学位論文要旨



No 214067
著者(漢字) 横田,敏幸
著者(英字)
著者(カナ) ヨコタ,トシユキ
標題(和) AHSの安全性及び効率性向上に関する評価の研究
標題(洋)
報告番号 214067
報告番号 乙14067
学位授与日 1998.12.11
学位種別 論文博士
学位種類 博士(工学)
学位記番号 第14067号
研究科 工学系研究科
専攻 社会基盤工学専攻
論文審査委員 主査: 東京大学 助教授 桑原,雅夫
 東京大学 教授 太田,勝敏
 東京大学 教授 森地,茂
 東京大学 教授 池内,克史
 東京大学 助教授 原田,昇
内容要旨

 本研究では、海外のAHSの開発動向やAHSの効果に対する評価などを明らかにしながら、日本のAHS開発の経緯、コンセプトを踏まえたうえで、AHSの安全性効果と縦方向制御に関する効率性向上効果の定量的分析を行った。

1.AHSの安全性向上に関する分析

 AHSの安全性向上に関する分析ではAHSの設定と交通事故統計における説明変数との相関関係を明らかにするマクロ解析フレームワークモデル:Earth Modelの開発及びEarth Modelを用いた解析を行った。

 AHSは自動車側で積極的に交通事故の原因を解決し安全性の向上を図ろうとするものである。AHSのように車両挙動の改善によって安全性の向上を目指すシステムの事故低減効果を分析するためには交通事故について「自動車の構造機能」と「事故統計量」との相関関係からの分析が必要である。しかしながらこれまでのところこの様な研究は十分なされておらず、VERTIS、先進安全自動車(ASV)推進検討会、TRLなどのAHSの安全性向上に関する研究においてもいくつかの問題点が存在している。

 AHSの安全性向上効果の分析におけるこれまでの分析に関する問題点は次の通りである。

 ・自動車の構造機能と交通事故統計のマクロ的な解析が十分なされていない。

 ・AHSのシステムと事故要因や事故類型など事故統計との関係が明確に整理されていない。

 ・AHSの様々なサービスレベルや機能が混在した場合に重複なく安全性向上効果を整理できていない。

 ・事故低減率を計算するパラメータが十分説明されていない。

 ・高速道路や一般道といった道路種別など道路要件に関する特性の違いを反映できていない。

 本研究においてこれらの問題点を解決するため、AHS車両の構造機能の設定と交通事故統計との相関関係を明らかにするEarth Modelの開発を行った。

 このモデルではAHSのサービスレベル(危険警告、運転補助、自動運転)やAHSの機能(縦方向機能、横方向機能、交差部機能)といったAHSの設定と事故類型、事故要因、道路構造などの事故分析の観点とを対応づけそれらの相関関係を明確に整理しながらAHSの事故低減効果(対応する事故内容と事故低減率)の推計を行う。具体的には、「AHSのサービスレベル」-「事故要因」、「AHSの機能」-「事故類型」の関連付けを行い分析を実施した。このモデルを用いることによって、AHSの事故低減の可能性、AHSの開発の優先順位や導入箇所の検討などAHSシステム構築に対して多くの示唆を得ることが可能となった。

2.AHSの効率性向上に関する分析

 AHSの効率性向上に関する分析ではAHSの縦方向制御について理論的なマクロ的分析と交通流シミュレータを用いたミクロ的分析を行った。

 マクロ的解析はある程度面的に広いエリアに対する推計を行うものであり、AHS車両の車頭時間の短縮などによってもたらされる交通容量の改善効果を推定し、さらに一般化集計QV式を用いて旅行速度改善効果の分析を行った。ミクロ的解析は論理的に導入効果を解析することが難しくマクロ的解析から簡単にAHSの導入効果を推計することができない交通現象のうち連続する過飽和交差点と高速道路サグ部における隘路現象に対するAHSの導入効果(交通容量増加効果や旅行速度向上効果)の解析を行った。

2.1.マクロ的解析

 AHSの目標headwayの設定及び速度と車頭距離の関係を明らかにした上で、ミクロ的な状態量であるheadwayを用いることでAHSの普及率を考慮しながら、単路部の交通容量や信号交差点の発進時のロスを考慮した発進流率を理論的に算出し、一般化集計QV式を用いAHSの導入による全国の平均的な旅行速度の伸びについて推計した。

1)単路部の交通容量や信号交差点の発進時のロスを考慮した発進流率

 (1)式にAHSがd%で普及した際の単路部の交通容量を示す。

 

 (2)式にAHSがd%で普及した際の信号交差点の発進時のロスを考慮した発進流率を示す。

 

 ここで、

 qd:AHS普及率d%時のAHS/非AHS混在の交通容量

 qid:AHS普及率d%時のAHS/非AHS混在の信号交差点の発進流率

 hi:AHS車両の目標headway

 hmanual:非AHS車両の平均headway

 d:AHS普及率/100

 a:AHS車両の加速度(m/s2)

 m:最小車頭距離(m/台)

 hi:AHS車両の目標headway(s/台)

 T:信号1サイクルあたりの青時間(s)

 なお、ここではAHS車両と非AHS車両が混在した場合及びAHS車両の普及率が100%の場合における信号交差点直進方向の青信号有効1時間あたりの交通流率を「発進流率」と定義した。

2)一般化集計QV式を用いた旅行速度の向上効果の推定

 AHSの導入効果を推計するために、(道路事業効果がもたらす旅行速度向上の推定に利用されている)マクロ的アプローチで用いられる一般化集計QV式を利用した。この一般化集計QV式はある地域の平均旅行速度をその地域の車線延長(1車線あたりに換算した車線延長)と走行台キロで表現するものであり、道路投資による道路拡幅や道路新設がマクロ的にどの程度平均旅行速度を向上させるかという推定に用いられている。本研究で用いた一般国道、高速道路のそれぞれの一般化集計QV式を(3),(4)式に示す。

 一般国道

 

 高速道路

 

 AHSの旅行速度の向上効果の推計にあたっては一般集計化QV式のうちAHSによって増加する交通容量/発進流率は車線延長Rに反映させ推計を行った。一般国道については(2)式を(3)式に代入し、高速道路については(1)式を(4)式に代入した。推計結果を図-1に示す。旅行速度の向上効果はおおむねAHSの普及率に比例して現れ、AHSの普及率が100%の場合、目標headwayが1.6,0.9,0.5s/台のときの旅行速度の伸率は一般国道において1.03,1.32,1.67倍、高速道路において1.00,1.18,1.39倍となった。

図-1 AHSの普及率と旅行速度変化
2.2.ミクロ的解析

 ミクロ的解析ではサグや交差点のようなボトルネック箇所におけるAHSの渋滞解消効果について交通流シミュレータを用い分析を行た。なお、AHS車両の追従走行については車頭時間(headway)が一定になるようなAHS車両の追従モデルの開発を行った(説明本文参照)。

2.2.1.サグ渋滞におけるAHSの導入効果

 1)越モデルの汎用・拡張化

 Xingや尾崎によって東名高速道路の秦野サグにおける運転挙動モデルの研究が行われている。しかしながら、これらの研究はサグの隘路現象の部分的な再現にとどまっておりサグの隘路現象全体をとらえた交通流の再現は行われていない。本研究はこれらを一歩進めて、越モデル(尾崎バージョン)の汎用・拡張化を行い実際の道路ネットワークを用いてサグ渋滞全体の交通現象を再現した。

 越モデルは相対速度への反応項、目標headwayからの偏差への反応項、先行車の行動に合わせる補正項、縦断勾配の影響項の4つで記述される。本研究では越モデルのサグの勾配変化の影響を考慮する項である第4項の汎用化を行うとともに3車線への拡張を行った。

 第4項の出力(加速度)は(t)とTgの関数として与えられる(説明本文参照)が、これまでのところTgについては個別サグに応じた値は設定されていない。そのため、本研究では「渋滞するサグではTgは勾配差率に反比例し、渋滞しないサグでは勾配差率にかかわらずTgはマイナスかかなり小さな値をとる」という仮定を用い第4項の汎用化を試みた。7名の被験者を用いた東名高速道路の秦野中井IC〜東京ICの走行実験からこの仮定に当てはまるような結果が得られたため、この仮定を用い秦野サグを念頭において開発された越モデルの汎用化を行った。さらにシミュレーション解析を実施することで、Tgがサグの渋滞か非渋滞であるかを決定するだけでなく、綾瀬サグにおいて仮定に基づき推定されたTgを用いることで綾瀬サグ部の渋滞時の交通流率を良好に再現することもわかった。

 また、サグにおける渋滞の形成と車線利用の状況には強い関連があることがわかっているものの、これまでのサグに関する分析ではこのような複数車線の渋滞生成のメカニズムを再現するには至っていない。ここでは車線利用率の偏りを再現し、複数車線の渋滞生成のメカニズムを再現することによって越モデルの拡張を行った。これまでの観測等の知見より3車線道路の自由流において走行が安定した状況では車線利用率は第1車線からおおむね25,35,40%、渋滞流から流出する際には車線利用率はおおむね1:1:1となるように設定し、均等化された車線分布は2km程度のうちに自由流の車線利用率が偏った状況となるようにした。

 2)高速道路綾瀬サグ渋滞におけるAHSの導入効果

 ケーススタディとして東名高速道路のボトルネック渋滞におけるAHSの導入効果の分析を行った。道路モデルは東名高速道路の上り方向での秦野中井IC(50.1kp)から厚木IC(35.0kp)を含む横浜IC(19.7kp)までの30.4km、3車線で休日の午後には10km以上に及ぶ渋滞を頻発する(100回/年程度)綾瀬サグ(29.0kp)を含んでいる。分析は平成9年7月13日(日)13:00〜20:00の交通状況を再現しAHSを導入したことによる渋滞状況や旅行速度の変化について行った。AHSの設定について目標headwayを1.6,0.9s/台の2ケース、普及率を0,20,40,100%の4ケースとしAHSの導入効果の評価を実施した。入力する交通需要は秦野中井IC及び厚木ICの直近下流のTraffic Counterのデータを基に5分刻みで与えている。

 この分析からAHSの導入効果について次のような結果を得た。

 図-2に目標headway1.6s/台の場合の秦野中井ICから横浜ICまでの時間帯別の平均旅行時間を示す。AHSの普及率が0%の場合、旅行時間は最大47分程度(渋滞によって30分の旅行時間の増加)となっている。普及率が20%になると旅行時間は最大30分弱程度で渋滞よる損失時間は10分程度と普及率が0%の場合に比べ約1/3になっている。普及率が40%の場合、旅行時間は18分から25分強程度、普及率が100%の場合、旅行時間は18分から20分強で渋滞による遅延はほとんどなくなった。

図-2 平均旅行時間、(AHSのheadway1.6s/台:秦野中井IC-横浜IC)
2.2.2.一般道におけるAHSのボトルネック渋滞解消効果に関する分析

 一般道である新大橋通りにおける道路モデルを図-3に示す。対象区間は都道東京市川線(新大橋通り)の中央区日本橋浜町3丁目から墨田区菊川2丁目までの約2kmの区間で10の信号交差点を含んでいる。

図-3 都道東京市川線(新大橋通り)の道路モデル

 交通状況調査は平成9年9月17日(水)7:00〜10:00の時間帯に行われた。この区間は平成6年度道路交通センサス一般交通量調査でも12時間交通量が16,600台と交通量も多く、朝のピーク時には上り方向では隅田川をこえる新大橋付近の新大橋西交差点を先頭に渋滞が頻発している。調査当日、7時台の交通は上り下り方向ともに非渋滞流であったが、8,9時台は上り方向において新大橋西交差点を先頭に500〜600m程度の渋滞が発生した。

 AHS車両の設定は目標headwayを1.6,0.9s/台の2ケース、普及率を0,10,30,100%の4段階とし、反応遅れ時間を0.3s(非AHS車両の平均反応遅れ時間1.0s)とした。図-4に目標headway1.6s/台、普及率を0,10,30,100%の場合の新大橋西交差点を先頭とする上り方向(A→B方向)の渋滞長の変化を示す。ここで、渋滞長とは停止車両最後尾までの長さとして定義する。図-4より、普及率が低い段階からボトルネック渋滞がかなり解消されていることがわかる。(headway0.9s/台で普及率が30%のケースの渋滞解消効果は普及率が100%のケースとほとんど同じであった。)また、図-5にheadway1.6s/台のケースにおける新大橋通りの上り方向上流端から下流端まで(A〜Bまで)の各普及率、各時間帯ごとの平均旅行時間の計測結果を示す。平均旅行時間の変化と渋滞長の変化がおおむね一致していることがわかる。

図-4 渋滞長の変化(AHSのheadway1.6s).図-5 平均旅行時間(AHSの目標headway1.6s/台)

 このように普及率が低い段階から渋滞改善効果があったことについては次のように考察することが出来る。越、桑原らによると「都市内の平日の交通渋滞は比較的低い割合(数%から10数%)の超過需要によって発生する。」と指摘されるが今回の実験の場合、反応遅れ時間が小さく規則的な走行を行うAHS車両がある程度普及しただけでもボトルネックの交通容量を超える需要分に対しての相殺効果があり、新大橋西交差点を先頭とする渋滞をかなり解消させることができたと考えられる。

3.結論と今後の課題

 本研究で得られた結論は以下のとおり。

 既往のAHSの効果分析に関する研究事例を概観し問題点及び改善点を明確化した。

 安全性の分析ではAHSの設定と事故の相関関係を明確に整理しながらAHSの事故低減効果の推計を行う解析モデル:Earth Modelの開発を行った。また、Earth Modelを用いた解析を実施することによりAHSの事故低減の可能性、AHS開発の優先順位や導入の際に考慮すべき事項などの示唆を得た。

 AHSの目標headwayの設定及び速度と車頭距離の関係を明らかにした上で、ミクロ的な状態量であるheadwayを用いることでAHSの普及率を考慮しながら、単路部の交通容量や信号交差点の発進流率を理論的に算出した。また、AHSによる交通容量/発進流率の増加を考慮した一般化集計QV式を用い、AHSのマクロ的な平均旅行速度の向上について推定を行った。

 シミュレーションにおけるAHSの追従方式を明らかにしAHSの走行モデルを開発した。

 Xingや尾崎によって東名高速道路の秦野サグにおける運転挙動モデルの研究が行われているもののサグの隘路現象の部分的な再現にとどまっておりサグの隘路現象全体をとらえた交通流の再現は行われていない。本研究はこれを一歩進めて、越モデル(尾崎バージョン)の汎用・拡張化を行うことによって実際の道路ネットワークを用いサグ渋滞全体の交通現象を再現した。そのため、本研究では越モデル(尾崎バージョン)の縦断勾配の影響項の縦断勾配の補償対応に対する反応遅れ:Tgについて様々なサグに適応できるよう汎用化を行いさらに、車線利用率の偏りを考慮することによって追越車線側から渋滞が発生するメカニズムを再現し多車線の道路モデルへの拡張化を行った。

 シミュレーションによるケーススタディからは高速道路のサグ渋滞及び一般道のボトルネック渋滞ともにAHSの普及率が途上の段階から渋滞の解消効果が見られることがわかった。

 「道路ネットワーク」-「交通需要」-「車両挙動」の3つの関係から道路交通問題を捉え施策を実施することが可能であることがわかった。

 今後の課題は以下のとおり。

 Earthモデルの事故低減率の算定に用いている事故低減係数は現在のところ1.0と仮定しており事故類型や事故要因及びシステム設計に応じて設定を行う必要がある。

 シミュレーションにおけるAHSの設定は現在のところ乗用車のみを対象としているがこれを大型車両にまで拡大しより実現象に近い交通状況におけるAHSの導入効果の評価を行う必要がある。

 シミュレーションによるAHSの効率化に関する定量的評価を様々な条件下(ネットワーク、大型車両の混入など)において実施し評価分析結果の蓄積をはかる必要がある。

 効率性向上の検討においては縦方向の制御だけでなく横方向や交差部(特に分合流部)における制御も含めた評価を行う必要がある。

審査要旨

 本研究は、AHS(Automated Highway Systems)の安全性・効率性改善効果の評価方法を構築するとともに定量的に効果を算出し、今後のAHS開発のあり方について提言を行ったものである。

 安全性向上に関する評価については、マクロ解析モデル(Earth Model)の開発を行い、それを用いた解析を行っている。本モデルではAHSのサービスレベル(危機警告、運転補助、自動運転)やAHSの機能(縦方向機能、横方向機能、交差部機能)と事故要因(類型、交通条件、道路構造など)の相関関係を明確にしながらAHSの事故低減効果の推計を行っている。本モデルの定量的な解析結果には今後の継続した評価解析が必要であるが、これまで散在していた既存評価報告の総合的な整理と安全性評価の枠組みを構築したことは高く評価できる。

 効率性向上に関する分析では、(1)机上のマクロ的分析と(2)実証的な交通流シミュレータを用いたミクロ的分析を行っている。マクロ的分析ではAHSの目標headwayの設定および速度と車頭距離の関係を明らかにした上で、AHSの普及率を考慮しながら、単路部の交通容量と信号交差点の発進時のロスを考慮した発進流率を解析的に導出している。また、一般化集計Q-V式を用い、AHSの導入による全国の平均的な旅行速度の伸びについて推計している。

 ミクロ的分析では、既存の追従モデルを本研究に適用できるように修正したものを交通流シミュレータに組み、高速道路上のサグ・一般街路交差点といったボトルネック箇所におけるAHSの渋滞解消効果について分析を行っている。本研究では東名高速道路の綾瀬サグを先頭にした渋滞、および新大橋通り交差点をケーススタディとして実証分析を行っている。

 まず、"縦断勾配の補償に対する反応遅れ時間Tg"が勾配変化量の関数として与えられるように、既存追従モデルを修正するとともに、3車線区間にも適用できるように改善を行っている。このように修正されたTgを用いることで綾瀬サグ部の渋滞時の交通流率を良好に再現することを検証している。

 また、サグにおける渋滞の形成と車線利用の状況には強い関連があることがわかっていたものの、交通量の車線分布を内性化したモデルは開発されていなかった。本モデルでは、車線利用率の偏りをモデルに組み込むことで、連続するボトルネックにおける相互作用も評価できるように改善されている。

 ケーススタディとして東名高速道路のボトルネック渋滞におけるAHSの導入効果の分析を行った結果、目標headway1.6s/台の場合には、AHS普及率が0%の場合、旅行時間は最大47分程度(30分の遅れ時間)が、普及率が20%になると旅行時間は最大30分弱程度で渋滞による損失時間は10分程度と、普及率が0%の場合に比べ1/3になるなど、興味深い結果を推計している。

 一般道におけるケーススタディは、新大橋通りの約2km区間で10の信号交差点を含んだ路線で行っている。AHS車両の設定は目標headwayを1.6,0.9s/台の2ケースとして、各普及率、各時間帯ごとの平均旅行時間、渋滞長を推計している。

 以上のように、本研究はAHSの評価について、既存の研究資料を総合的に整理していること、安全性・効率性の評価方法を構築したこと、詳細な交通調査に基づいて効率性評価を現場に適用して効果量を算出したことは、有用な知見と認められる。また、今後のAHS開発の優先順位や導入箇所の検討などに対しても多くの示唆を与えており、学術的にも実務的にも高く評価できる。

 よって本論文は、博士(工学)の学位請求論文として合格と認められる。

UTokyo Repositoryリンク