学位論文要旨



No 214912
著者(漢字) 大澤,勇
著者(英字)
著者(カナ) オオサワ,イサム
標題(和) 複合材料の損傷評価とアコースティック・エミッションに関する研究
標題(洋)
報告番号 214912
報告番号 乙14912
学位授与日 2001.01.18
学位種別 論文博士
学位種類 博士(工学)
学位記番号 第14912号
研究科 工学系研究科
専攻 環境海洋工学専攻
論文審査委員 主査: 東京大学 教授 金原,勲
 東京大学 教授 野本,敏治
 東京大学 教授 武田,展雄
 東京大学 教授 影山,和郎
 東京大学 助教授 吉成,仁志
内容要旨 要旨を表示する

 複合材料が構造材としての用途へ拡大されるに伴ない、複合材料の破壊に関する研究が近年増加の一途をたどっている。しかしながら、高分子系複合材料の強度範囲は広範に渡り、また強度に及ぼす影響因子も多く、破壊機構が複雑かつ多様である。

 本研究において用いたアコースティック・エミッション(AE)法は、材料が変形もしくは破壊する時に発生する弾性波を材料表面で検出して解析しようとする研究手段である。この方法が材料研究の手段として系統的に取り上げられたのは、比較的近年のことである。複合材料のAE研究は金属材料の研究の後を追う形で進んできており、複合材料のように内部構造が複雑で材質判定の難しい材料に対しては、極めて有力な手法になりうるものである。

 本研究では先進複合材料に対して実験的アプローチにより、積層材料の損傷過程を明らかにすること。また同時に、AE技法を効果的に適用し、損傷の発生から最終段階に至るまでを追跡し、繊維強化複合材料の破壊進展過程とAE挙動、さらに力学特性との相関を実験的に解明することを目的とした。従って可能な限り実験の対象も広範に捉え、単繊維の破損レベルから巨視的積層板レベルへと発展させた。更に現状においては公的機関によるAE試験方法の標準化がなされてないことから、著者の経験に基ずく主張を採り入れた形のAE試験法の提言を行った。主要となる要旨を以下に記述する。

1.界面強度を変えた単繊維埋め込み試料の引張り損傷

 繊維強化複合材料においては、繊維/樹脂界面の接着強度が物性に影響を及ぼすと言われている。ここでは高強度・高弾性タイプのPitch系炭素繊維を用い、界面強度の低い繊維「HM-L」、および高界面強度繊維「HM-H」を試料として用い、界面特性が破壊へ及ぼす影響をAE振幅値解析により、破壊メカニズムの違いについて考察を行った。

 その結果、同じ引張強度を持ったPitch系炭素繊維強化の一方向複合材料であっても、繊維の表面接着性が異なることで破壊様式及び引張強度の異なることを確認した。更に、単繊維埋め込み4点曲げ試料の結果から、「HM-L」では高せん断応力場が繊維に沿って拡大するのみであるが、「HM-H」では繊維破断箇所が増え、この繊維破断からのAE振幅値は、繊維界面のはく離に起因するAEに比べ高い振幅値であることを明らかにした。

2.積層材層間界面のはく離破損とはく離エネルギー

 FRPは積層構造であるために特に層間接着強度が低い。そのため静的強度特性として層間強度を捉えるには、従来の方法では見掛けの強度評価にとどまり、有効な材質比較パラメータとして確立するには困難があった。ここでは層間剥離抵抗を表す基本パラメーターとして界面剥離エネルギーを導入し、これを測定する方法として切欠き4点曲げ試験を提唱した。

 界面剥離エネルギーは外スパン/板厚比の試験条件にほとんど依存しない定数となり、積層材の各種界面特性を定量的に評価するのに有用であることを明らかにした。はく離発生の判定条件としては、荷重-たわみ曲線の比例限をとる方法が実用的と考えられるが、より高感度なAE法ははく離発生に対しては安全側の値を安定して表す有効な判定条件となる事を提示した。

3.直交および擬似等方積層材の静的引張り損傷

 積層板構造の寿命を左右する重要な破壊モードの1つに、負荷された繊維方向と直角方向の90°層において低応力レベルで発生する90°層割れがある。直交積層材の場合には、この90°層割れが積層板の0°層と90°層の層間へ進展する。更にこれから2次的に発生するのが端面からの層間はく離である。一方、擬似等方性積層材では、自由端面でのはく離、90°層と45°層の樹脂割れ、そして局所はく離などがある。そこで直交積層材および擬似等方性積層材に対して引張り破損時の損傷進展過程とAE挙動について検討を行った。

 直交積層片の引張の場合、90°層が厚い(0/906)s材では、振幅値80dB以上のAEグループと振幅値が80dB以下のAEグループとに明瞭に分離し、また80dB以上の発生数は90°層内のクラック数と一致することを確認した。80dB以下のAEヒットは90°層のクラック発生に付随した準微視的破壊挙動に起因する小振幅AEと見られる。対象となった3種類の直交積層試験片は90°層内のクラック数の増加と累積AEヒットの増加の傾向は各々に良く対応することを確認した。また、フェリシティ比はほぼ0.9〜1.0のレベルを維持することを確認した。

 一方、擬似等方積層片の場合においても、90°層の厚い場合には90°層のクラックが主体となる破損モードである事を示した。また(45/0/-45/90)s材では、引張歪み0.9%以降に発生する-45°と90°の層間はく離現象と対応するのが低振幅値のAEであることを示した。また、(45/0/-45/90)s材の繰り返し引張試験中に計測される累積AEヒットの増加は、端面からの層間はく離面積の増加と同様の傾向を示し、積層板理論から求めた剛性低下と、実測による剛性低下はおおむね同様の傾向となることを確認した。

4.擬似等方積層材の引張り疲労損傷

 疲労強度を論ずる場合、複合材料積層板として広く用いられる擬似等方積層材(45/0/-45/90)sの層間はく離挙動の及ぼす影奪が大きく、疲労強度を向上させるためには層間はく離を生じにくくすることが必要である。そこで汎用の中弾性炭素繊維「T300」および研究事例の比較的少ないピッチ系高弾性繊維「XN40」を用いて、まず2種類のCFRP擬似等方積層板の引張特性とその微視的破壊過程を明らかにした。更に引張疲労特性の検証とはく離挙動について明らかにした。

 その結果、静的破壊過程においては、2種類「T300/25CL」「XN40/25CL」の積層板の強度がほぼ同様であるにもかかわらず、90°層割れやはく離等の初期破損の生じる応力では、むしろ高弾性繊維「XN40」を用いたものが低い応力から破損が始まり、同時にAEも検出した。一方、疲労破損過程においては静的の場合とは異なり、高弾性繊維「XN40」を用いることにより初期破損の発生は遅れ、また最終破壊に至る疲労寿命も延びることを明らかにした。また、はく離面積の増加と剛性低下の関係を、実験値と計算値とで比較し、超音波C-スキャン法による実測はくり面積が計算値を若干下回ったが、傾向的には良い相関を示した。他方、T300/25CLとXN40/25CLでは積層材としての弾性計数は大きく異なるが、積層板のはく離発生時の疲労繰り返し数を、エネルギー解放率Gを用いて整理すると、両積層材がほぼ同等のレベルの値となることを明らかにした。5.擬似等方性板の衝撃後圧縮損傷特性

 CFRP積層板では層間の靭性が著しく低く、そのため、CFRP構造体へ飛翔物が衝突すると、それが低エネルギーの衝突荷重であっても内部に特徴的な破損を生じやすく、その後の残留圧縮強度が大幅に低下することが知られている。そこで、既往の提案されている試験法では厚物で高価な試験板となり、且つ試験装置も大容量のものが必要となる欠点を含んでいることから、小型短冊型試験片と専用治具の設計を行い、その有効性を実験的に求めた。次に、衝撃損傷を与えたCFRP擬似等方性積層板(+45/0/-45/90)2Sの圧縮強度特性と破損進展中のAE挙動との相関について考察を行った。

 衝撃後の圧縮強度は衝撃エネルギーの増加に伴って衝撃破損面積あるいは衝撃子による凹み量が増えると共に、圧縮強度は低下することを確認した。更に、衝撃による層間剥離損傷材において、AEヒットが連続的に発生し始める圧縮応力と残留強度との関係、あるいは損傷面積と真の累積総AEイベント数との関係、そして真の累積総AEイベント数と衝撃後の圧縮強度とが極めて密接な相関を有していることを明らかにした。

6.モルタルおよびコンクリート梁へのFRP補強とその損傷

 近年、コンクリート材の補修・補強に複合材料を用いた適応事例が報告されるようになってきた。そこでコンクリート材およびモルタル材の補強、補修の観点から、3点曲げ試験片の底部・引張り部へFRPシートを貼付し、破損過程に及ぼすFRP補強材の影響あるいは補強効果等についてAE法を用い検討を行った。

 中央切欠き付コンクリートの補強試験体では、AE法により発生限界荷重を安定的に見出すことが出来た。この荷重は補強FRPの剛性の増加に伴って上昇する値となったが、FEMで求めたKIC値はコンクリート単体を含め全て同レベルとなり、コンクリート自身の破壊靭性値に帰結することを確認した。またFRP補強の最大破壊荷重値は、切欠きの有無に関わらず補強材剛性の大小と良い相関を示した。一方、コンクリート自身の破壊靭性値をKICとし、FRP補強によって誘起された破壊靭性値の見かけの増加量をKIPとして補強効率を“KIP/KIC”として求めると、補強FRPの剛性増加に伴って補強効率も増加することを確認した。また、補強コンクリートへ初めてAEモーメント・テンソル法の適用を試みたが・き裂の発生、き裂発生位置の特定、或いはき裂の方向とき裂の生成形態が明らかになると共に、その有効性についても実証できた。

 以上のように、本研究ではAEによる損傷評価という観点で、損傷の対象を可能な限り広範に捉え検討を行った。その結果、AE技法を効果的に適用することで、損傷進展過程とAE挙動との関係を明らかにすることが出来た。また、著者の主張を組み入れたAE試験法の提言を行った。これらの結果は複合材料の損傷進展および複合材料設計に対する新たな評価指針を与えるものと考える。

審査要旨 要旨を表示する

 高分子系複合材料を中心に複合材料の構造用途への適用が拡大されるに伴ない、複合材料の破壊に関する研究が近年盛んに行われている。しかし複合材料のの強度範囲は広範にわたり、また強度に及ぼす影響因子も多く、破壊機構が複雑かつ多様であるため、強度的信頼性が充分に確立されていない。本研究では、材料が変形もしくは破壊する時に発生する弾性波を材料表面で検出して解析するアコースティック・エミッション(AE)法が、複合材料のように内部構造が複雑で材質判定の難しい材料に対して有力な手法になりうることに着目した。このため、実験的アプローチにより単繊維の破断から巨視的な積層板の損傷まで高分子系複合材料の損傷過程を明らかにするとともに、AE法の効果的な適用により損傷の発生から最終段階に至るまでの過程を追跡し、損傷進展過程とAE挙動、さらに力学特性との相関を実験的に解明し、これらの結果をまとめて標準的なAE試験法の提言を行ったもので、本文は10章から構成されている。

 第1章は序論で、本研究の背景となる複合材料の破損機構とAE法に関する研究の趨勢について展望し、本論文の目的および構成について述べている。

 第2章では、高強度・高弾性タイプのPitch系炭素繊維を用い、界面強度の低い繊維「HM-L」、および界面強度の高い繊維「HM-H」のストランド試験片の引張り損傷過程について、界面特性が破壊に及ぼす影響をAE振幅値解析により検討し、破壊メカニズムの相違について考察を行っている。その結果、同じ引張り強度を持ったPitch系炭素繊維強化の一方向複合材料であっても、繊維の表面接着性が異なることで破壊様式及び引張り強度が異なることを確認し、さらに単繊維埋め込み4点曲げ試験の結果から、「HM-L」では高せん断応力場が繊維に沿って拡大するのみであるが、「HM-H」では繊維破断箇所が増え、この繊維破断からのAE振幅値は、繊維界面のはく離に起因するAEに比べ高い振幅値であることを明らかにしている。

 第3章では、従来の積層材の層間強度試験が試験条件に依存する見掛けの強度評価しか行えないことから、新たに積層材層間界面の層間はく離抵抗を表す基本パラメーターとして界面はく離エネルギーを導入し、これを測定する方法として切欠き4点曲げ試験を提唱し、界面はく離エネルギーが外スパン/板厚比の試験条件にほとんど依存しない定数となり、積層材の各種界面特性を定量的に評価するのに有用であることを明らかにしている。この試験法において、はく離発生の判定条件としては、荷重-たわみ曲線の比例限をとる方法を用いることもできるが、より高感度なAE法によれば、はく離発生に対しては安全側の値を安定して表す有効な判定条件となることを示している。

 第4章では、直交および擬似等方積層材の静的引張り損傷進展過程とAE挙動について検討を行っている。その結果、直交積層材の引張りの場合、90°層が厚い(0/906)s材では、振幅値80dB以上のAEグループと振幅値が80dB以下のAEグループとに明瞭に分離され、また80dB以上の発生数は90°層内のクラック数と一致すること、いずれの直交積層試験片でも、90°層内のクラック数の増加と累積AEヒットの増加の傾向は各々に良く対応すること、また、フェリシティ比はほぼ0.9〜1.0のレベルを維持することを確認している。一方、擬似等方積層片の場合においても、90°層の厚い場合には90°層のクラックが主体となる破損モードであることを示し、また、(45/0/-45/90)s材では、引張り歪み0.9%以降に発生する-45°と90°の層間はく離現象と対応するのが低振幅値のAEであることを示し、(45/0/-45/90)s材の繰り返し引張試験中に計測される累積AEヒットの増加は、端面からの層間はく離面積の増加と同様の傾向を示し、積層板理論から求めた剛性低下と、実測による剛性低下はおおむね同様の傾向となることを確認している。

 第5章では、擬似等方積層材の引張り疲労損傷について、ピッチ系高弾性繊維「XN40」を用いて、まずCFRP擬似等方積層板の引張り特性とその微視的破壊過程について、さらに引張疲労特性の検証とはく離挙動について検討している。その結果、静的破壊過程においては、2種類の「T300/25CL」および「XN40/25CL」の積層板の強度がほぼ同様であるにもかかわらず、90°層割れやはく離等の初期破損の生じる応力では、むしろ高弾性繊維「XN40」を用いたものが低い応力から破損が始まり、対応するAEの発生も検出されること、一方、疲労破損過程においては高弾性繊維「XN40」を用いることにより最終破壊に至る疲労寿命も延びることを明らかにしている。また、はく離面積の増加と剛性低下の関係を、実験値と計算値とで比較し、超音波C-スキャン法による実測はくり面積が計算値を若干下回っているが、傾向的には良い相関を示すこと、他方、T300/25CLとXN40/25CLでは積層材としての弾性係数は大きく異なるが、積層板のはく離発生時の疲労繰り返し数を、エネルギー解放率を用いて整理すると、両積層材がほぼ同等のレベルの値となることを明らかにしている。

 第6章では、一方向CFRP積層材の内部に人工のボイド欠陥あるいははく離欠陥を有する試験片を製作し、3点曲げ負荷試験および静的繰り返し曲げ負荷試験を行い、欠陥の種類・形態と強度との相関について、また、発生するAEの挙動と欠陥形態および欠陥含有量との関係について検討している。その結果、はく離およびボイドを含む試験片の3点曲げ負荷では、欠陥の増大に伴い最終破壊荷重は明瞭に低下し、はく離含有材でスパン/板厚比10では、はく離長さが長くなるに伴い負荷初期からのAEは多く発生すること、スパン/板厚比10で10mmはく離材、健全材、5%ボイド材の荷重保持中の累積AEを比較すると、10mmはく離材〉健全材、5%ボイド材の結果となり、欠陥形態による相違があることを確認している。また、一方向CFRPが最終破壊間際まで弾性的挙動を示す材料であるため、フェリシティ比は破壊間際までほぼ‘1’となり、最終破壊近くまでカイザー効果がほぼ成り立つことを示している。

 第7章では、CFRP積層板の衝撃後圧縮損傷特性を評価するための小型短冊型試験片と専用治具の設計を行い、その有効性を実験的に検証するとともに、衝撃損傷を与えたCFRP擬似等方性積層板(+45/0/45/90)2Sの圧縮強度特性と破損進展中のAE挙動との相関について考察を行っている。その結果、衝撃後の圧縮強度は衝撃エネルギーの増加に伴って衝撃破損面積あるいは衝撃子による凹み量が増えるとともに、圧縮強度は低下することを確認し、さらに、衝撃による層間はく離損傷材において、AEヒットが連続的に発生し始める圧縮応力と残留強度との関係、あるいは損傷面積と真の累積総AEイベント数との関係、そして真の累積総AEイベント数と衝撃後の圧縮強度とが極めて密接な相関を有していることを明らかにしている。

 第8章では、モルタルおよびコンクリート梁へのFRP補強とその損傷過程を検証するため、3点曲げ試験片の底部・引張り部へFRPシートを貼付し、破損過程に及ぼすFRP補強材の影響あるいは補強効果等についてAE法による検討を行っている。その結果、AE法により中央切欠き付コンクリートの補強試験体発生限界荷重を安定的に見出すことを可能とし、この荷重は補強FRPの剛性の増加に伴って上昇する値となるが、FEMで求めたKIC値はコンクリート単体を含め全て同レベルとなり、コンクリート自身の破壊靭性値に帰結することを確認している。また、FRP補強の最大破壊荷重値は、切欠きの有無に関わらず補強材剛性の大小と良い相関を示すこと、一方、コンクリート自身の破壊靭性値をKICとし、FRP補強によって誘起された破壊靭性値の見かけの増加量をKIPとして補強効率を“KIP/KIC”として求めると、補強FRPの剛性増加に伴って補強効率も増加することを示している。また、FRP補強コンクリートへAEモーメント・テンソル法を適用した結果、き裂の発生、き裂発生位置の特定、あるいはき裂の方向とき裂の生成形態がある程度明らかにされることを示している。

 第9章では、以上の成果から、AE法の複合材料への有効な適用範囲を明らかにし、複合材料のAE計測を行う上で注意すべき重要な事項を指摘し、複合材料のAE試験を行う際の標準的なガイドラインの提言を行っている。末尾に、これらの知見を反映させたものとして、(財)高分子素材センターの「炭素繊維強化プラスチックのアコースティック・エミッション試験方法(案)」(JHPC 0004-1992)が制定された趣旨と内容について紹介している。

 第10章は結語で、本論文の成果を総括したものである。

 以上を要するに、本論文は、AEによる複合材料の損傷評価という観点で、複合材料の損傷の対象を単繊維補強、一方向強化材から多方向強化積層材、さらにはFRP補強モルタル・コンクリートまで広範囲に捉え、AE技法を効果的に適用することにより、複合材料の複雑な損傷進展過程とAE挙動との関係を明らかにするとともに、これらの知見の上に著者の主張を組み入れた標準的なAE試験法の提言を行ったものである。本論文の成果は複合材料の損傷機構の解明、さらには複合材料設計、AE技法の発展に対しても新しい知見と指針を与えるものであり、工学とくに複合材料工学の発展に貢献するところが大きし、。

 よって本論文は博士(工学)の学位請求論文として合格と認められる。

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