学位論文要旨



No 215890
著者(漢字) 古川,敦
著者(英字)
著者(カナ) フルカワ,アツシ
標題(和) 効率的な線路管理のための鉄道車両の動的挙動予測手法の開発
標題(洋)
報告番号 215890
報告番号 乙15890
学位授与日 2004.02.12
学位種別 論文博士
学位種類 博士(工学)
学位記番号 第15890号
研究科 工学系研究科
専攻 社会基盤工学専攻
論文審査委員 主査: 東京大学 教授 家田,仁
 東京大学 教授 須田,義大
 東京大学 助教授 小澤,一雅
 東京大学 助教授 阿部,雅人
 東京工科大学 教授 吉村,彰芳
内容要旨 要旨を表示する

鉄道軌道の変位は,軌道検測車によって測定される5項目(10m弦正矢高低,10m弦正矢通り,水準,軌間,平面性)の振幅で評価される.これには,測定系と評価系を共通にできることや,列車の走行速度が100km/h以下であれば10m弦正矢法の検測特性は車両周波数応答関数に近似している等の長所がある.しかし軌道保守の本来の目的からいえば,軌道変位は軌道上を走行する車両の挙動を指標として評価する方が合理的であり,また測定系の自由度も増す.このような背景から,本研究では実測された軌道変位と鉄道車両の動揺,輪重,横圧測定データから,パラメトリックモデルによって車両の動特性を同定するとともに,これを用いて軌道変位測定データから車両の動的挙動を予測し,予測値を指標として軌道状態を評価する一連の計算手法の開発を行った(図1).

高低変位と上下動揺の場合,従来からその線形依存性は確認されていたが,本研究では両者の実測データを用いて上下動特性を同定し,パラメトリックモデルによる車両の動特性の同定に関する基本的な事項を確認した.

まず,FIRモデルを用いて新幹線車両の上下動特性を同定し,FFTによる方法と比較して,低い次数で精度の高いシステムの表現が可能であることを確認した.さらにFIRモデルでは,200m程度の短いデータ長からでも上下動特性の同定が可能であることを確認した.また部分空間法によって車両上下動特性を同定し,FIRモデルと同等な結果が得られることを確認した.日本の鉄道,特に在来線では,線路線形の都合上加減速を頻繁に繰り返すため,通常の軌道検査業務で得られる車両の動揺データでは,定常(一定速度)と見なせる区間長は高々数百メートルであるが,上記の結果から,時間軸(空間軸)領域でシステムの動特性を直接同定できるパラメトリックモデルは,FFTに代表されるノンパラメトリックモデルと比較してシステム同定に必要なデータ長が短く,かつ予測演算に必要なデータ長が短くて済むため,保線業務に適用しやすいモデルであることを確認した.

パラメトリックモデルによる車両上下動特性同定の応用として,以下の2点について検討した.まずFIRモデルを用いて10m弦正矢高低変位を入力とする車両動的挙動予測モデルについて検討した.その結果車両の動特性を経由せずに,10m弦正矢値から直接上下動揺を予測するモデルを導出できた.

次に,同一車両形式で速度が異なる場合の車両の上下動特性を同定した結果,その周波数応答関数には,空間周波数軸上で速度と共に移動するピークと動かないピークがあることを確認した.これを解析的に検討した結果,車体重心位置が台車間中心位置とずれている場合や加速度測定位置が前台車直上から偏倚している場合は,観測される車両の上下動揺は台車中心間距離の関数であるピッチング効果の影響を受けることを導いた.さらに,このピッチング効果を利用し,車両の周波数応答関数を0.08[1/m]よりも高い帯域と低い帯域に分け,後者について入力信号のサンプリング間隔を適切に変更すれば,速度向上時の上下動揺を予測できることを示した.鉄道車両のように各部のばね定数や減衰定数のみならず,その寸法によって振動特性が定まるシステムでは,パラメトリックモデルはモデルを同定した速度と同じ速度における車両動的挙動の予測にしか用いることができないが,上記の方法を用いれば速度が異なる場合の動的挙動の予測に適用可能である.

曲線中における軌道変位と左右動揺との関係については,曲線通過に伴って車体重心に作用する遠心力による左右動揺と,軌道変位による車輪への強制変位に起因する左右動揺に分けて検討を行った.

遠心力による左右動揺については,FIRモデルを用いて周波数0.04[1/m]以下の低周波域における,車体重心に作用する実超過遠心加速度を入力とする車両左右動特性を同定し,左右動揺予測モデルを構築した,また,同定されたモデルのパラメータの和は従来から用いられている車体傾斜係数にほぼ一致したことから,このパラメータは物理的にも妥当なものであることを確認した.

軌道変位による車輪の強制変位に起因する左右動揺については,周波数0.04〜0.167[1/m]の帯域の通り変位,水準変位を入力とする場合の車両左右動特性を,部分空間法を用いて同定した.その結果,6〜8次程度の状態空間表現で左右動特性をモデル化できることを示した.この場合,FPEによる最適次数は4次であったが,鉄道車両の左右運動には並進運動,ヨーイング,ローリングの3つのモードがあることから,最小次数がモード数の2倍の6次であると考え,6次以上で最もFPEが小さいモデルを用いるのが良いことを示した.

入力信号が白色性を持つ場合,状態空間表現の次数選択は特異値の大きさを用いて行われる.しかし鉄道車両の左右動特性同定の場合,入力信号である軌道変位はほとんどの場合有色性である.これに対し本研究では,軌道変位を入力として鉄道車両の左右動特性を同定する場合は,入力としてなるべく多くの種類の周波数を含む軌道変位を用いるとともに,車両の持つ振動モードを考慮した上でFPEやAICなどの統計的規範によってモデルを選択するのが,精度の高いシステム同定のためには必要であることを提案した.

軌道変位と輪重変動との関係については,まず105km/h直線走行時の在来線車両で測定した輪重変動と軌道変位とのコヒーレンスおよび周波数応答関数を求め,0.02[1/m]以下の低周波域では水準変位,通り変位によるローリングが,0.04〜0.05[1/m]は高低変位による上下並進運動が,0.06[1/m]以上の帯域では2m平面性変位による台車3点支持が輪重変動に関連していることを導いた.この結果をもとに,水準変位,通り変位,高低変位の3種類の軌道変位を入力とする輪重変動予測モデルを構築し,パラメータを同定した.直線区間のデータから同定されたパラメータを用いて曲線中の輪重変動を予測したところ,予測値と実測値との相関が高かったことから,このパラメータには移転性があることを確認した.

列車動揺と輪重変動との関係については,両者のコヒーレンスから0.04〜0.05[1/m]の帯域では上下動揺と輪重変動の相関が,それ以外の帯域では左右動揺と輪重変動との相関が高いことを示した.またこの結果をもとに左右動揺,上下動揺を入力とする輪重変動予測モデルを構築し,パラメータを同定した.軌道変位を入力とした場合と同様,直線区間のデータで得られたパラメータは曲線中の輪重変動予測にも適用可能であるとともに,軌道変位を入力とする場合と比較して精度が良い予測が可能であることを確認した.また速度が異なる場合の輪重変動も予測可能であった.さらに左右動揺,上下動揺の線形和による簡易な輪重変動予測モデルを構築し,これを用いて旧国鉄の列車動揺整備基準値は近年の車両においても概ね妥当であることを示した.これらのモデルは,中小の鉄道事業者のように,主として列車動揺によって軌道状態の検査を行っている路線における軌道状態の評価に有益であることと考えている.

軌道変位と変動横圧との関係については,まず変動横圧を予測するための入力信号として,通り変位のみ(1入力),通り変位+水準変位(2入力),通り変位+水準変位+軌間変位(3入力),の3通りについて次数とFPEとの関係を調べ,2入カモデルが適切であることを示した.またモデルの次数について検討し,入力として用いた軌道変位のパワーにレール長を起因とする4つの周波数の成分が卓越していることから,その2倍の8次としておけばよいことを示した.

変動横圧の動特性については,変動横圧は概ね曲率に比例して発生しており,特に10m弦正矢法では利得が小さい高周波の曲率の影響が大きいことを確認し,変動横圧の原因として外軌レールの曲率の局所的な変化が考えられることを示した.また今回検討した範囲では,変動横圧は曲線半径や速度の影響をあまり受けず,半径400mの曲線走行時に取得したデータから同定されたパラメータを用いて,半径600mの曲線走行時の変動横圧が予測できることを示した.

上記で述べた車両の動的挙動予測手法の軌道管理への具体的な適用例については,上下動揺予測値あるいは輪重変動予測値と,従来の10m弦正矢,20m弦正矢,上下動揺標準偏差予測値等を軌道状態評価指標とした場合との保守必要ロット数等を比較し,保守が必要なロットを的確に把握する,という観点からは本研究で提案した手法による動的挙動予測値を用いることが合理的であることを示した.また,遠心力に起因する左右動揺予測手法を用いて,緩和曲線中のカント管理方法を検討し,左右動揺の上限値を0.1m/s2とする場合は緩和曲線中における平面線形とカント逓減位置の不一致は,緩和曲線長の一割以下とするべきこと等を示した.

以上のように,本研究はパラメトリックモデルによる鉄道車両動特性の同定と動的挙動の予測に関する新しい考え方を提示し、軌道状態の合理的な評価を可能にするとともに,軌道変位と鉄道車両の動的挙動の関係,特に軌道変位の各項目が車両の動的挙動に及ぼす影響について,軌道変位の周波数別に定量的に明らかにしたものである.

本研究で提案する軌道変位管理の流れ

審査要旨 要旨を表示する

本論文は、鉄道線路の変位を乗心地や走行安全性確保の視点から合理的に管理する方法に関するものである。この問題は、高速で走行する鉄道が登場して以来の古典的な課題であるが、古川氏はこの問題について線路の変位から車両の運動を科学的になおかつ実用に耐えるよう十分高速に推定するという計算方法を創出することによって、解決に向けた非常に新しい方法論を見出したものである。審査委員会の委員は全員一致して、古川氏の研究を学位論文授与にふさわしい成果と認めここに報告するものである。

以下に研究成果のポイントを紹介する。鉄道軌道の変位は、軌道検測車によって測定される5項目(10m弦正矢高低、10m弦正矢通り、水準、軌間、平面性)の振幅で評価される。これには、測定系と評価系を共通にできることや、列車の走行速度が100km/h以下であれば10m弦正矢法の検測特性は車両周波数応答関数に近似している等の長所がある。しかし軌道保守の本来の目的からいえば、軌道変位は軌道上を走行する車両の挙動を指標として評価する方が合理的であり、また測定系の自由度も増す。このような背景から、古川氏は、実測された軌道変位と鉄道車両の動揺、輪重、横圧測定データから、パラメトリックモデルによって車両の動特性を同定するとともに、これを用いて軌道変位測定データから車両の動的挙動を予測し、予測値を指標として軌道状態を評価する一連の計算手法の開発を行った(paragraph)。

高低変位と上下動揺の場合、従来からその線形依存性は確認されていたが、本研究では両者の実測データを用いて上下動特性を同定し、パラメトリックモデルによる車両の動特性の同定に関する基本的な事項を確認している。

まず、FIRモデルを用いて新幹線車両の上下動特性を同定し、FFTによる方法と比較して、低い次数で精度の高いシステムの表現が可能であることを確認している。さらにFIRモデルでは、200m程度の短いデータ長からでも上下動特性の同定が可能であることを確認している。また部分空間法によって車両上下動特性を同定し、FIRモデルと同等な結果が得られることを確認した。日本の鉄道、特に在来線では、線路線形の都合上加減速を頻繁に繰り返すため、通常の軌道検査業務で得られる車両の動揺データでは、定常(一定速度)と見なせる区間長は高々数百メートルであるが、上記の結果から、時間軸(空間軸)領域でシステムの動特性を直接同定でぎるパラメトリックモデルは、FFTに代表されるノンパラメトリックモデルと比較してシステム同定に必要なデータ長が短く、かつ予測演算に必要なデータ長が短くて済むため、保線業務に適用しやすいモデルであることを確認している。

パラメトリックモデルによる車両上下動特性同定の応用として、以下の2点について検討している。まずFIRモデルを用いて10m弦正矢高低変位を入力とする車両動的挙動予測モデルについて検討し、その結果車両の動特性を経由せずに、10m弦正矢値から直接上下動揺を予測するモデルを導出している。

次に、同一車両形式で速度が異なる場合の車両の上下動特性を同定した結果、その周波数応答関数には、空間周波数軸上で速度と共に移動するピークと動かないピークがあることを確認している。これを解析的に検討した結果、車体重心位置が台車間中心位置とずれている場合や加速度測定位置が前台車直上から偏倚している場合は、観測される車両の上下動揺は台車中心間距離の関数であるピッチング効果の影響を受けることを導き、さらに、このピッチング効果を利用し、車両の周波数応答関数を0。08[1/m]よりも高い帯域と低い帯域に分け、後者について入力信号のサンプリング間隔を適切に変更すれば、速度向上時の上下動揺を予測できることを示している。鉄道車両のように各部のばね定数や減衰定数のみならず、その寸法によって振動特性が定まるシステムでは、パラメトリックモデルはモデルを同定した速度と同じ速度における車両動的挙動の予測にしか用いることができないが、上記の方法を用いれば速度が異なる場合の動的挙動の予測に適用可能となっている。

曲線中における軌道変位と左右動揺との関係については、曲線通過に伴って車体重心に作用する遠心力による左右動揺と、軌道変位による車輪への強制変位に起因する左右動揺に分けて検討を行っている。

遠心力による左右動揺については、FIRモデルを用いて周波数0。04[1/m]以下の低周波域における、車体重心に作用する実超過遠心加速度を入力とする車両左右動特性を同定し、左右動揺予測モデルを構築した。また、同定されたモデルのパラメータの和は従来から用いられている車体傾斜係数にほぼ一致したことから、このパラメータは物理的にも妥当なものであることを確認している。

軌道変位による車輪の強制変位に起因する左右動揺については、周波数0。04〜0。167[1/m]の帯域の通り変位、水準変位を入力とする場合の車両左右動特性を、部分空間法を用いて同定した。その結果、6〜8次程度の状態空間表現で左右動特性をモデル化できることを示している。この場合、FPEによる最適次数は4次であったが、鉄道車両の左右運動には並進運動、ヨーイング、ローリングの3つのモードがあることから、最小次数がモード数の2倍の6次であると考え、6次以上で最もFPEが小さいモデルを用いるのが良いことを示している。

入力信号が白色性を持つ場合、状態空間表現の次数選択は特異値の大きさを用いて行われる。しかし鉄道車両の左右動特性同定の場合、入力信号である軌道変位はほとんどの場合有色性である。これに対し本研究では、軌道変位を入力として鉄道車両の左右動特性を同定する場合は、入力としてなるべく多くの種類の周波数を含む軌道変位を用いるとともに、車両の持つ振動モードを考慮した上でFPEやAICなどの統計的規範によってモデルを選択するのが、精度の高いシステム同定のためには必要であることを提案している。

軌道変位と輪重変動との関係については、まず105km/h直線走行時の在来線車両で測定した輪重変動と軌道変位とのコヒーレンスおよび周波数応答関数を求め、0。02[1/m]以下の低周波域では水準変位、通り変位によるローリングが、0。04〜0。05[1/m]は高低変位による上下並進運動が、0。06[1/m]以上の帯域では2m平面性変位による台車3点支持が輪重変動に関連していることを導いている。この結果をもとに、水準変位、通り変位、高低変位の3種類の軌道変位を入力とする輪重変動予測モデルを構築し、パラメータを同定している。直線区間のデータから同定されたパラメータを用いて曲線中の輪重変動を予測したところ、予測値と実測値との相関が高かったことから、このパラメータには移転性があることを確認している。

列車動揺と輪重変動との関係については、両者のコヒーレンスから0。04〜0。05[1/m]の帯域では上下動揺と輪重変動の相関が、それ以外の帯域では左右動揺と輪重変動との相関が高いことを示している。またこの結果をもとに左右動揺、上下動揺を入力とする輪重変動予測モデルを構築し、パラメータを同定している。軌道変位を入力とした場合と同様、直線区間のデータで得られたパラメータは曲線中の輪重変動予測にも適用可能であるとともに、軌道変位を入力とする場合と比較して精度が良い予測が可能であることを確認している。また速度が異なる場合の輪重変動も予測可能であった。さらに左右動揺、上下動揺の線形和による簡易な輪重変動予測モデルを構築し、これを用いて旧国鉄の列車動揺整備基準値は近年の車両においても概ね妥当であることを示している。これらのモデルは、中小の鉄道事業者のように、主として列車動揺によって軌道状態の検査を行っている路線における軌道状態の評価に有益であることとしている。

軌道変位と変動横圧との関係については、まず変動横圧を予測するための入力信号として、通り変位のみ(1入力)、通り変位+水準変位(2入力)、通り変位+水準変位+軌間変位(3入力)、の3通りについて次数とFPEとの関係を調べ、2入力モデルが適切であることを示した。またモデルの次数について検討し、入力として用いた軌道変位のパワーにレール長を起因とする4つの周波数の成分が卓越していることから、その2倍の8次としておけばよいことを示している。

変動横圧の動特性については、変動横圧は概ね曲率に比例して発生しており、特に10m弦正矢法では利得が小さい高周波の曲率の影響が大きいことを確認し、変動横圧の原因として外軌レールの曲率の局所的な変化が考えられることを示している。また今回検討した範囲では、変動横圧は曲線半径や速度の影響をあまり受けず、半径400mの曲線走行時に取得したデータから同定されたパラメータを用いて、半径600mの曲線走行時の変動横圧が予測できることを示している。

上記で述べた車両の動的挙動予測手法の軌道管理への具体的な適用例については、上下動揺予測値あるいは輪重変動予測値と、従来の10m弦正矢、20m弦正矢、上下動揺標準偏差予測値等を軌道状態評価指標とした場合との保守必要ロット数等を比較し、保守が必要なロットを的確に把握する、という観点からは本研究で提案した手法による動的挙動予測値を用いることが合理的であることを示している。また、遠心力に起因する左右動揺予測手法を用いて、緩和曲線中のカント管理方法を検討し、左右動揺の上限値を0。1m/s2とする場合は緩和曲線中における平面線形とカント逓減位置の不一致は、緩和曲線長の一割以下とするべきこと等を示している。

以上のように、古川氏の研究はパラメトリックモデルによる鉄道車両動特性の同定と動的挙動の予測に関する新しい考え方を提示し、軌道状態の合理的な評価を可能にするとともに、軌道変位と鉄道車両の動的挙動の関係、特に軌道変位の各項目が車両の動的挙動に及ぼす影響について、軌道変位の周波数別に定量的に明らかにしたものといえる。

これらの成果は、鉄道線路の合理的な管理のために極めて有用な方法論であり、従来にないまったく新たな工学的管理方法を切り開く大きなエポックとなるものと期待される。これらにより、本研究は学位請求論文として十分高い学術的なおかつ実用的な価値をもつものと考えられる。また、古川氏の学力もまた論文博士に要求される十分な水準以上のものであることが審査委員会にて確認された。

よって、博士(工学)の学位請求論文として合格と認められる。

本研究で提案する軌道変位管理の流れ

UTokyo Repositoryリンク http://hdl.handle.net/2261/49011