No | 216204 | |
著者(漢字) | 日渡,良爾 | |
著者(英字) | ||
著者(カナ) | ヒワタリ,リョウジ | |
標題(和) | トカマク型核融合炉開発シナリオの基盤となる炉心プラズマ研究 | |
標題(洋) | Study on Tokamak Plasma Performance for Fusion Energy Development Scenario | |
報告番号 | 216204 | |
報告番号 | 乙16204 | |
学位授与日 | 2005.03.09 | |
学位種別 | 論文博士 | |
学位種類 | 博士(科学) | |
学位記番号 | 第16204号 | |
研究科 | ||
専攻 | ||
論文審査委員 | ||
内容要旨 | 1.研究背景 核融合発電は将来の代替エネルギー源候補の1つとして考えられており世界中で研究されてきている.現在,ITER(国際熱核融合炉実験炉)計画が進行中であり,核燃焼プラズマの実現ならびに炉工学技術の実証試験が行われる予定となっている.その一方で日本・欧州・米国では従来計画よりも早期の2030年代に核融合発電の実証を目指した早期実用化計画が検討され始めている.実用化計画(開発シナリオ)作成のためには,核融合発電炉における発電性能とプラズマ性能・炉工学技術の関係から,各開発段階における技術目標を明確に設定する必要がある.しかしながら現在までの研究は核燃焼プラズマの実現に主眼をおかれており,そのような発電システムという観点からの検討は十分行われていない. この研究では,ITER計画を出発点としてトカマク型核融合炉開発をどのように進め実用炉を目指すかに関する開発シナリオに必要な,プラズマ設計課題について検討を行う.具体的には,1)発電実証・経済性実証に必要なプラズマ性能を明らかにし,2)それをベースとして実験炉ITER後の開発シナリオ構築に必要な発電実証炉の概念設計を行いITER計画と整合する開発シナリオを構築する.3)最後に構築した開発シナリオの各開発段階において重要と考えられる代表的なプラズマ設計課題の検討を行う. 2.発電実証・市場導入に必要なプラズマ性能評価 核融合炉開発シナリオを議論するために,具体的な開発目標、I)発電実証条件:投入エネルギーより大きな正味電気出力が得られる条件,II)市場導入条件:他のエネルギー源と比較して核融合が代替エネルギー源として市場に導入される条件、以上2つを考える.核融合炉において核融合出力が投入パワーを上回る条件をbreak-even条件と言うのに準えて,前者をelectric break-even条件,後者をeconomic break-even条件と称する.この2つの開発目標達成に必要なプラズマ性能を評価するために,本研究では核融合発電炉のプラズマ性能,炉工学技術,経済性の評価を可能とする核融合動力炉システム解析コード(FUSAC)を開発した.この解析コードでは,第1段階として核融合プラズマのパラメータならびにパワーフローを評価,第2段階としてプラズマの生成に必要な超伝導コイル,発電ブランケット,中性子遮蔽体の形状ならびに設置位置の評価,第3段階として各構造物の重量を算出し,それを用いて発電炉の建設コストならびに発電コストを評価する仕組みとなっている.このシステムコードを用いて,トカマク型核融合炉において正味電気出力に必要なプラズマ性能に関する系統的解析を行った.その結果,プラズマ主半径7.5m,熱電変換効率30%という条件に於いてプラズマの圧力限界に関するプラズマ性能の指標である規格化ベータ値(βN),プラズマ閉じ込めに関する指標である閉じ込め改善係数(HH)を用いると(βN, HH)=(1.9, 1.0)で正味電気出力0MW(electric break-even条件)を達成できる事が分かった.これは,ITER計画の標準運転プラズマパラメータに相当する.またITERで計画されている高性能プラズマ(βN〜3.5)では,正味電気出力600MW(熱出力3000MW)程度までの見通しが得られることが分かった.これらの解析結果から,プラズマの主半径を7.5mとした場合には,ITER計画の成功により発電炉への確かな見通しが得られることがわかった.プラズマのサイズを小さくする場合には,それに応じてプラズマ性能を高める必要がある.続いて,核融合炉が市場に導入されるために必要なプラズマ性能の評価を行った.市場への導入条件としては,その時期と発電コストを評価しなければならない.ここでは最近行われた,長期エネルギーシナリオにおける核融合エネルギーの導入条件の評価結果を必要条件として適用する事にした.この評価結果によると大気中の二酸化炭素濃度を2100年に550ppmv以下に抑えるという条件下で,核融合エネルギーが2050年に市場に導入されるためには発電コストとして65mill/kWh〜135mill/kWh(1000mill=1dollar)の範囲の経済性を実現しなければならないという条件が得られている.次にこの価格帯を実現するために必要なプラズマ性能をシステムコードにより評価すると,135mill/kWh(上限値)を実現するためにはプラズマ性能としてβN〜3.5が必要であることがわかった.この値はITERの高性能プラズマに対応している.従って,ITERの高性能プラズマの実証により2050年に市場導入に必要な最低限のプラズマ性能の実証できる事がわかった.その一方で65mill/kWh(下限値)を実現するためにはプラズマ性能としてβN〜5.0以上が必要でありITER計画以降もプラズマの高性能化が必要である事が明らかとなった.以上のことを考えると最終目標としては発電コスト65mill/kWhに必要なプラズマ性能βN〜5.0以上を2050年までに開発すべきであると考えられる. 3.早期実用化計画に基づいた発電実証炉のプラズマ設計 現在,日本・欧州・米国において従来の原型炉,実証炉を1つの中核装置(発電実証炉と呼ぶ)にし、2030年代の運転開始により開発期間を短縮しようという開発計画の検討がはじめられている(早期実用化計画).この研究においても実験炉-発電実証炉-実用炉という3段階での開発シナリオを検討する.次にそれぞれの中核装置に於けるプラズマの設計目標を明らかにしなければならない.そのためには最終的な目標となる実用炉の姿を具体的に定めておく必要がある.前章の市場導入に必要なプラズマ性能評価結果と比較すると目標とすべき価格帯にちょうど対応する概念設計として最近提案されている概念設計炉CREST(電力中央研究所) A-SSTR2(日本原子力研究所),ARIES-AT(カリフォルニア大学サンディエゴ校)が対応する.この研究では最終的な実用炉としてCRESTを考える.CRESTは,その他の実用炉と同じ負磁気シア配位という先進プラズマを採用しており,プラズマ物理の観点からは最近の炉設計研究と基本的に大きな違いは無いと考えられる.この研究では,発電実証炉Demo-CRESTの概念設計を行うことで,開発シナリオの基盤となるプラズマ設計課題を検討するために必要なITERとCRESTを結びつける開発シナリオを構築する.Demo-CRESTの設計条件は,ITERで実証されたプラズマ性能をベースとする.従って,ITERの標準プラズマ性能ならびに開発見通しの十分ある超伝導コイル磁場16T,熱電変換効率30%,NBIシステム効率50%を用いて正味電気出力0MWを達成する事を設計基準として最適化を行う事にする.その結果electric break-even条件を達成するためには,プラズマ主半径7.0m以上が必要である事がわかった.ここでは,段階的にプラズマ性能を向上させねばならない事を考え運転パラメータの余裕度とCRESTのプラズマ形状を考慮し,主半径7.25m,アスペクト比3.4というプラズマ形状を選択した.この設計点において,ITERの高性能プラズマを適用すると熱出力3000MW,正味電気出力600MWが達成できることがわかった.さらに,電流立上げに関して解析を行った結果,非誘導電流駆動による立上げが2.4MA(プラズマ電流の15%相当)必要である事,またダイバータプラズマ運転条件に関しては,ITERのダイバータ熱負荷設計条件(10MW/m2以下)のためにはCRESTで採用されているような不純物放射が必要である事,SOL上流の密度を中心プラズマの2/3程度までする必要があることがわかった.これにより実験炉(ITER)-発電実証炉(Demo-CREST)-実用炉(CREST)という開発シナリオを構築した. 4.各開発段階におけるプラズマ性能の重要課題 前章で構築した開発ステップを基に,各段階での重要課題抽出とそのプラズマ物理検討を行う. 実験炉ITER段階に関しては,もっとも物理解明が遅れているプラズマ輸送に関する課題について検討を行った.この研究では1)主プラズマ領域,2)主プラズマ-周辺プラズマ境界領域,3)周辺プラズマの3領域について検討している. 主プラズマ領域の重要課題の一つに核融合反応で発生したエネルギーをどの程度効率良くプラズマ中に閉じ込めることが出来るかに関するエネルギー閉じ込め時間(蓄積エネルギー/プラズマ維持に必要な加熱パワー)の評価がある.ITERでは世界中の実験装置による実験データベースを用いて構築された半経験則(エネルギー閉じ込め時間スケーリング則)を用いて設計が行われている.エネルギー閉じ込め時間をこの半経験則から外挿することによって,ITERの運転パラメータは決められており,その予測精度が大きな問題となっている.本来ならば,熱拡散係数の物理モデルを構築し,輸送計算を行う事によりエネルギー閉じ込め時間を予測すべきである.しかし,熱拡散係数の物理モデルはいくつか提案されているものの,どのモデルが実験を良く再現できるかは不明であった.本研究では,代表的な輸送モデル1)Bohm type model,2)CDBM model,3)Multi-Mode modelを考えてモデルの検証作業を行った.その結果,3つのモデルとも実験値からの誤差としてはほぼ同じであった.そのためdimensional similar simulationという次元解析の観点からモデルの比較を行った結果,Bohm type modelが実験結果の再現性が良い事がわかった. 主プラズマ-周辺プラズマ境界領域における課題の一つにITERの標準運転に採用されている高閉じ込めモード(H-mode)への遷移条件の把握がある.この閉じ込めモードは,境界領域に輸送障壁が形成され前述の閉じ込め時間が長くなるプラズマ運転モードである.この閉じ込めモードでプラズマを運転する場合には,ある一定以上の加熱パワー(L-H遷移加熱パワー)を必要とする事がわかっている.ITERの設計に於いてはこのLH遷移加熱パワーを前述の閉じ込め時間同様,実験データベースからの外挿として求めており,予測精度を挙げるために物理モデルの構築が望まれている.ここでは,イオン軌道損失によるH-mode遷移モデル構築を行い,そのモデルをプラズマ輸送コードに導入することで実験的に得られているLH遷移加熱パワースケーリング則のパラメータ依存性の観点から検証を行った.その結果,スケーリング則の磁場依存性,密度依存性を再現性が非常によく,H-mode遷移モデルとして有力である事を示した. 周辺プラズマの重要課題としては,高温・高密度の主プラズマからくる高熱流速から排気・排熱を担うダイバータ領域を守るために,低温・高密度プラズマを生成しなければならない事が挙げられる.さらに,ダイバータプラズマ運転条件は,前述の主プラズマ,境界層プラズマに於ける物理現象にも影響を与えるため,それらの領域と整合性の取れた運転制御が求められる.この研究では,主プラズマと周辺プラズマの相互関係を調べるためにCore-SOL-Divertor簡易輸送モデル(C-S-D model)を構築し,ITERに適用する事によってダイバータ制御条件の抽出を行っている.その結果,ITERのLH遷移時にはダイバータ密度が振動する可能性があることがわかった.この結果はLH遷移時においては,その直後のα加熱の開始に合わせて綿密なダイバータ制御が必要である事を示唆していると考えられる. 発電実証炉における課題は,実験炉ITERから実用炉CRESTへプラズマ性能を上げる事がプラズマ物理の観点からは重要課題と言える.しかし,一台の中核装置で実験炉ITERから実用炉までのプラズマ性能向上手法を評価した例は無い.ここでは,実用炉CRESTの見通しを得るための発電実証炉Demo-CRESTおけるプラズマ高性能化の方法について検討を行った.3章において簡易モデルで評価したプラズマ運転点についてプラズマ安定性と電流駆動解析の観点から詳細評価を行った.その結果,プラズマ性能の向上に伴うブートストラップ電流の増加に合わせて,電流分布は凸型から凹型(リバーストシア配位)にしなければならない事がわかった.以上の事を踏まえ,発電実証炉Demo-CRESTではリバーストシア配位に必要な導体壁を考えて設計を行う.Demo-CRESTの運転期間を発電実証期間と性能向上期間に分け,その間にブランケットの交換による熱電変換効率の改良ならびにプラズマに対する導体壁の位置の近接により将来の実用炉への見通しをえる.このような開発ステップはブランケットを必然的に交換しなければならないトカマク型核融合炉の特性を利用したもので,今までに無い新しい開発ステップ案である.発電実証期間では導体壁をブランケット外側と考えたプラズマ安定性解析の結果,βN=3.4まで正磁気シア配位で到達可能である事が分かった.この時,正味電気出力は約500MWである.その後,ブランケットを交換し,熱電変換効率40%に改良とすると共に導体壁の位置をブランケット中に設置しプラズマに近い位置とすることで実用炉CRESTに採用されている先進プラズマ配位(負磁気シア配位)を可能とする.これにより同一の電流駆動装置でITERの標準プラズマ性能(βN=1.9)からCRESTに近いプラズマ性能(βN=4.0)まで運転可能であり,最終的にCRESTと同等の正味発電出力である約1100MWの発電が可能なる. 発電実証炉Demo-CRESTと実用炉CRESTではプラズマ性能,特にβNに関してさらに改良を加えなければならない.そのためには負磁気シア配位(電流分布が凹状)を用いつつプラズマ断面形状をさらに縦長にし楕円度を上げることが重要となってくる.一方で,プラズマ楕円度の増加はプラズマの位置不安定性を引き起こす要因となり,プラズマ制御に関する困難さが加わる事になる.プラズマ立上げの観点から考えると放電初期には電流分布が凸状であるため,プラズマ電流分布制御,プラズマ断面形状制御,プラズマ位置不安定性抑制の3点の整合性を考えた制御手法確立が実用炉CRESTでは新たな重要課題となる.ここでは,プラズマ導体壁に流れる渦電流のプラズマ位置不安定性抑制効果まで加味した上でプラズマ立上げ解析を行う事により,位置不安定性に陥らないための電流分布・プラズマ形状の制御条件を明らかにした.この結果から,楕円度が一定以上になる前に(CRESTでは楕円度1.5以前に),プラズマ電流分布を凸状から凹状に制御することが必要である事が分かった. 5.まとめ この研究では,ITER計画と整合する1つの開発シナリオを世界に先駆けて提案し、その開発シナリオにおいて必要となる代表的なプラズマ設計課題の検討を行いその解決方法を提示している.先ずトカマク型核融合発電炉の実用化を目指す上で重要な通過点と考えられる,electric break-even条件(総発電量が所内電力より大きくなる条件),economic break-even 条件(発電コストが下がり代替エネルギーとして市場に導入される条件)に必要なプラズマ性能を明らかにした.次にその結果をベースに2050年に実用炉CRESTによる核融合発電実用化を目標に設定し,ITER計画と整合性の取れた開発シナリオの中核装置となる発電実証炉Demo-CRESTの基本概念を構築した.最後に,実験炉(ITER),発電実証炉(Demo-CREST),実用炉(CREST)の各開発段階における開発課題についてプラズマの輸送,安定性,制御の観点から解析を行い問題点の抽出ならびに,その解決方法を提示した. | |
審査要旨 | 本論文はStudy on Tokamak Plasma Performance for Fusion Energy Development Scenario (トカマク型核融合炉開発シナリオの基盤となる炉心プラズマ研究)と題している。核融合エネルギーは地球環境に優しい将来の代替エネルギー源の有力な候補の1つとして考えられており世界各国で精力的に研究開発されている。現在、ITER(国際熱核融合実験炉)計画が国際プロジェクトとして推進されようとしており、核燃焼プラズマの実現ならびに炉工学技術の実証試験が行われる予定となっている。また昨今、日・欧・米ではITER計画後の核融合炉開発シナリオに関する議論が活発になされている。そこでは21世紀後半の地球環境問題への寄与を鑑み、2030年代に核融合発電の実証を目指した早期実用化計画が検討され始めている。実用化計画(開発シナリオ)作成のためには、各開発段階におけるプラズマ性能・炉工学技術等に対する開発目標を明確に設定する必要がある。核融合発電を実現するためには、炉心プラズマ、超伝導コイル、プラズマ加熱装置、発電ブランケット等の要素技術の統合が必要となる。そのため技術的・経済的に合理的な核融合炉実現に向けた開発目標に対して、幾通りかの開発シナリオが考えられる。本論文では、ITER計画において十分に開発見通しの得られるであろう炉心プラズマおよび炉工学技術を次期の発電実証炉設計のスタートポイントとして、トカマク型核融合炉開発シナリオを構築すると共に、その開発シナリオの基盤となる炉心プラズマ設計を実施し、その性能評価および分析を行っている。論文は以下のように構成されている。 第1章は緒論にあてられている。核融合エネルギーの長所と短所、核融合発電の仕組みと開発現状が述べられている。特に核融合炉の早期実用化を鑑みた核融合開発シナリオを構築する上で、Electric break-even条件(正味電気出力に必要なプラズマ性能)とEconomic break-even条件(実用化に必要なプラズマ性能)が重要であると指摘している。 第2章では、はじめにトカマク型核融合炉を設計するために開発されたシステム解析コードFUSACについて紹介している。さらにITERの炉工学技術とプラズマ実験計画を前提として、核融合発電実証炉の設計領域を選定し、そのパラメータ領域に関してElectric Break-even条件およびEconomic Break-even条件を評価している。 第3章では、既に提案されている核融合実用炉概念検討の中からEconomic Break-even条件に合致する実用炉として核融合実用炉CRESTを選定している。さらに、Electric Break-even条件を考慮に入れ、実験炉ITERから実用炉CRESTにつながる発電実証炉Demo-CRESTの基本設計を行っている。設計項目としては、プラズマパラメータの最適化、プラズマ平衡・立上げ解析、ダイバータプラズマ運転条件を論じている。以上により、核融合炉の早期実用化を目指した開発シナリオの一つとして、ITER計画からの発展性および実用炉への連続性を踏まえた発電実証炉の具体的な設計を世界に先駆けて提唱している。 第4章は、ここで構築した開発シナリオの各開発段階における炉心プラズマ設計課題について論じている。実験炉ITER段階については、炉心プラズマの閉じ込め特性に着目し、1.5次元トカマクプラズマ輸送コードを用いた各種輸送モデルの検証作業、H-mode遷移モデルを考慮した輸送モデルの構築、中性粒子簡易輸送モデルを用いたダイバータモデルの構築、を行っている。発電実証炉Demo-CREST段階では、段階的なプラズマ性能向上に対応できるプラズマ運転経路と電流駆動シナリオの検討を踏まえ、実験炉から実用炉への単一装置を用いた連続的な発展の科学的・技術的妥当性を検討・評価している。最後に実用炉CREST段階では、プラズマ楕円度増加と電流分布制御による高性能プラズマの立上げシナリオを検討している。 第5章はまとめにあてられている。 以上を要するに、本研究は現在の知見をベースとしてより堅実かつ早期実用化を目指した核融合開発シナリオを考察すると共に、その基盤となる実験炉・発電実証炉・実用炉に対する炉心プラズマの設計および性能評価・分析を行っており、ここでの知見や結果は核融合エネルギー開発研究への応用が期待できるものであり、先端エネルギー工学、とくに核融合炉工学の発展に貢献するところが大きい。 なお、本論文の第2章、第3章および第4章は、小川雄一、岡野邦彦、朝岡善幸、時松宏治の各氏との共同研究であるが、論文提出者の寄与が十分であると判断する。 したがって、博士(科学)の学位を授与できると認める。 | |
UTokyo Repositoryリンク | http://hdl.handle.net/2261/145 |