学位論文要旨



No 217198
著者(漢字) 谷内出(野口),友美
著者(英字)
著者(カナ) ヤチデ(ノグチ),トモミ
標題(和) サリドマイドの作用多様性と構造展開
標題(洋)
報告番号 217198
報告番号 乙17198
学位授与日 2009.07.15
学位種別 論文博士
学位種類 博士(薬学)
学位記番号 第17198号
研究科
専攻
論文審査委員 主査: 東京大学 教授 橋本,祐一
 東京大学 教授 長野,哲雄
 東京大学 教授 柴,正勝
 東京大学 教授 井上,将行
 東京大学 講師 横島,聡
内容要旨 要旨を表示する

【序論】

当研究室では数年来、ケミカルジェネティクス、ひいては創薬のリード探索に有用な化合物群あるいはハイクオリティーなケミカルライブラリーの創製手法としてマルチテンプレート手法を提案してきた。本手法は、ヒトでは5万一7万種存在するとされるタンパク質も化学的性質等を無視した3次元的な空間的形状、すなわちフォールド構造は1000種ほどしかないとされていることに基盤をおいたものである。これに基づけば1000種のテンプレート構造があれば全てのタンパク質に特異的に結合する化合物が得られ、適当なテンプレート構造一つで、その構造展開により平均50-70種のタンパクに対して特異的に結合する化合物が得られることになる。良質なテンプレート構造を抽出する方法の一つとして、その構造展開により各種の標的タンパクに対する機能制御化合物へ拡張する方法が考えられる。この場合比較的単純な構造で多岐にわたる生物活性を示す化合物が良好なテンプレート候補になり得る。このような考えからサリドマイドをマルチテンプレートの候補として選択し、その有用性を実証すると共に、話題性が先行している感のあるサリドマイドの薬効に関して、これを構造展開によってその有用性を選択的に抽出すべく研究を展開した。

サリドマイドは催眠鎮静薬として開発されたが、深刻な催奇形性ゆえ市場撤退した薬物である。しかし近年本薬の優れた薬効が注目され、我が国において2008年に多発性骨髄腫の治療薬として再承認された。

注目されている一方で分子作用機序の理解は欠如している。報告されているサリドマイドの薬理作用としては、細胞分化誘導、血管新生阻害、がん細胞浸潤阻害、血糖降下作用等があり、これらはいずれも腫瘍壊死因子α(TNF-α)生産抑制作用によるものと言われていた。現在明確なのは、サリドマイドの薬理作用の多くは、TNF-α生産抑制作用のみでは説明ができず、サリドマイドがマルチターゲットな薬物であるということである。私はサリドマイド及びその代謝物についていくつかの新たな生物作用を発見し、さらにシクロオキシゲナーゼ(COX)、チューブリン、ピストン脱アセチル化酵素(HDAC)、一酸化窒素合成酵素(NOS)、ピューロマイシン感受性アミノペプチダーゼ(PSA)、α-グルコシダーゼがサリドマイド作用のターゲットとなり得ることを示し、いくつかの構造展開物を創製した。

1章 分化勝導促進作用

1-1 チューブリン重合阻害剤への展開

サリドマイドはチトクロームP450(CYP)による代謝や加水分解を受け5-hydroxythalidomide(5-HT)、N-hydroxythalidomide(N-HT)等の代謝物を生成する。サリドマイドの薬理活性を論じるに際してはこれら代謝物の活性も無視できない。サリドマイドの抗腫瘍活性等から類推していくつかの生物活性について検索したところ、これらの化合物は生理濃度レベルのオールトランスレチノイン酸(ATRA)が存在するとヒト前骨髄球性白血病細胞HL-60の分化を誘導することを発見した。このことからサリドマイドは生体内で分化誘導剤として機能していることが示唆された。

当研究室でチューゴリン重合/脱重合阻害剤がヒト白血病細胞の分化誘導促進活性を有することが見出されている。そこで分化誘導促進活性を示したサリドマイド関連化合物のチューブリンに及ぼす影響を調べたところ、サリドマイドは活性を示さなかったが、上記代謝物は重合阻害活性を示した。このことからサリドマイドの抗腫瘍活性の少なくとも一部は代謝物によるチューブリン重合阻害活性で説明できる可能性が示された。さらに構造展開を施し、5HPP-33というリゾキシンと同等に強力なチューブリン重合阻害剤が創製できた。また5HPP-33がヒト骨髄腫細胞IM9に対してアポトーシスを誘導することを確認した。アポトーシスのメカニズムに関しては、caspase3を活性化していることが確認でき、本経路の寄与が示唆された。細胞周期的にはG2/M期での停止が認められた。さらなる構造展開により、大変強力なチューブリン重合阻害剤、5HFPP-33を創製することができた。

1-2 HDAC阻害剤への展開

分化誘導促進活性のメカニズムについては、N-HTがHDAC阻害剤の主要なファルマコフォアとして知られるヒドロキサム酸構造を有することから、HDAC阻害が少なくとも一部は関与していることを想定した。N-HT自体は極めて弱いHDAC阻害活性しか示さなかったが、サリドマイドをテンプレートとして構造展開することで、代表的なHDAC阻害剤であるvorinostatよりも強力なXIM-22を創製することができた。創製した化合物の分化誘導促進活性について検討したところ、強力なHDAC阻害活性を有したXIM-22、XP-12、XP-27はいずれも濃度依存的にATRAで誘導したHL-60の分化を促進する活性を示した。

2章 血管新生阻害作用

2-1 COX阻害剤への展開

さてサリドマイドの主要な薬理作用の一つに血管新生阻害作用がある。そこで、正常ヒト臍帯静脈内皮細胞HUVECのin vitro管腔形成系を選択して効果を検討した。サリドマイドおよび5-HTに管腔形成阻害活性を確認できた。サリドマイドの抗炎症作用並びにこの血管新生阻害作用に関与しうる分子標的としてCOXを想定した。既にサリドマイドがリポポリサッカライドによるCOX-2の発現誘導をメッセージのレベルで阻害することは報告されていたが、COXに及ぼす直接的な影響については報告がなかった。私はサリドマイドが弱いながらもCOXを直接阻害する活性を有することを発見した。サリドマイドのCOX阻害活性はサブタイプ選択性がほとんどなかったが、構造展開により強力なCOX-1、COX-2選択的阻害剤を取り揃えることができた。創製した強力なCOX阻害剤の血管新生阻害活性を調べたところ、AIB-0101およびAHIP-0101に、期待通りのHUVECにおける管腔形成阻害活性を確認することができた。

2-2 NOS阻害剤への展開

血管新生阻害の考えられる他の分子標的としてNOSを想定した。私はサリドマイドに弱いながらnNOS、iNOS阻害活性を見出すことができた。またサリドマイドをテンプレートにした構造展開によりいくつかの強力なNos阻害剤を創製することができた。特にPIQ-11、PIQ-10、PIQ-20は、生体内で産生されるNOS阻害物質であるモノメチル-L-アルギニンよりも強力なNOS阻害活性を有していた。また、創製したNOS阻害剤は、サリドマイドより強力な血管新生阻害活性(HUVEC管腔形成阻害)を示した。

3章 がん細胞漫潤阻害作用 -PSA阻害剤への展閉-

サリドマイドの抗腫瘍活性に関しては血管新生阻害と関連して、がんの転移に関わる細胞浸潤の阻害が提起されている。当研究室でもいくつかの化合物が細胞の形態や伸展運動に影響を及ぼすことを経験していた。観察した形態変化に関わる標的分子を探索したところ、PSAであることが分かった。そこでPSA阻害剤への展開を図ることとした。サリドマイドをテンプレートとしてPSAを阻害することで知られているベスタチンよりも強力なPSA阻害剤、PAQ-22を創製することができた。PSAについては細胞内の局在が不明だったので、構造活性相関をもとにDAMPAQ並びにANTAQという蛍光プローブをデザインした。これらの化合物は期待どおり活性並びにPSA特異性を維持しており、生細胞内のPSA分布を可視化して観察することができた。

4章 血糖降下・抗ウイルス作用

4-1 α-グルコシダーゼ阻害剤への展開

サリドマイドが血糖降下作用や抗ウイルス作用を有することから、サリドマイドを構造展開することで糖尿病やウイルス性肝炎等の治療薬が創製できると考えた。そこで、糖尿病の基礎研究において確立されているα-グルコシダーゼに注目した。この阻害剤の中には抗ウイルス活性を示す化合物が報告されている。構造展開により、テトラクロロフタルイミド骨格を持つ競合阻害剤と非競合阻害剤を創製できた。

4-2 LXRアンタゴニストへの展開

核内受容体、肝臓X受容体(LXR)がグルコースセンサーとしての役割を担っていることが報告された。この発見は、グルコースの誘導体がLXRのリガンドとして認識されることを示唆する。一方、我々はサリドマイドの構造展開研究からα-グルコシダーゼ阻害剤を得ている。

これらの化合物のいくつかは競合阻害剤であり、従って同化合物群の構造の一部がグルコース疑似体として機能し得る可能性も期待した。そこでサリドマイド由来のα-グルコシダーゼ阻害剤がLXR リガンドになるのではないかと考え検証した。いくつかの化合物にLXRアンタゴニストとしての活性を見出し、それらの構造展開により高活性なLXRアンタゴニスト、5CPPSS-50を創製することができた。

【総括】

以上私は、サリドマイドの不明な抗腫瘍活性の作用機序として、生体内で分化誘導剤として機能している可能性、代謝物が有糸分裂阻害剤として機能している可能性、を新たに提示し、サリドマイドの広汎な活性を説明し得る新たな標的分子としてCOXおよびNOSを、代謝物の標的分子としてHDACを見出した。また、サリドマイドを始原化合物としたマルチ創薬テンプレート手法に基づき強力なチューブリン重合阻害剤、HDAC阻害剤、COX阻害剤、NOS阻害剤、PSA阻害剤、α-グルコシダーゼ阻害剤、LXRアンタゴニストを創製した(Figure1)。

本研究はサリドマイドの理解とその改良のための基盤データとして有用であり、より一般的な活性化合物創製手法の提案に直結したものと考えている。

Figure1. マルチテンプレートとしてのサリドマイド

審査要旨 要旨を表示する

谷内出が所属している研究室では数年来、ケミカルジェネティクス、ひいては創薬のリード探索に有用な化合物群あるいはハイクオリティーなケミカルライブラリーの創製手法としてマルチテンプレート手法を提案している。本手法は、ヒトでは5万-7万種存在するとされるタンパク質も化学的性質等を無視した3次元的な空間的形状、すなわちフォールド構造は1000種ほどしかないとされていることに基盤をおいたものである。これに基づけば1000種のテンプレート構造があれば全てのタンパク質に特異的に結合する化合物が得られ、適当なテンプレート構造一つで、その構造展開により平均50-70種のタンパクに対して特異的に結合する化合物が得られることになる。良質なテンプレート構造を抽出する方法の一つとして、その構造展開により各種の標的タンパクに対する機能制御化合物へ拡張する方法が考えられる。この場合比較的単純な構造で多岐にわたる生物活性を示す化合物が良好なテンプレート候補になり得る。谷内出は、このような考えからサリドマイド(1)をマルチテンプレートの候補として選択し、その有用性を実証すると共に、話題性が先行している感のあるサリドマイド(1)の薬効に関して、これを構造展開によってその有用性を選択的に抽出すべく研究を展開した。

サリドマイド(1)は注目されている一方で分子作用機序の理解が欠如している。谷内出は、サリドマイド(1)及びその代謝物についていくつかの新たな生物作用を発見し、さらにシクロオキシゲナーゼ(COX)、チューブリン、ヒストン脱アセチル化酵素(HDAC)、一酸化窒素合成酵素(NOS)、ピューロマイシン感受性アミノペプチダーゼ(PSA)、α-グルコシダーゼがサリドマイド作用のターゲットとなり得ることを示し、いくつかの構造展開物を創製した。

1章 分化誘導促進作用

1-1 チューブリン重合阻害剤への展開

サリドマイド(1)はチトクロームP450(CYP)による代謝や加水分解を受け5-hydroxythalidomide(5-HT,2)、N-hydroxythalidomide(N-HT,3)等の代謝物を生成する。サリドマイド(1)の薬理活性を論じるに際してはこれら代謝物の活性も無視できない。谷内出は、サリドマイド(1)の抗腫瘍活性等から類推していくつかの生物活性について検索したところ、これらの化合物は生理濃度レベルのオールトランスレチノイン酸(ATRA)存在下、ヒト前骨髄球性白血病細胞HL-60の分化を誘導することを発見した。このことからサリドマイド(1)は生体内で分化誘導剤として機能していることが示唆された。

谷内出が所属している研究室でチューブリン重合1脱重合阻害剤がヒト白血病細胞の分化誘導促進活性を有することが見出されている。そこで谷内出は、分化誘導促進活性を示したサリドマイド関連化合物のチューブリンに及ぼす影響を検討したところ、サリドマイド(1)は活性を示さなかったが、上記代謝物は重合阻害活性を示すことを発見した。このことからサリドマイド(1)の抗腫瘍活性の少なくとも一部は代謝物によるチューブリン重合阻害活性で説明できる可能性が示された。さらに谷内出は、構造展開を施し、5HPP-33(4)というリゾキシンと同等に強力なチューブリン重合阻害剤が創製した。また5HPP-33(4)がヒト骨髄腫細胞IM9に対してアポトーシスを誘導することを確認した。アポトーシスのメカニズムに関しては、caspase3を活性化していることが確認でき、本経路の寄与が示唆された。細胞周期的にはG2/M期での停止が認められた。さらなる構造展開により、強力なチューブリン重合阻害剤、5HFPP-33(4)を創製した。

1-2 HDAC阻害剤への展開

分化誘導促進活性のメカニズムについては、N-HT(3)がHDAC阻害剤の主要なファルマコフォアとして知られるヒドロキサム酸構造を有することから、谷内出はHDAC阻害が少なくとも一部は関与していることを想定し、研究を展開した。N-HT(3)自体は極めて弱いHDAC阻害活性しか示さなかったが、サリドマイド(1)をテンプレートとして構造展開することで、代表的なHDAC阻害剤であるvorinostatよりも強力なXIM-22(6)を創製した。また創製した化合物の分化誘導促進活性について検討したところ、強力なHDAC阻害活性を有したXIM-22(6)が濃度依存的にATRAで誘導したHL-60の分化を促進する活性を示すことを見出した。

2章 血管新生阻害作用

2-1 COX阻害剤への展開

サリドマイド(1)の主要な薬理作用の一つに血管新生阻害作用がある。そこで、谷内出は、正常ヒト膀帯静脈内皮細胞HUVECのin vitro管腔形成系を選択して効果を検討したところ、サリドマイド(1)および5-HT(2)に管腔形成阻害活性を確認できた。続いて谷内出は、サリドマイド(1)の抗炎症作用並びにこの血管新生阻害作用に関与しうる分子標的としてCOXを想定した。既にサリドマイド(1)がリポポリサッカライドによるCOX-2の発現誘導をメッセージのレベルで阻害することは報告されていたが、COXに及ぼす直接的な影響については報告がなかった。谷内出は、サリドマイド(1)が弱いながらもCOXを直接阻害する活性を有することを発見した。サリドマイド(1)のCOX阻害活性はサブタイプ選択性がほとんどなかったが、構造展開により強力なCOX-1、COX-2選択的阻害剤を取り揃えることができた。創製した強力なCOX阻害剤の血管新生阻害活性を評価し、AIB-0101(7)に、谷内出の期待通りのHUVECにおける管腔形成阻害活性を確認した。

2-2 NOS阻害剤への展開

谷内出は、血管新生阻害の考えられる他の分子標的としてNOSを想定し、サリドマイド(1)に弱いながらnNOS、iNOS阻害活性を見出した。またサリドマイド(1)をテンプレートにした構造展開によりいくつかの強力なNOS阻害剤を創製した。特にPIQ-11(8)は、生体内で産生されるNOS阻害物質であるモノメチル-L-アルギニンよりも強力なNOS阻害活性を見出した。また、創製したNOS阻害剤は、サリドマイド(1)より強力な血管新生阻害活性(HUVEC管腔形成阻害)を示すことを確認した。

3章 がん細胞浸潤阻害作用 -PSA阻害剤への展開-

サリドマイド(1)の抗腫瘍活性に関しては血管新生阻害と関連して、がんの転移に関わる細胞浸潤の阻害が提起されている。谷内出が所属している研究室でもいくつかの化合物が細胞の形態や伸展運動に影響を及ぼすことを経験していた。観察した形態変化に関わる標的分子を探索したところ、PSAであることが分かった。そこで谷内出は、PSA阻害剤への展開を図った。サリドマイド(1)をテンプレートとして、PSAを阻害することで知られているベスタチンよりも強力なPSA阻害剤、PAQ-22(9)を創製した。PSAについては細胞内の局在が不明だったので、構造活性相関をもとにDAMPAQ(10)並びにANTAQ(11)という蛍光プローブをデザインしたところ、これらの化合物は活性並びにPSA特異性を維持しており、生細胞内のPSA分布を可視化して観察することに成功した。

4章 血糖降下・抗ウイルス作用

4-1 α-グルコシダーゼ阻害剤への展開

谷内出は、サリドマイド(1)が血糖降下作用や抗ウイルス作用を有することから、サリドマイド(1)を構造展開することで糖尿病やウイルス性肝炎等の治療薬が創製できると考えた。そこで、糖尿病の基礎研究において確立されているα一グルコシダーゼに注目した。この阻害剤の中には抗ウイルス活性を示す化合物が報告されている。構造展開により、テトラクロロフタルイミド骨格を持っ非競合阻害剤CP4P(12)と競合阻害剤CP4P(13)を創製した。

4-2 LXRアンタゴニストへの展開

核内受容体、肝臓X受容体(LXR)がグルコースセンサーとしての役割を担っていることが報告された。この発見は、グルコースの誘導体がLXRのリガンドとして認識されることを示唆する。一方、谷内出はサリドマイド(1)の構造展開研究からα-グルコシダーゼ阻害剤を得ていた。これらの化合物のいくつかは競合阻害剤であり、従って谷内出は、同化合物群の構造の一部がグルコース疑似体として機能し得る可能性も期待し、サリドマイド由来のα-グルコシダーゼ阻害剤がLXRリガンドになるのではないかと考え、検証した。いくっかの化合物にLXRアンタゴニストとしての活性を見出し、それらの構造展開により高活性なLXRアンタゴニスト、5CPPSS-50(14)を創製した。

以上、谷内出は、サリドマイド(1)の不明な抗腫瘍活性の作用機序として、生体内で分化誘導剤として機能している可能性、代謝物が有糸分裂阻害剤として機能している可能性、を新たに提示し、サリドマイド(1)の広汎な活性を説明し得る新たな標的分子としてCOXおよびNOSを、代謝物の標的分子としてHDACを見出した。また、サリドマイド(1)を始原化合物としたマルチ創薬テンプレート手法に基づき強力なチューブリン重合阻害剤、HDAC阻害剤、COX阻害剤、NOS阻害剤、PSA阻害剤、α一グルコシダーゼ阻害剤、LXRアンタゴニストを創製した。本研究はサリドマイド(1)の理解とその改良のための基盤データとして有用、かっより一般的な活性化合物創製手法の提案に直結したものであり、博士(薬学)の学位を授与するに値すると判断した。

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