機械工学の製造フィーチャ(特徴)に対する20数年前の初期の研究は、今のいわゆるフィーチャ技術の基礎を作った。現在では、フィーチャ技術には、異なった種類のフィーチャ、例えば形状フィーチャ、パターン・フィーチャ、連結フィーチャ、特性フィーチャ等が確認され、また研究されている。フィーチャに基づいたアプローチの基本となる考えの特徴としては、その目的を以下の三種類に分ける事により、簡明に述べる事が出来る。第一に、ある物体の記述の形状様相とその関係しているセマンティックス(意味論)の有効で首尾一貫した統合の方法を提供する。その応用と処理過程により、その記述は、設計物体の記述であり、製造物体の記述等でもある。第二に、モデル相互とそれらの処理過程の統合(例えば、設計情報と製造過程と連携する)を支持しているエンティティ構造を提供する。第三に、幾何学以外の一定の機能性を示し、しかも工学分野の語彙と関連づける事が出来る要素と演算子の抽象の概念基礎を確証する。例えば、機械工学と切削部品において、フィーチャは、穴、ポケット、ステップ等の物体として定義付け、関連付ける事が出来る。製品のライフ・サイクルの異なったステップの中で応用される各種コンピュータ補助応用を考えると、情報の統合及び過程処理に関連する製品幾何学の形態は、製品と過程モデリングに、かなり深く浸透する事が分かる。この事実をフィーチャに基づいたアプローチの基本的な考えに関連させると、フィーチャ技術の潜在力と見通しは、問題なく明白に見える。けれども、方法論における内在的な問題と発展歴史に関連するいくつかの間違いから、フィーチャ技術は、工業と実践において、その値する評価と地位を未だ得られていない。 全ての実用システムと大部分の研究用のシステムで悩む一つの基本的な問題は、実行時間中の双方向のフィードバックと制御が不十分であるという事である。大部分のシステムは、概念アプローチと最後の実行を提供しているが、フィーチャ仕様と、関連しているセマンティックスと、関係する幾何学との間の適当な関係を十分に制御するメカニズムは無い。一旦、あるフィーチャ・インスタンスとその相関する幾何学のモデルが考案された後、操作期間中の首尾一貫したモデルと過程統合に対する十分な制御が無視される。これは大部分のフィーチャ・フレームワークが首尾一貫した多重表現に対し、処理不能となる事に伴う問題である。フィーチャは、幾何学の概念に限らず、しかもそれを超える概念を含み又関連している為に、異なった前後関係の中で物体の異なった表現を考える必要が有る。 工学設計の多くの場合に、附加的な設計決定を行うまでに、ある期間中に若干のフィーチャ・パラメータを明示しないままに置く。これは要求の一つで、実行時間中に部分的に明示したフィーチャを支持している型数値概念である。これもほぼ全ての既存のフィーチャ・フレームワークの中で見当たらない若しくは発展の不十分な特性である。 既存のフィーチャ・システムのハードウェア・ソフトウェア・プラットフォームに対する依存性に貢献し、現存のフィーチャ・フレームワークを的確に、形式的な基礎の上で評価し比較し改良するお困難にする一つの深刻な問題は、概念の仕様と実際の実行との組み合わせのことである。殆どの場合、構造とセマンティックス仕様に対する既知の適当なフレームワークの不足の為に、最終のコーディング、つまり実行済みフレームワーク、或いは最初の概念システムとフレームワーク設計からプラットフォーム依存の一本のソフトウェアまでの文字通りの長距離マッピィングは、具体的であり、かつ形式的な記述として入手出来るのみである。 概念設計において、その目標は、指示の意味のセマンティックスと領域の持っている型付け属性エンティティ構造の完全な統合の形式化の為、また規則の基礎と条件属性リライティング・システムの完全的な統合の実行開発の為、エンティティ反映とマニホール・フィードバックの応用の現実化の為に、新しいエンティティ概念と新しいフィーチャに基づく参照核アーキテクチャ(図1)を開発する事である。 図1 参照核のアーキテクチャ 開発した新しい強力なエンティティ概念のアーキテクチャは、(束縛された)完全な半順序セットに基づいている物である。各々のエンティティは、型付けられており、この型の独特の特性を記述する概念から形成される。現在、この基本的な構造の中で、定義した型とそれに含まれる関係に基づいて,首尾一貫した型階層を造る事が出来る。この関係は、既知のその定義する完備性(情報の量と内容)の程度を解釈する情報の基礎と、一対の特定の型の間で比較される。型付け属性エンティティ(TAE)構造の発展した概念は、この(数学的)構造に基づいている物である。TAE構造は、非形式的に有限の型と属性の集合として定義される。この属性には、その明示している型と関連する数値の集合が付いており、この数値は全体型関数と部分属性数値関数が付いている。 文脈依存エンティティの計算をする為に、TAE構造の中で形成された多次元の識別子型の概念が導入された。毎回の計算後、あるエンティティの構造的な条件を反映しているエンティティの数値をモデリングの為に、自己評価の機能が、TAE構造に補充された。TAE構造で定義されたエンティティのモデル・セマンティックスに対し、セマンティックスドメインが採用された。 エンティティ構造に基づく計算において、条件付きの属性リライティング・システムが使用される。このリライティング・システムの中での計算が、ある与えられたアルファベットに対して型付け属性記号の単語の計算により実行される。この属性記号の数値は、関連しているセマンティックス関数により計算され、リライティング規則の応用が規則の先行部分と条件部分により制御される。 予見するマニホールド・フィードバックと完全に統合したモデル及び過程を達成する為に、エンティティ反映の成功した拡張と実行が大きな役割を果している。任意のエンティティに対する制御により、各々の計算ステップの中に伴う全てのモデルにおいて、局部的な制限が可能となり、その結果、制御と計算の量を制限する事が出来る。殆どの商用システムの中で、多くの研究用システムの中でも典型的なモデルの不一致は、例えば、幾何学演算後、フィーチャの形状の破壊したフィーチャ・モデルに関連する無効なフィーチャ幾何学等のようなものであり、それらは容易に検出され避けられる事が出来る。フィーチャ・モデルの中でのあるフィーチャとその関連しているある幾何学モデルの中の現在の形状との間には、幾何学若しくはフィーテャ・モデルに影響する演算によって起こされた任意の不一致は,検出され訂正されることができる。 フレームワークの開発と関係は無いが、過程統合を達成している間での一つの実現の不足は、フィーチャ・モデルの中のフィーチャ変形とフィーチャ認識を明白に支持する適当な補助構造が不足していることである。フィーチャは、全て過程環境依存で、フィーチャに基づく物体記述の自動的な統合は、常にフィーチャのマッピングを要求しており、これは多くの状況では簡単なことではない。けれども、現在既知の任意の其の他のフィーチャ・フレームワークには、新しく開発された補助構造、例えば物体同士の接触ゾーン、を討論する事は無い。フィーチャと幾何学との間のモデル統合を改善する為、将来性のある結果が示された。目標の明白なフィードバックを得る為に、エンティティ反映は一つの非常に重要な基礎である事が証明された。既に略述したように、内部のフィードバックと制御が支持される事だけでなく、ユーザーにエラーと無効なシステム状態を通知する外部のフィードバックも支持される。その状態は監視しているエンティティのある特定の数値によって部分的に認知される。また、実践の面で、実験研究の結果が示した通りに、特定な種類のエラー・フィードバックの形式により開発されたフレームワークの拡張が要求される。 試作システムの実行において、実験用の試験台として使用された計算機、インタープリタ、言語、プログラミング環境及び現在のオペレーティング・システムは以下の通りである。計算機は主にSUNやUNISYSワークステーションから成っており、そのオペレーティング・システムはUNIXである。CARWの為のインタープリタ及びそのセマンティックス関数を明示する為、使用した幾何学モデリング核をインターフェースする為に、C++、LISP/SCHEME言語が用いられた。附加的なエディタ,プログラミング環境及び統合したモデリシグ核の為に、GNU EMACS(Berkeley-Unix)、ACIS TOOLKITとACIS幾何学モデリング核及びそのAPIシステム・ユーザー・インターフェースで構成された。ラピッドプロトタイピング環境は、主な制御と処理ユニットとして、SLA、Sony JSC-2000 Solid CreatorとSony NEWSワークステーションで構成された。実験作業は二つの過程環境、工学設計とラピッドプロトタイピング(SFF技術)の中で実行された。実行されたモデルは機械工学と航空宇宙工学に関連した設計と製造の応用から抽出された物である。 目的に関して取り掛かる考え方自体には明らかなギャップは無いが、展開し達成した理論と実践の結果、予想された通り、実験作業において若干の実践不足が認められた。この問題に対しては、特に、この述べた作業の中の実行時間パフォーマンスに対して、確かに将来さらに努力する必要がある。試作試験台での実践的な実験の中で明らかになった事は、使ったハードウェア・プラットフォームを考えて、現実のシステム・パフォーマンスはかなり遅いという事である。一つの事実は、部分的なフレームワークと参照核のアーキテクチャの原因により、異なった計算の前後関係と個々の低水準の実行が許可されるという事である。言い換えれば、理論上かなり魅力的で柔軟な異なった実行環境の統合を許可するアプローチが、システム・パフォーマンスに関して、実践的な欠点となる事が証明された。TAE構造より低い実行水準での異なった実行環境間のデータ構造の動態マッピングは、全システムパフォーマンスを遅くさせた。この問題により、より良いコンパイラシステム、より速いCPUとパラレル計算は、再び重要性を得た。この動態マッピングに関連している他の問題は、スピードの速い、容量の多い、構造の良いシステム内部のインターフェースとデータ・トランスレータが無い、若くはその品質が悪いという問題である。 |