学位論文要旨



No 214490
著者(漢字) 清野,敏一
著者(英字)
著者(カナ) セイノ,トシカズ
標題(和) 医薬品の適正使用のための処方鑑査支援システム及び調剤支援システムの構築と患者への情報提供に関する医療薬学研究
標題(洋)
報告番号 214490
報告番号 乙14490
学位授与日 1999.11.24
学位種別 論文博士
学位種類 博士(薬学)
学位記番号 第14490号
研究科
専攻
論文審査委員 主査: 東京大学 教授 伊賀,立二
 東京大学 教授 井上,圭三
 東京大学 教授 杉山,雄一
 東京大学 教授 長尾,拓
 東京大学 助教授 佐藤,均
内容要旨 序論

 平成5年秋のソリブジン薬害事件を契機とし,国のレベルでの医薬品の適正使用への様々な取り組みが展開されてきた.一方,医療の高度化,患者本位の医療の推進により医療の主体者である患者への適正使用に必要な情報提供も義務化された.このような背景の中で,真の患者本位の医療を実践するためには,1)医師による正確な診断と的確な治療方針に基づいた処方作成,2)薬剤師による処方鑑査と正確な調剤,3)患者への処方情報の開示及び適切な情報提供と服薬指導,4)患者自身の薬物療法への理解と服薬遵守が必須と考えられる.

 本研究においては,これらの必須条件の2)から4)について,薬剤師として実行すべき,処方鑑査,調剤,情報提供と服薬指導における適正使用を目指したシステムの構築とその評価を行った.

1.処方鑑査支援システムの構築と評価1-1処方鑑査支援システム構築の背景

 東京大学病院(以下,当院と略す)では,平成6年7月の新外来棟の開院時より,外来処方がオーダリング化された.診療ブースで医師から患者に処方せんが交付され,同時に処方情報が処方鑑査室に処方情報紙として印字出力される.ここで,全ての外来処方せんについて,処方情報紙による処方鑑査が行われ,必要に応じて医師への問い合わせと処方変更が行われる.

 現在,当院の外来患者は1日平均2,600人であり,このうち約2,000人に処方せんが発行される.院外処方せん発行率は平均83%であり,1日平均1,700枚が6,457軒の首都圏を中心とした保険薬局で広域に応需されている.この他に例を見ない広域拡散には,正確な処方せんの発行が必須であり,医師の正確な処方作成のみならず,薬剤師による処方鑑査に大きく依存している.

 処方鑑査精度の向上と効率化には,処方オーダリングシステム本体へのチェック機能の搭載も考えられるが,極めて短い外来診療時間内に膨大な組み合わせの相互作用を自動チェックさせることは現実には困難である.当院の処方オーダリングシステムは独立分散処理系ではなく,病院情報トータルシステムの一部であり,処方可能薬品数2,846品目に対する複雑なチェック機能をシステム本体に持たせることは,処理時間に大きく影響するため,実現できていない.このため,相互作用などのチェックは薬剤部側への処方情報伝達後に薬剤師によって行うこととし,システム全体のレスポンス低下を引き起こさない処方鑑査支援システムを構築した.

1-2処方鑑査支援システムの構築と評価

 処方鑑査支援システムでは,処方鑑査上,相互作用など特に注意すべき69種類の薬剤を注意薬剤と定義して薬品マスタ内に注意薬剤フラグを登録した.ホストコンピュータから処方情報に加え,過去5回分の処方情報を付加して送信させた.注意薬剤の処理は,処方薬剤と薬品マスタとの照合を行い,該当する注意薬剤を抽出し(過去5回分の処方で同様の処理を行う),処方情報紙の注意薬剤薬歴情報欄にその情報を印字して,今回処方薬と照合することにより,極めて短時間で精度の高い処方鑑査を可能とした.

 本システム稼働後の外来処方せんにおいて,約10%の処方せんに注意薬剤が処方され,また,過去処方に注意薬剤が処方されていた割合は約7%であり,合計約17%の処方せんで相互作用など注意薬剤に関する薬歴の確認を行う必要性が示された.また,ニューキノロン剤と非ステロイド性消炎鎮痛剤の併用による痙攣など致死的な相互作用を引き起こす危険性のある組み合わせが約100,768枚中192枚(0.2%)の処方せんで発見され,処方薬剤の変更,削除により,相互作用を未然に回避し,処方を適正化できた.本システム稼働後の保険薬局からの院外処方せんの内容などに関する問い合わせ件数は,システム導入前と比較して約30%と大幅に減少した.

 本システムにより,迅速かつ正確な処方鑑査が可能となり,重篤な相互作用の回避を含め適正な院外処方せんの発行を達成でき,広域拡散に大きく寄与することが明かとなった.

2.調剤支援システムの構築と評価

 患者待ち時間を短縮し,正確かつ迅速な質の高い調剤を行うために,処方鑑査後の適正な処方情報に基づき,各セクションごとの調剤支援システムを構築して連動させ,それらを統合管理する並行調剤システムを構築した.構築した調剤支援システムは、1回量包装調剤システム,散剤鑑査システム,薬袋印字システムとそれらを統合管理する並行調剤システムで構成した.

2-1並行調剤システムの構築

 並行調剤システムでの処方データの流れと処理手順は,ホストコンピュータからの処方データ受信後,薬品マスタと照合して処方解析を行い,計数調剤か計量調剤かを自動判断し,各調剤セクションに処方情報紙を印字出力した.また処方情報紙には全ての処方情報を印字させ,調剤者が処方全体を把握した上で処方鑑査,調剤を行うことを可能とした.各セクションで調剤すべき薬剤は処方情報紙に印字する色で区別した.

 本システム稼働後の計数と計量調剤を含む外来処方せんの平均調剤時間は,並行調剤システムを利用した場合に直列式の調剤を比較して約40%短縮でき,大幅な効率化が達成できた.さらに,本システムは散剤の調剤を支援する機能を有し,錠剤の粉砕時の重量の登録,バーコードでの照合などの支援機能により,粉砕時の秤取量の自動表示,自動チェックが可能となり,特殊な調製を必要とする散剤調剤を誤りなく行え,散剤調剤の精度の向上と効率化が可能となった.

2-21回量包装調剤システムの構築

 医師の入力した処方情報に基づき,薬品ごとの画像ファイルと照合して,画面上にカラーでの薬剤の画像などを表示する1回量包装調剤の鑑査支援システムを構築した.また,本システムには薬品情報検索機能を搭載し,瞬時に必要な情報を検索可能とし,薬剤の照合のみならず,鑑査の質的向上を達成できた.

2-3絵文字(ロゴ)印字機能を搭載した薬袋印字システムの構築

 薬剤の使用法や保管法などの情報を絵文字化し,自動的に薬袋に印字するシステムを構築した.本システムにより,患者の薬袋への着目度の向上が達成でき,薬袋に表記された情報への患者の理解を高めることを可能とした.

3.外来患者への情報提供と服薬指導システムの構築と評価

 患者の高齢化に伴う疾患数の増加や疾病の多様化により,多施設受診や多剤併用が増加しており,この中で相互作用などを回避するためには,薬剤師側から患者への能動的な服薬指導を行うことが必須である.

3-1能動的服薬指導システムの構築と評価

 当院では診療科で外来患者に処方せんが交付され,同時に送信された処方情報について薬剤師が処方鑑査を行う.また,院外,院内を含めたすべての患者が会計終了後に薬剤部「お薬カウンタ」で「処方カード」による処方薬剤情報の提供と服薬指導を受ける.能動的服薬指導の対象薬剤として,重篤な副作用や相互作用に注意が必要な薬剤,適切な服用方法や使用方法の確保が必要な薬剤など,125品目の薬剤と5つの剤形を選定した.能動的服薬指導は,患者の理解度などにより,段階的に「受付カウンタ」,「お薬相談カウンタ」,及び「お薬相談室]で薬品情報の提供を行うシステムとした.調剤薬投薬表示板装置に付設した電光表示装置(Light Emitting Diode;LED)で患者の待ち時間を利用し,医薬品の適正使用に関する情報提供を行い,患者個別の能動的な情報提供への誘導手段とした.また,「ピクチャーカード」,「リーフレット」,「対象薬剤の実物サンプル」などの情報伝達媒体を用い,患者の理解を高め,効率よく服薬指導を行うことを可能とした.さらに,患者の理解を高めるために,口頭での説明に加えて,対象薬剤を中心に必要最小限の薬品情報を記載した簡易型及び詳細型「お薬説明カード」を作成し,文書での情報提供を行うこととした.これにより,説明時間の短縮と薬剤師間での説明内容の統一化を可能とした.

 過去に能動的服薬指導を実施した外来患者の約70%が「お薬説明カード」を利用した服薬指導がわかりやすいと回答し,「薬剤の実物」などの情報伝達媒体に対する患者からの高い評価が得られた.一方,他施設などに受診した患者の80%以上が医師に「お薬説明カード」を提示しており,能動的服薬指導システムでの情報提供に対する患者の理解が得られ,相互作用回避などの面から能動的服薬指導の効果が示された.

3-2情報提供の義務化への対応

 薬剤師法の改正による患者への情報提供の義務化に伴い,院内処方患者へ情報提供を行うために新たに「お薬説明シート」を作成した.効能効果などの基本情報の他に副作用重篤度分類のグレード1の副作用や一般的注意事項のロゴマークなどを処方オーダリングシステムと連動させて自動的に印字させる.一方,グレード3の重篤な副作用に関しては,「お薬説明カード」に副作用の初期症状を自覚的,他覚的症状に分けて記載し,患者の理解を高め,「お薬説明シート」と併用することにより情報提供の義務化に対応するシステムとした.

3-3患者自身による薬歴の一元管理法の構築

 「処方カード」と「お薬説明カード」を「お薬手帳」に時系列で貼付し,薬剤師から患者自身へ,さらに患者を介して他施設の医師に対し処方情報と適正使用に必要な情報を提供し,「お薬手帳」を活用した患者自身による薬歴の一元管理を行う.一方,医師に対しても,適正使用に必要な薬品情報を提供して,処方作成の支援を行う.本システムにより達成された一連の情報提供システムの構築と円滑な運用により重篤な薬物間相互作用や副作用を回避することが可能となった.

4.結語

 本研究では,医薬品の適正使用を目指した,処方鑑査支援システム,調剤支援システム,患者への情報提供と服薬指導システムを構築し,それらシステムの有用性の評価を行った.その結果,これらシステムの有用性が示され,患者本位の医薬品の適正使用の推進に大きく寄与することが明かとなった

審査要旨

 平成5年秋のソリブジン薬害事件を契機とし,国のレベルでの医薬品の適正使用への様々な取り組みが展開されてきた.一方,医療の高度化,患者本位の医療の推進により医療の主体者である患者への適正使用に必要な情報提供も義務化された.このような背景の中で,真の患者本位の医療を実践するためには,1)医師による正確な診断と的確な治療方針に基づいた処方作成,2)薬剤師による処方鑑査と正確な調剤,3)患者への処方情報の開示及び適切な情報提供と服薬指導,4)患者自身の薬物療法への理解と服薬遵守が必須と考えられる.

 本研究においては,これらの必須条件の2)から4)について,薬剤師として実行すべき,処方鑑査,調剤,情報提供と服薬指導における適正使用を目指したシステムの構築とその評価を行った.

1.処方鑑査支援システムの構築と評価

 東京大学病院(以下,当院と略す)では,外来患者の処方情報が処方鑑査室に処方情報紙として印字出力され,全ての外来処方せんについて,処方情報紙による処方鑑査が行われ,必要に応じて医師への問い合わせと処方変更が行われる.現在,当院の外来患者への院外処方せん発行率は平均83%であり,1日平均1,700枚が6,457軒の首都圏を中心とした保険薬局で広域に応需されている.この他に例を見ない広域拡散には,正確な処方せんの発行が必須であり,医師の正確な処方作成のみならず,薬剤師による処方鑑査に大きく依存している.

 処方鑑査精度の向上と効率化には,処方オーダリングシステム本体へのチェック機能の搭載も考えられるが,極めて短い外来診療時間内に膨大な組み合わせの相互作用を自動チェックさせることは現実には困難である.当院の処方オーダリングシステムは独立分散処理系ではなく,病院情報トータルシステムの一部であり,処方可能薬品数2,846品目に対する複雑なチェック機能をシステム本体に持たせることは,処理時間に大きく影響するため,実現できていない.このため,相互作用などのチェックは薬剤部側への処方情報伝達後に薬剤師によって行うこととし,システム全体のレスポンス低下を引き起こさない処方鑑査支援システムを構築した.

 処方鑑査支援システムでは,処方鑑査上,相互作用など特に注意すべき69種類の薬剤を注意薬剤と定義して薬品マスタ内に注意薬剤フラグを登録した.ホストコンピュータから処方情報に加え,過去5回分の処方情報を付加して送信させた.注意薬剤の処理は,処方薬剤と薬品マスタとの照合を行い,該当する注意薬剤を抽出し,処方情報紙の注意薬剤薬歴情報欄にその情報を印字して,今回処方薬と照合することにより,極めて短時間で精度の高い処方鑑査を可能とした.本システム稼働後の外来処方せんにおいて,約10%の処方せんに注意薬剤が処方され,また,過去処方に注意薬剤が処方されていた割合は約7%であり,合計約17%の処方せんで相互作用など注意薬剤に関する薬歴の確認を行う必要性が示された.また,ニューキノロン剤と非ステロイド性消炎鎮痛剤の併用による痙攣など致死的な相互作用を引き起こす危険性のある組み合わせが約100,768枚中192枚(0.2%)の処方せんで発見され,処方薬剤の変更,削除により,相互作用を未然に回避し,処方を適正化できた.本システム稼働後の保険薬局からの院外処方せんの内容などに関する問い合わせ件数は,システム導入前と比較して約30%と大幅に減少した.本システムにより,迅速かつ正確な処方鑑査が可能となり,重篤な相互作用の回避を含め適正な院外処方せんの発行を達成でき,広域拡散に大きく寄与することが明かとなった.

2.調剤支援システムの構築と評価

 患者待ち時間を短縮し,正確かつ迅速な質の高い調剤を行うために,処方鑑査後の適正な処方情報に基づき,各セクションごとの調剤支援システムを構築して連動させ,それらを統合管理する並行調剤システムを構築した.構築した調剤支援システムは、1回量包装調剤システム,散剤鑑査システム,薬袋印字システムとそれらを統合管理する並行調剤システムで構成した.

2-1並行調剤システムの構築

 並行調剤システムでの処方データの流れと処理手順は,ホストコンピュータからの処方データ受信後,薬品マスタと照合して処方解析を行い,計数調剤か計量調剤かを自動判断し,各調剤セクションに処方情報紙を印字出力した.また処方情報紙には全ての処方情報を印字させ,調剤者が処方全体を把握した上で処方鑑査,調剤を行うことを可能とした.各セクションで調剤すべき薬剤は処方情報紙に印字する色で区別した.

 本システム稼働後の計数と計量調剤を含む外来処方せんの平均調剤時間は,本システムを利用した場合に直列式の調剤を比較して約40%短縮でき,大幅な効率化が達成できた.さらに,本システムは散剤の調剤を支援する機能を有し,錠剤の粉砕時の重量の登録,バーコードでの照合などの支援機能により,粉砕時の秤取量の自動表示,自動チェックが可能となり,特殊な調製を必要とする散剤調剤を誤りなく行え,散剤調剤の精度の向上と効率化が可能となった.

2-21回量包装調剤システムの構築

 医師の入力した処方情報に基づき,薬品ごとの画像ファイルと照合して,画面上にカラーでの薬剤の画像などを表示する1回量包装調剤の鑑査支援システムを構築した.また,本システムには薬品情報検索機能を搭載し,瞬時に必要な情報を検索可能とし,薬剤の照合のみならず,鑑査の質的向上を達成できた.

2-3絵文字(ロゴ)印字機能を搭載した薬袋印字システムの構築

 薬剤の使用法や保管法などの情報を絵文字化し,自動的に薬袋に印字するシステムを構築した.本システムにより,患者の薬袋への着目度の向上が達成でき,薬袋に表記された情報への患者の理解を高めることを可能とした.

3.外来患者への情報提供と服薬指導システムの構築と評価

 患者の高齢化に伴う疾患数の増加や疾病の多様化により,多施設受診や多剤併用が増加しており,この中で相互作用などを回避するためには,薬剤師側から患者への能動的な服薬指導を行うことが必須である.

 当院では院外,院内を含めたすべての患者が会計終了後に薬剤部「お薬カウンタ」で「処方カード」による処方薬剤情報の提供と服薬指導を受ける.能動的服薬指導の対象薬剤として,重篤な副作用や相互作用に注意が必要な薬剤,適切な服用方法や使用方法の確保が必要な薬剤など,125品目の薬剤と5つの剤形を選定した.能動的服薬指導は,患者の理解度などにより,段階的に「受付カウンタ」,「お薬相談カウンタ」,及び「お薬相談室」で薬品情報の提供を行うシステムとした.調剤薬投薬表示板装置に付設した電光表示装置(Light Emitting Diode;LHD)で患者の待ち時間を利用し,医薬品の適正使用に関する情報提供を行い,患者個別の能動的な情報提供への誘導手段とした.また,「ピクチャーカード」,「リーフレット」,「対象薬剤の実物サンプル」などの情報伝達媒体を用い,患者の理解を高め,効率よく服薬指導を行うことを可能とした.さらに,患者の理解を高めるために,口頭での説明に加えて,対象薬剤を中心に必要最小限の薬品情報を記載した簡易型及び詳細型「お薬説明カード」を作成し,文書での情報提供を行うこととした。これにより,説明時間の短縮と薬剤師間での説明内容の統一化を可能とした。過去に能動的服薬指導を実施した外来患者の約70%が「お薬説明カード」を利用した服薬指導がわかりやすいと回答し,「薬剤の実物」などの情報伝達媒体に対する患者からの高い評価が得られた.一方,他施設などに受診した患者の80%以上が医師に「お薬説明カード」を提示しており,能動的服薬指導システムでの情報提供に対する患者の理解が得られ,相互作用回避などの面から能動的服薬指導の効果が示された.

 薬剤師法の改正による患者への情報提供の義務化に伴い,院内処方患者へ情報提供を行うために新たに「お薬説明シート」を作成した.効能効果などの基本情報の他に副作用重篤度分類のグレード1の副作用や一般的注意事項のロゴマークなどを処方オーダリングシステムと連動させて自動的に印字させる.一方,グレード3の重篤な副作用に関しては,「お薬説明カード」に副作用の初期症状を自覚的,他覚的症状に分けて記載し,患者の理解を高め,「お薬説明シート」と併用することにより情報提供の義務化に対応するシステムとした.

 「処方カード」と「お薬説明カード」を「お薬手帳」に時系列で貼付し,薬剤師から患者自身へ,さらに患者を介して他施設の医師に対し処方情報と適正使用に必要な情報を提供し,「お薬手帳」を活用した患者自身による薬歴の一元管理を行う.一方,医師に対しても,適正使用に必要な薬品情報を提供して,処方作成の支援を行う.本システムにより達成された一連の情報提供システムの構築と円滑な運用により重篤な薬物間相互作用や副作用を回避することを可能とした.

 以上、本研究は,医薬品の適正使用を目的とした処方鑑査,調剤,患者への情報提供と服薬指導のシステム化に関する新しい知見を示し,医療薬学の臨床応用に寄与するところ大であり,よって博士(薬学)の学位に十分に値するものである.

UTokyo Repositoryリンク http://hdl.handle.net/2261/51135