No | 116153 | |
著者(漢字) | 賀,炅皓 | |
著者(英字) | ||
著者(カナ) | ガ,ジュンコウ | |
標題(和) | ポリイミドゲルの合成と特性解析および物性 | |
標題(洋) | Preparation, Characterization amd Physical Properties of Polyimide Gels | |
報告番号 | 116153 | |
報告番号 | 甲16153 | |
学位授与日 | 2001.03.29 | |
学位種別 | 課程博士 | |
学位種類 | 博士(工学) | |
学位記番号 | 博工第4990号 | |
研究科 | 工学系研究科 | |
専攻 | 化学生命工学専攻 | |
論文審査委員 | ||
内容要旨 | 1. 緒言 高分子ゲルというのは溶媒を取り込んで膨潤した三次元網目高分子である。ゲルは液体の形を保つことができ、また反応性試薬や触媒を固定化して反応生成物の分離を容易にする高分子担体として利用されている。さらに、ゲルに特徴的な体積相転移を生かして、環境認識ゲルや刺激応答材料、薬剤徐放システムを作ることができ、機能材料としての応用が非常に注目されている。しかし、これまで知られている高膨潤度のゲルはビニル系ポリマーがほとんどであり、100℃以上の高温では使用できない。また、構造材料としてより大きな力学強度をもつゲルに対する期待も広がっている。 本研究では、有機溶媒中で膨潤収縮できる耐熱性高弾性率の高分子ゲルの実現を目指して、芳香族のポリイミドをゲルの網目鎖構造として導入し、新規なゲル材料としてのポリイミドゲルを初めて合成し、その特性解析と力学物性の評価を行なった。最初に、側鎖に水酸基を有する可溶性ポリイミドの高分子反応を用い、脂肪族ジイソシアナートを架橋剤として側鎖の水酸基を架橋させ、ポリイミドゲルの合成を行い、その架橋構造の有効性と安定性を検討した。次に、耐熱性と高弾性率を達成するため、架橋剤を多官能性芳香族アミンに変え、末端架橋による架橋構造の欠陥の少ない全てイミド結合よりなるポリイミドゲルの合成に成功した。そして、従来の高分子網目の理論に基く弾性率の式(1)とスケーリング則に基づく理論に対応させながら、弾性率と膨潤度との相関性を明らかにした。高分子網目の理論に基けば、1MPa以上の弾性率と約10の平衡膨潤度を同時に実現する可能性があることを示しているため、最後に、より秩序性の高い対称型三官能性アミンを用いて、内部に大きな空間をもつ耐熱性高強度のポリイミドゲルの合成に成功した。 2. 側鎖架橋型ポリイミドゲルの合成 官能基を有する高分子鎖間の高分子反応によりゲルの合成は、ゲルの合成法としてはよく知られている。官能基の選択によって様々な架橋構造ができるのはこの合成法のメリットであるが、高分子が可溶であることが必要である。 2.1 実験 フッ素を含む酸無水物4,4'-(hexafluoroisopropylindene)diphthalic anhydride(6FDA)と水酸基を含むジアミン3,3'-dihydroxy-4,4'-diaminobiphenyl(DHBP)を用いて、有機溶媒に可溶なポリイミドを合成した。架橋剤としてのhexamethylene diisocyanate(HDI)をポリイミドのN-methy1-2-pyrrolidone(NMP)溶液に加え、DHBPの水酸基と架橋させることにより、ポリイミドゲルを得た(Scheme 1)。また、架橋剤の添加量を変えて、異なる架橋密度のゲルを合成した。 2.2 結果と考察 2.2.1 架橋反応と膨潤挙動 ゲル中の残存ゾル成分がTHFによる抽出され、UVスペクトルの測定から求めた(Table 1)。ゾル部分を除いた乾燥ゲルをDMSO-d6に2日間浸し、1H-NMRスペクトルを測定し、架橋剤とポリイミド主鎖中のOH(10.2ppm)の反応はほぼ100%進行していることが明らかになった。ゾル部分を除いた乾燥ゲルを水/NMP混合溶媒中に浸し、膨潤実験を行った。平衡膨潤までにかかる時間は約4日間で、全てのゲルはFig.1のようにNMP濃度80wt%以上から膨潤が始まっている。G-1b,G-2b,03bそれぞれの平衡膨潤度は35,18,9に達している。 2.2.2 圧縮弾性率と架橋構造解析 光散乱測定から求めたMw=9.2×104g/mo1,X1=0.36,X2=-1.03と平衡膨潤度の実験結果を用い、排除体積効果や鎖間相互作用などを考慮した改良型Flory-Rehner理論の式(2)を使いゲルの架橋点間平均分子量Mcと有効な架橋構造の割合feffを計算し、feffは平均的に約10%しか占めていないことにより、大部分の架橋剤は分子内でループしていることが推測される(Scheme2)。また、G-3bの圧縮弾性率E'は同膨潤度の普通のビニル系ゲルの約数倍の0.78MPaに達しているので、ポリイミドの剛直な主鎖がゲルの弾性率に寄与していると考えられる。 2.2.3 化学安定性と熱安定性 ウレタン結合は紫外線と熱に弱いために、これらのポリイミドゲルは全て約2週間ほど経つと加水分解することがわかった。また、側鎖の水酸基と酸二塩化物との反応による架橋或いは水酸基をビニル基に変えてのラジカル反応による架橋も試み、合成したポリイミドゲルの化学・熱安定性は少し改善されたが、架橋構造に脂肪族鎖を含むと熱的に十分安定なゲルを作るには適さない。また、有効な架橋構造の分率を上げるために、ポリイミド鎖中の水酸基の数を減らすことや剛直な架橋剤を使うことなどの手段で、異なる架橋構造のポリイミドゲルを合成したが、いずれの方法も有効な架橋構造を増やすことができず、架橋剤の硬さが主鎖の硬さよりゲルの強度に大きく寄与するという結果が得られた。 3. 末端架橋型高弾性率ポリイミドゲルの合成 有効な架橋を増やし、かつ弾性率を1MPa以上に向上させるため多アミノ基化合物を用い末端架橋型のポリイミドゲルを合成した。これらのゲルの架橋結合は全てイミド結合であるため、高い弾性率と良い耐熱性を期待した。 3.1実験 三種類の酸無水物4,4'-(hexafluoroisopropylindene)diphthalic anhydride(6FDA)、4,4'-oxydiphthalicanhydride(ODPA)、3,3',4,4'-biphenyltetracarboxylic dianhydride(BPDA)を無水メタノールの中エステル化させ、アミド酸メチルエステルが得られた。それらのアミド酸エステルとジアミンdianilinemethane(MDA),架橋剤として多アミノ其化合物の混合体pMDA(平均官能度=2.6)をNMPに溶かし、160℃で8時間加熱して、末端のイミド結合により架橋させたポリィミドゲルを合成した(Scheme 3)。またMDAとpMDAの組成を変え、異なる架橋密度のゲルを作成した。 3.2 結果と考察 3.2.1 合成条件と膨潤挙動 ゲルの最適な合成条件を160℃で20wt%の初期濃度で8時間加熱と決めた。240℃で高温熱処理した後(Cseries)では、平衡重量膨潤度Qwは最大3程度である。特にBPDAの場合は、ゲルはほとんど膨潤しない。また、ODPAとBPDA系のゲルにおいては、75℃でNMP中で3ヶ月以上膨潤させても分解しなかった。 3.2.2 圧縮弾性率 圧縮弾性率については、Table2に示すようにODPA-pMDA系列のゲルはある程度の膨潤度をもつと同時にIMPa以上の圧縮弾性率を達成している。さらに、ゴム弾性の理論[式(1)1から計算するとポリイミドゲルの場合は、物性値として架橋点間分子量Mc=1000g/mo1(繰返し単位約5),密度ρ=1.3g/cm3,モノマー初期体積分率(Vu/VF)=0.20、温度T=300Kを代入し、さらにゲルは反応していない末端鎖を無視できる【(1-2Mc/Mn)=1]affine network(A=1)を形成すると仮定すれば、平衡膨潤度Q(=1/φ2)が2〜10となる時の圧縮弾性率Eは2.6MPa〜1.5MPaとなっている。これはあくまで理論値であり、実際の架橋ネットワークには構造欠陥があるため、この理論値より遥かに小さくなる場合が多い。しかし、多アミノ基化合物pMDAを架橋剤として合成した末端架橋型のポリイミドゲルの平衡膨潤度と圧縮弾性率の関係は式(1)の予測に非常に近づいていることがわかった。今回のポリイミドゲルに構造欠陥がないとは言えないが、硬い架橋剤と剛直な主鎖で構成される高分子ゲルの弾性率を大きく向上させるができた。 3.2.3 初期濃度、平衡膨潤度と弾性率との相関性 次に、ポリイミドゲルの平衡膨潤度Q、弾性率G、初期濃度C0の間に、どんな関係があるかを調べた。スケーリング則に従うと、次の比例関係が導かれる。合成直後の状態においては、φ=φ0になってG∝φ09/4という関係になる。また、平衡膨潤した場合では、φ=1/Qになり、G∝Q-9/4という関係が成り立つ。 今回合成した末端架橋型のポリイミドゲルに対し、モノマーの初期重量分率、平衡重量膨潤度、圧縮弾性率はそれぞれ初期体積分率、平衡体積膨潤率、せん断弾性率に比例し(C0〜φ0,Qw〜Q,E'〜G),Fig.2,3のような結果が得られた。これよりE'〜C0226という関係が得られた。ポリイミドの構造と状態に関係なく全てのポリイミドゲルはほぼE'〜Qw-2.19であることが分かった。 4. 制御された構造をもつポリイミドゲルの設計と合成 指定された弾性率と膨潤度をもつゲルを分子設計することは非常に興味深いことである。硬い構造のモノマーと架橋剤を用いれば、ジャングルジムのようなゲルを作ることが可能である。一方、柔らかい構造のものを使えば、溶媒中に膨潤収縮できるゲルを設計することができる。このような目的を達するためには、架橋密度、主鎖と架橋剤の構造を全て制御しなければならない。上記に調べたこれまでの実験により以下の結論が得られる。強度或いは弾性率を上げるためには、対称性の硬い架橋剤を使用するのがよい。化学・熱安定性のゲルを作るためには、イミド結合の末端架橋型がよい。架橋密度を制御するには、オリゴマーを作ってから架橋した方がよい。以上の条件を全部満たすために、次に示す新たな対称型三官能性芳香族アミン架橋剤の合成を試みた。 4.1 実験 4-nitroacetophenoneを原料として以下に示す合成スキーム(Scheme 4)により三官能性対称型アミン1,3,5-tris(4-aminophenyl)benzene(TAPB)を得た。異なる仕込み比のPMDAとpDAをNMPに溶かし後、あらかじめ調製したTAPBのNMP溶液を加え、十分混合した後、180℃で8時間加熱したところ、ゲル化した。得られたシリンダー状のポリイミドゲルをある長さで切り、230°で乾燥させた後、長さ、直径、重量を測り、密度を求めた。 4.2 結果と考察 得られた新規ポリイミドゲルの弾性率は大体ゴムに相当する程度である。架橋点間分子量が大きくなるとゲルの中に大きな空間を形成し、溶媒を飛ばしても収縮しない密度が約05g/cm3の剛直なポリマーゲルを合成することに成功した。 5. 結論 有機溶媒中で膨潤収縮できるポリイミドゲルの合成に成功した。合成条件により、ゲルの体積膨潤度は10以上にも達した。イミド結合で末端架橋すると、1MPa以上の高い弾性率かつ100℃以上の耐熱性をもつポリイミドゲルが実現した。ゲルの初期濃度、圧縮弾性率、膨潤度の間には、スケーリング則に良く従う関係が見出された。さらに、剛直な構造をもつ三官能性アミン架橋剤を用い、耐熱性高強度かつゲルの中を溶媒が通過する空間をもつポリイミドゲルを設計合成した。ポリイミド主鎖と架橋剤の構造及び架橋タイプを変化させることにより、種々の特性をもつポリイミドゲルの作成が可能であることが本研究から明らかになった。 Scheme 1 Table 1.Hydroxyl group conversion ratio and physical properties of polyimide gels crosslinked with HDI Fig. 1 Equilibrium volume change of gels in NMP/water mixed solvents at 20℃(V0 corresponds to the volume of the initial dried gels) Scheme 2 Scheme3 Table 2 The compression moduli of polyimide gels in their as-prepared states and equilibrium swollen states after 240℃ thermal treatment Fig. 2 Correlation of intial monomer concentration, C0, and compression modulus, E',in the as-prepared(●)and equilibrium swelling states (○)for the ODPA-pMDA-100 polyimide gels prepared at 160°C for 8 hours with various initial monomer concentrations. Fig. 3 Correlation of equilibrium swelling ratio in weight, Qw ,and compression modulus, E',for the polyimide gels. [(○): ODPA-A series, (△):ODPA-B series, (□): ODPA-C series, (◆): BPDA-B and C series, (▲): 6FDA-B series] Scheme 4 | |
審査要旨 | ポリマーゲルは、溶媒を取り込んで膨潤した三次元網目高分子であるため、マクロに形を保つことができ、反応性試薬や触媒を固定化して反応生成物の分離を容易にする高分子担体として利用されている。また、ゲルに特徴的な体積相転移を生かして、環境認識ゲルや刺激応答材料、薬剤徐放システムなどの機能材料としての応用が注目されている。 これまでよく研究されているゲルはほとんどピニル系ポリマーのゲルであり、主鎖に芳香環をもつ剛直な構造のゲルの研究はわずかにポリアミドゲルの報告があるのみである。ピニル系のポリマーゲルは耐熱性と力学強度は高くないので、100℃以上の高温では使用できない。また、構造材料としてより大きな力学強度をもつゲルに対する期待も広がっており、ゲルの耐熱性と力学強度を向上させることが、ポリマーゲルの研究において重要となってきていて、複素環構造をもつ種々の分子を設計した、耐熱性高弾性率の高分子ゲルの実現が期待されている。 本論文では、耐熱性と力学性能に優れている剛直な芳香族ポリイミドをゲルの網目鎖構造として導入して、耐熱性高弾性率の高分子ゲルを実現することを目指して、新規なゲル材料としてのポリイミドゲルを設計合成し、その特性解析と力学物性の評価を行っている。目標とするゲルの特性は、それぞれの応用に対応して大きく二つに分かれている。1)有機溶媒中で大きく膨潤収縮できかつ高強度のポリイミドゲルの場合と2)溶媒をぬいても収縮しない大きな内部空間をもちかつ高強度のジャングルジムのようなポリイミドゲルの場合である。また、従来の高分子網目の理論とスケーリング則に基づく理論に対応させながら、弾性率と膨潤度との相関性を検討し、ゲルの架橋構造を明らかにしている。用いた架橋法は側鎖架橋と末端架橋の2種類であり、ポリイミド主鎖と架橋剤の剛直さを変えながら、様々なポリイミドゲルを合成し、その分子構造と架橋法がゲルの物性にどう影響するかそれらの相関性について考察している。 第1章では、ポリマーゲル、ポリイミド、架橋ポリイミド、架橋高分子の理論と評価法について過去の研究例をまとめ、本研究の背景と各章の目的について述べている。 第2章は、側鎖架橋法によりポリイミドPI(6FDA/DHBP)のゲルを初めて合成し、そのキャラクタリゼーションについてまとめたものである。ポリイミドゲルの具体的な合成法を説明し、架橋剤ヘキサンジイソシアナートHDIの反応率をゲルのNMR測定から求めている。それらのゲルについて、NMPと水の混合溶媒中での膨潤挙動を観測し、大きな体積変化を示していることを示した。合成直後と平衡膨潤状態におけるゲルの動的粘弾性の測定を行い、0.7MPaの圧縮弾性率と合成直後の体積に対して9倍の膨潤度を同時に達成している。その体積膨潤度と圧縮弾性率の結果から、この側鎖架橋型ポリイミドゲルの架橋構造について、分子内のループが大量に存在し、弾性率に効く有効な架橋の効率は小さいことを明らかにしている。また、架橋結合はウレタンのほか、エステルやエーテルなどを試みて、これらのゲルの熱的化学的安定性と有効架橋分率を調べた結果、それ以上改善ができないことを見出している。この側鎖架橋型ポリイミドゲルは体積が大きく膨潤収縮するタイプのゲルの設計に向いていると考えている。 第3章では、ポリイミドゲルの有効な架橋密度と弾性率をもっと向上させるために、多アミノ基化合物pMDAを用いて末端架橋型のポリイミドゲルを合成し、その物性と構造特性について、高分子ネットワーク理論とスケーリング則を用いて解析している。三種類の異なる剛直さをもつ酸無水物6FDA、ODPA、BPDAのジエステル化合物とジアミンMDAおよび平均官能性2.6の架橋剤pMDAを共重合架橋させ、イミド結合による末端架橋型のポリイミドゲルの合成に成功している.それらのゲルについて、膨潤度と弾性率や耐熱性などを調べ、その中でODPA/MDA/pMDA系のゲルは1.0MPa以上の圧縮弾性率と2.0以上の膨潤度を同時に達成している。その弾性率の値はゴム弾性理論の予想値とよく一致し、affineネットワークに近い状態であることを示している。また、全てのゲルの弾性率と初期濃度、膨潤度との相関性はスケーリング則の予想とよく合うことから、構造欠陥の少ないゲルが得られていることを明らかにしている。このイミド結合による末端架橋型ポリイミドゲルは膨潤度よりも耐熱性と強度が優先的に要求されるようなゲルの設計に対応している。 第4章は、第2、3章の結果を踏まえて、より剛直な構造をもつポリイミドゲルの設計をめざし、架橋剤として新たな対称型三官能性アミンTAPBを合成し、異なる剛直さと分子量をもつアミド酸オリゴマーをTAPBで架橋させて、制御された構造をもつポリイミドゲルを合成し、その物性を考察している。剛直な構造をもつPMDA/PDAのオリゴマーを架橋した場合は、ジャングルジムのような溶媒を取り除いても体積変化しないゲルが得られ、70%以上の内部空間率を保持していることを初めて示している。一方、柔軟性のあるODPA/ODAの場合は、第3章で得られたODPA/MDA/pMDA系のゲルと同程度の膨潤度と弾性率をもつことが見出されている。主鎖と架橋剤の構造によって、ポリイミドゲルの弾性率と膨潤度が制御できることを明らかにしている。 第5章は、第2章で実験的に得られた大量に分子内ループが存在する系について、簡単なコンピユータシミュレーションプログラムを組み、側鎖架橋反応での分子内ループの形成率を計算している。また、架橋剤の長さと剛直さの影響についても考察し、架橋剤を剛直にすればするほど、分子内のループがある程度抑制されることが見出されている。 以上のように、本論文は、側鎖架橋と末端架橋を行う3種類の架橋剤を用いて、様々な構造のポリイミドを架橋させることにより、世界で初めて耐熱性高強度のポリイミドゲルを合成し、その膨潤度・力学強度を分子構造と関連づけて考察したものである。目標を達成するための方法論を整理することにより、耐熱性高強度の膨潤収縮できるポリイミドゲルと溶媒をぬいても収縮しないジャングルジムポリイミドゲルの合成条件を区別し、それぞれのゲルを実現している。また、ゴム弾性理論とスケーリング則は剛直なポリマーネットワークに対してもある程度は適用可能であることがわかり、剛直なゲルの構造と物性の相関関係についての今後の研究に、貴重な知見を提供している。 よって本論文は博士(工学)の学位請求論文として合格と認められる。 | |
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