済的インパクトについて比較分析を行っている。その結果,石川氏は,「緑の革命」技術と比較して,SRIは低投入であるため,農村社会と農民に対して,社会経済的悪影響をもたらさないだけではなく,成果達成に創意工夫の必要性があることから,農民の自律性を高めるため,農民の福祉の観点から見た農村部の貧困緩和に貢献し得ると論じている。

以上の対照的な2つの農業技術の展望を前提として,第4章Can SRI Contribute to Alleviating Multidimensional Rural Poverty(SRIは,農村部の多面的な貧困の緩和に貢献できるか?)では,長期にわたるインテンシブな村落レベルの実態調査の結果にもとづき,SRIの普及・実施が,西ジャワ農村における貧困緩和と社会経済の変容に与えた影響を,経済面(物的資産の拡大)のみならず,社会的,心理的変容等を見るための指標(ケイパビリティの拡大)を取り上げ,貧困の多面的理解の観点から検討している。その結果,石川氏は,農民が,自らの自律性を尊重する,「緑の革命」に代わる技術を探求してきた事実をあきらかにし,「緑の革命」が,農民の福祉の観点から貧困を多面的にとらえた場合,その緩和には貢献できなかったのに対し,SRIは,西ジャワの稲作地帯において,社会経済的悪影響を避け,農民の福祉の観点から見た農村部の貧困緩和に貢献する,代替的な農業開発の一要素となり得ると主張する。

第5章Alternative Agricultural Development Contributing to Multidimensional Rural Poverty Alleviation in Rice Cultivation Areas of West Java in Indonesia(インドネシア国西ジャワの稲作地帯における農村部の多面的貧困緩和に資する代替的な農業開発)では,これらの研究結果を軸として,SRIを採用した新たな代替的な農業開発の方向性を横断的視点から検討し,その普及を促進するための桎梏となっている課題を,(1)不十分な情報伝達,(2)農業用水の確保,(3)排水不良の改善,(4)有機肥料の材料確保,(5)高い労働需要の4点にまとめ,政策的な提言を行っている。

本論文の内容は上のとおりであるが,その意義は非常に大きい。まず,SRIは従来から,環境面,経済面から高く評価されてきた農法であるが,これまで,SRIの社会文化面に着目した研究はほとんどなく,さらに,その観点からSRIの「緑の革命」に対する優位性を論じた先行研究は存在しない。その意味で,石川氏の議論は,SRIの本格的な社会科学分野の分析の嚆矢としての意義を有する。とくに,文化的,社会的,主体の心理的側面など非経済的諸相に着目し,多角的な視点から貧困をとらえつつ分析を行い,新しい意義を見いだそうとしている点で独創的な新機軸を打ち出している。それは,「人間の安全保障」の概念を深める意味においても,この分野において,新しくかつ重要な分析視角を提示しており,その学術的意義はきわめて高い。

第二に,以上の分析にもとづき,石川氏は,A.K.センのケイパビリティ・アプローチの観点を援用し,SRIが,西ジャワにおいて,「緑の革命」に代替しうるほどの積極的な諸効果をもつ農業技術革新であることを,明らかにしている点で,発展途上国研究において重要な貢献を果たしている。とくに,Narayanのいう「集団的ケイパビリティ」の議論をインドネシアの西ジャワの地域性に配慮して再構築し,ケイパビリティという概念の現実への適用をより深化させている点は重要である。

第三に,石川氏が,長期の参与観察によって,村落内の世帯レベルの聞き取りを踏まえ,質的,量的側面から,信頼性の高い一次資料にもとづき議論を展開している点も高く評価できる。とくに客観的な貧困指標のみに頼るだけではなく,村落内社会関係に配慮するために,居住者内相互評価に基づく主観的貧困指標を導入し,「貧困」や地域内階層構造をより多角的かつ立体的に捉えようとする試みを積極的に導入している点は意義が大きい。さらに,このようにして得られたデータは,十分な準備と緻密な調査計画に裏打ちされたものであり,後進の研究発展に資するデータを提供している点も高く評価されるべきである。

以上のように,本研究の学術的価値は非常に高いと考えられるが,いくつかの疑問が指摘され得るのも事実である。第一に,必ずしも,収集したデータが生かし切れていない。統計データの処理や質的データの活用に工夫がほしい。とくに,村落調査において,人々の幸福度や満足度に関わる多くの主観的指標を収集しながら,それらを十分に活用しきっていない点が惜しまれる。

第二に,村落の諸条件の論述が平板な箇所がある。たとえば,居住者間の社会関係についてより詳しい調査が実現できていれば,居住者間の社会的紐帯が,SRI普及にどのような影響を与えてきたのかをより立体的に分析できたように思われる。また,「集団的ケイパビリティ」の評価をより明確に論じることができたはずである。

最後に,その意味では,分析手法には,改良の余地がある。コミュニティや社会関係に注目するのであれば,たとえば社会ネットワーク分析を活用できたように思われる。それは,とくに集団的ケイパビリティの議論の発展に貢献し得る分析道具になるはずであろう。

しかしながら,これらの問題点は,本人も十分に認識し,今後の研究課題としているところであり,本研究の優れた独創性と高い学術的意義をいささかも損なうものではない。したがって,本審査委員会は一致して,論文提出者である石川明美氏に博士(国際貢献)の学位を授与するにふさわしいものと認定する。

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