学位論文要旨



No 118707
著者(漢字) 下遠野,明恵
著者(英字)
著者(カナ) シモトオノ,アキエ
標題(和) シロイヌナズナCDK活性化キナーゼの機能解析
標題(洋) Functional Analysis of CDK-activating Kinases in Arabidopsis thaliana
報告番号 118707
報告番号 甲18707
学位授与日 2004.03.08
学位種別 課程博士
学位種類 博士(理学)
学位記番号 博理第4436号
研究科 理学系研究科
専攻 生物科学専攻
論文審査委員 主査: 東京大学 教授 内宮,博文
 東京大学 教授 福田,裕穂
 東京大学 助教授 菊池,淑子
 東京大学 助教授 梅田,正明
 東京大学 助教授 杉山,宗隆
内容要旨 要旨を表示する

真核生物の細胞周期の進行には、サイクリン依存性キナーゼ(cyclin-dependent kinase; CDK)が中心的な役割を担っている。植物は動物とは明らかに異なる発生様式を示し、胚発生以降に分裂組織で器官形成を行なうだけでなく、様々な環境変化に対応するために細胞分裂と分化の制御においても柔軟性が見られる。このような植物特有の分裂と分化のバランスを制御する分子メカニズムを明らかにするには、CDKの活性を上流で制御する因子の解析が重要である。そこで私はCDKをリン酸化により活性化するCDK活性化キナーゼ(CDK-activating kinase; CAK)に着目し、機能解析を進めている。CAKは細胞周期だけでなく、RNAポリメラーゼIIの最大サブユニットのC末端領域に存在する繰り返し配列(carboxy-terminal domain; CTD)をリン酸化することで、基本転写制御にも関わっている(図1)。植物では、イネのR2が動物のCAKの触媒サブユニットCDK7/p40MO15の機能的なホモログとして同定されている。一方、シロイヌナズナでは、出芽酵母のCAK変異株の温度感受性を抑圧する因子として、CDK7/p40MO15とは基質特異性も一次配列も異なるCAK1Atが単離されているが、動物タイプのCAKホモログの存在は知られていなかった。そこで、私は博士課程において、シロイヌナズナから新たに3種類のCAK相同遺伝子を単離し、それらの機能解析を行なった。さらに、同一生物種が複数個のCAKを持つのは他に例がないことから、シロイヌナズナの4種類のCAKについて機能的役割を明らかにする目的で生化学的解析を行なった。

シロイヌナズナのCAK遺伝子の単離

シロイヌナズナのゲノム配列情報を基に、cDNAライブラリーを鋳型としたPCRにより、まだ単離されていなかったCAKホモログのcDNA (CAK2At、CAK3At、CAK4At)を得た(図2)。CAK2AtとCAK3AtはイネのR2と同様に、C末端領域に動物や酵母のCAKにはみられない60-70アミノ酸からなる延長配列がみられた。これら3種類のCAKとCAK1Atに特異的なプローブを用いてノーザン解析を行なったところ、CA1At、CAK2At、CAK4Atは分裂の盛んな懸濁培養細胞で最も高い発現が観察されたのに対し、CAK3Atは調べた組織全てにおいて発現量の変化は殆ど観察されなかった。

CAKとサイクリンHの結合性とキナーゼ活性の解析

CAKはサイクリンHと結合することにより活性化される。そこで、シロイヌナズナのサイクリンHをコードするcDNA (CycHAt) を単離し、出芽酵母のtwo-hybridシステムを用いて、4種類のCAKとの結合解析を行なった。その結果、CAK2At、CAK3At、CAK4AtはいずれもCycHAtと結合し、中でもCAK2AtとCAK4Atはより強くCycHAtと結合することが明らかになった(図3)。それに対して、CAK1AtとCycHAtの間の相互作用は検出されなかったので(図3)、サイクリンHとの結合性においてもCAK1Atは他のCAKとは異なる性質をもつことが示された。

次に、CAK2At、CAK3At、CAK4Atのリン酸化活性を検討するため、生化学的な解析を行なった。まず、昆虫細胞において、FLAGタグを持つCAKを単独、もしくはヒスチジンタグを付加したCycHAtと共発現させた後、抗FLAG抗体で免疫沈降した画分を用いて、GST-CDK2またはGST-CTDに対するリン酸化アッセイを行なった。その結果、CAK2AtとCAK4Atはいずれも、CycHAtとの共発現によりCDK2とCTDに対するリン酸化活性の増加がみられたが、CAK2AtはCDK2を、CAK4AtはCTDをより強くリン酸化する傾向が観察された(図4)。その一方で、CAK3Atによる両基質に対するリン酸化活性は、CycHAtの有無に関わらず検出されなかった(図4)。したがって、現在のところ、CAK3Atは不活性型のCAKであると考えている。さらに、CAK2AtとCAK4Atに対する特異的な抗体を用いてシロイヌナズナの粗抽出液を免液沈降し、その沈降画分を用いてCDK2とCTDに対するリン酸化活性を測定したところ、昆虫細胞の系と同様に、CAK2AtはCDK2を、CAK4AtはCTDをより強くリン酸化することが確認できた(図5)。また、CDK2のT-ループのスレオニン残基をアラニンに置換した変異体では、リン酸化が見られなかったことから、CAK2AtとCAK4AtはCDKのT-ループのスレオニン残基を特異的にリン酸化することが明らかとなった(図5)。したがって、CAK2AtとCAK4AtはCDKとCTDに対する基質親和性の観点から、他生物のCAKには見られないユニークな特長をもつことが示された。

次に、出芽酵母のCAK温度感受性変異株を用いて相補性試験を行なったところ、制限温度下ではCAK1At単独もしくはCAK2AtとCycHAtを共発現させた細胞で抑圧活性が見られた(図6)。しかし、CAK2At単独の場合や、CycHAtの有無に関わらずCAK3AtやCAK4Atを発現させた場合は、抑圧活性を示さなかった(図6)。CAK4Atが抑圧活性をもたないのは、上述のようにCDKに対するキナーゼ活性がCAK1AtやCAK2Atと比べて低いこととよく合う結果である。

CAKを介したCDK、CTDのリン酸化カスケードの解析

高等生物において、同一生物種で複数個のCAKが単離された例は他に報告がない。分裂酵母では、CDK7/p40MO15の機能的ホモログとしてMcs6が同定されているが、最近、Csk1という因子がMcs6をリン酸化し活性化することが報告された。そこで、シロイヌナズナに存在する複数個のCAKの相互関係を明らかにする手掛かりとして、分裂酵母の温度感受性変異株を用いた遺伝学的解析を行なった。まず、csk1とmcs6の二重変異株にシロイヌナズナのCAK cDNAを導入したところ、CAK1Atのみ高い抑圧活性を持つことが明らかとなった(図7)。ところが、Csk1は野生型で、Csk1によりリン酸化されるセリン残基(S165)をアラニンに置換したmcs6-SALR変異に対しては、CAK1Atは抑圧活性を示さなかった。したがって、分裂酵母においてCAK1AtはMcs6をリン酸化し活性化する活性を有することが示された。そこで、CAK1AtがCAK2At、CAK3At、CAK4Atに対するリン酸化活性をもつかどうかを生化学的手法により検討した。培養細胞由来の全タンパク質を抗CAK1At抗体により免疫沈降し、それを酵素として用いてリン酸化アッセイを行なったところ、CAK1AtはCAK2AtとCAK4Atをリン酸化するのに対し、CAK3Atはリン酸化しないことが明らかになった(図8)。CAK2AtとCAK4AtのT-ループ領域内には2ケ所のリン酸化部位(セリンおよびスレオニン残基)が存在する。そこで、これらをアラニン残基に置換した変異体を用いて、CAK1Atによるリン酸化部位を検討したところ、CAK2At、CAK4Atともにセリン残基よりもスレオニン残基をより強くリン酸化することが明らかとなった(図9)。この結果は、CAK1Atが、CAK2AtやCAK4AtのT-ループ領域をリン酸化することにより、それらの活性化に寄与している可能性を示唆している。そこで、CAK1Atのリン酸化による活性レベルの変化について、CAK4Atを用いて検討した。まず、FLAGタグを持つCAK4Atを昆虫細胞中で発現させ、抗FLAG抗体で免疫沈降を行ない、次にその免疫沈降物にMBP-CAK1Atを加えることによりCAK4Atのリン酸化反応を行なった。その後、CAK1Atを洗浄除去し、残ったFLAG-CAK4Atを含む画分を用いてCTDに対するリン酸化活性を測定した。その結果、予めCAK1Atによりリン酸化させることでCAK4AtのCTDに対するキナーゼ活性が、特にCycHAt非存在下において著しく上昇することが明らかとなった(図10)。以上の結果は、少なくともCAK4AtのCTDキナーゼ活性はCAK1Atによるリン酸化により活性化されることを意味している。現在、CAK2AtのCDKキナーゼ活性に与える影響についても解析しているところである。

結論

本研究では、シロイヌナズナに3種類のCDK7/p40MO15ホモログが存在すること、またCAK2AtとCAK4AtはどちらもサイクリンHと結合する一方で、CDKとCTDに対するリン酸化活性に差違があることを明らかにした。このことから、シロイヌナズナでは複数のCAKが細胞周期と転写をある程度の特異性をもって制御している可能性が示唆された。また、CAK1AtはCAK2AtとCAK4Atをリン酸化する活性を有し、さらに、CAK4AtのCTDキナーゼ活性はそのリン酸化により活性化されたことから、CAK1AtはCAK活性化キナーゼ(CAK-activating kinase; CAKAK)として機能していると考えられる(図11)。つまり、CDKやCTDをリン酸化するカスケードが複数のCAKにより構成されている可能性が示唆された。

今後は、in vivoでのCAK1AtによるCAK2AtやCAK4Atのリン酸化および活性化の分子機構を明らかにするとともに、CAK1Atがどのようなシグナルを受容してこのリン酸化経路を制御しているのか、さらに詳細な解析を進めていく予定である。

CAKは細胞周期と転写を制御する

CAKはCDKのT-ループ領域のセリン/スレオニン残基をリン酸化することにより、CDKを活性化し、細胞周期を正に謝御する。また、CAKは基本転写因子(TFIIH)の構成因子としてRNAポリメラーゼII(RNAPII)の最大サブユニットのC末端領域(CTD)を高度にリン酸化し転写調節にも関与する。スレオニン残基の位置番号はヒトのCDK2の場合を示した。

シロイヌナズナと他の生物由来のCAKの系統樹

シロイヌナズナのCAKを介したリン酸化カスケード シロイヌナズナには複数個のCAKが存在し、CAK1AtがCAK2AtやCAK4Atの活性を上流で制御するCAK活性化キナーゼ(CAKAK)として機能しているものと考えられる。

シロイヌナズナのCAKを介したリン酸化カスケード シロイヌナズナには複数個のCAKが存在し、CAK1AtがCAK2AtやCAK4Atの活性を上流で制御するCAK活性化キナーゼ(CAKAK)として機能しているものと考えられる。

シロイヌナズナのCAKは赤色で示した。CAK1AtはCDK7/p40MO15とは遠緑のCAKである。

酵母のTwo-hybrid法によるシロイヌナズナのCAKとCycHAtの結合解析

GAL4タンパク質のDNA結合ドメインをCycHAtに、転写活性化ドメインをCAKにそれぞれ連結し、出芽酵母のY190株で発現させた。液体培養アッセイ法に従い、β-galactosidase活性を測定した。値は独立に行なった3回の測定結果の平均値を示した。CycHAtを発現しないコントロールとしてベクター(pAS2-1)を導入したものを用いた。

CAKによるCDK及びCTDに対するリン酸化活性の解析

FLAGタグを付加したCAKとヒスチジンタグを付加したCycHAtを昆虫細胞で発現させ、抗FLAG抗体による免疫沈降画分を用いてGST-CDK2(上段)とGST-CTD(下段)に対するリン酸化アッセイを行なつた。

CAK2At及びCAK4Atの免液沈降物を用いたリン酸化活性の解析

シロイヌナズナの培養細胞から抽出したタンパク質を抗CAK2At及びCAK4At抗体で免液沈降し(IP)、その沈降画分を用いてリン酸化アッセイを行なった。CDK2の自己リン酸化活性を阻害する目的で、活性中心に変異を導入したもの(K33R)とT-ループのスレオニン残基に変異を導入したもの(T160A)、およびGST-CTDを基質とした。

シロイヌナズナのCAKによる出芽酵母のCAK温度感受性変異株の相補性試験

恒常的に発現するプロモーターにCAKとCycHAtをそれぞれ連結し、出芽酵母のCAK温度感受性変異株に導入した。得られた形質転換体は、許容温度(27℃)と制限温度(36℃)で4日間培養した。コントロールとしてベクター(pYX112)を導入したものを用いた。

CAK1Atは分裂酵母mcs6-13 csk1△二重変異株の温度感受性を抑圧する

チアミン非存在下で発現誘導されるNMT1プロモーターの下流にCAK遺伝子を連結し、導入した。得られた形質転換体を+チアミンまたは-チアミンの培地上で、許容温度(27℃)と制限温度(35.5℃)で5日間培養した。下の写真は、35.5℃でベクター(pREP3)或いはCAK1Atを発現させた時の細胞の形態を示す。

CAK1AtはCAK2AtとCAK4Atをリン酸化する

シロイヌナズナの培養細胞から抽出したタンパク質を抗CAK1At抗体で免疫沈降し(IP)、その沈降画分を用いてMBP-CAK融合タンパク質を基質としたリン酸化アッセイを行なった。基質の自己リン酸化活性を阻害する目的で、活性中心に変異を導入したもの(K41R或いはK42R)を用いた。コントロールとして免疫前血清(PI)による免液沈降物を用いた。

CAK1AtはCAK2AtとCAK4AtのT-ループ領域のセリン・スレオニン残基をリン酸化する

シロイヌナズナの培養細胞から抽出したタンパク質を抗CAK1At抗体で免液沈降し(IP)、その沈降画分を用いてリン酸化アッセイを行なった。CAK2AtとCAK4Atで保存されているT-ループ領域の161番目或いは162番目のセリン残基および167番目或いは168番自のスレオニン残基をそれぞれアラニン残基に置換したMBP融合タンパク質を基質として用いた。コントロールとして免液前血清(PI)による免液沈降物を用いた。

CAK1AtはCAK4Atをリン酸化し活性化する

昆虫細胞の系でFLAG-CAK4AtとHis-CycHAtを発現させ、抗FLAG抗体で免液沈降させた画分を用いてリン酸化アッセイを行なった。イムノブロット解析により沈降画分に含まれるCAK4Atの量を確認し、MBP-CAK1Atを加えて1回目のリン酸化反応を行なった。反応後にMBP-CAK1Atを洗浄除去し、GST-CTDに対するリン酸活性を検出した。

シロイヌナズナのCAKを介したリン酸化カスケード

シロイヌナズナには複数個のCAKが存在し、CAK1AtがCAK2AtやCAK4Atの活性を上流で制御するCAK活性化キナーゼ(CAKAK)として機能しているものと考えられる。

審査要旨 要旨を表示する

本論文は植物における細胞分裂の分子レベルでの制御機構を明らかにする目的で、シロイヌナズナのCDK活性化キナーゼ(CAK)群の個々の因子における機能的役割について詳細な解析を行ったものである。

真核生物の細胞分裂は、サイクリン依存性キナーゼ(CDK)の活性によって制御されている。シロイヌナズナのゲノムにも数多くのCDK遺伝子が存在し、分化の時期やそれに伴う器官形成を決定する際には、転写・翻訳レベルにおいてこれらの因子が緻密に制御を受けていると考えられる。CAKはこれらCDKのリン酸化を触媒することで、これらの最大活性化に寄与すると考えられているが、植物のCAKの機能はもとより、CAK自身の活性が上流からどのように制御されているのかという知見は得られていない。論文提出者は、植物細胞の分裂と分化におけるCAKの役割を明らかにする目的でシロイヌナズナの4種類のCAK(CAK1At〜CAK4At)に着目し、生化学的・遺伝学的解析を行った。その結果、これら複数のCAKがリン酸化カスケードを形成していることを明らかにした。

本論文は2章で構成されており、第1章では、新規なCAKであるCAK4Atを単離し、計4種類のCAK相同因子の発現解析や活性測定を網羅的に行うことで、シロイヌナズナに複数個のCAKが存在することを示した。さらに、シロイヌナズナのCAK遺伝子の発現がいずれも細胞分裂非依存的であることから、基本転写と細胞分裂の両側面を制御する他の生物種のCAKと同じ挙動を示すことを明らかにした。次に論文申請者は、植物細胞内での機能的役割を明らかにする目的で、シロイヌナズナの培養細胞の粗抽出液を用いてCAKの活性測定を行った。その結果、CAK2AtとCAK4AtはCAKの基質として知られるCDK2とRNAポリメラーゼIIの最大サブユニットのC末端繰り返し配列(CTD)に対し、異なる親和性を示すことを報告している。このように、本論文は高等生物において複数のCAKが存在することを初めて明らかにしただけでなく、植物における細胞周期や転写制御が、動物とは異なり基質親和性の異なる複数のCAKによって制御されていることを示唆した点においても価値があると考えられる。

第2章では、論文申請者はCAK複合体の制御サブユニットとして知られるサイクリンHを単離し(At;CycH;1)、シロイヌナズナのCAKとの相互作用について解析を行った。この因子は、ポプラやイネのサイクリンHとの相同性が高く、機能的にも類似したタンパク質であることが推測された。酵母のTwo-hybridの系を利用した結合解析および組み換えタンパク質を用いた活性測定を行った結果、At;CycH;1との相互作用がCAK2AtとCAK4Atの活性に大きく寄与していることを示した。対照的に、CAK1Atの示すAt;CycH;1非依存的なCDKに対する強いリン酸化活性は、CAK1Atが従来高等生物で単離されているCAKとの一次構造上の差異のみならず、機能的にも異なる因子であることを意味する。実際に、生化学的な解析結果でも、それぞれのCAKが基質特異性の異なる独立したタンパク質複合体をin vivoで形成しており、上述の作業仮説を裏付ける結果を示した。さらに申請者は、CAK1Atの免疫沈降物がCAK2AtとCAK4Atの活性に必要な特定残基を特異的にリン酸化することで、CAK1Atが動物のCAKと近縁なCAK2AtやCAK4Atの活性制御に深く関わっていることを明らかにした。またin vitroにおけるCAKAKアッセイの結果、CAK4AtのCTDキナーゼ活性がCAK1Atのリン酸化によって正に制御されることを示すと共に、分裂酵母のCAK温度感受性変異株を用いた相補性試験の結果から、CAK1Atが酵母内でCAKを活性化するCAK活性化キナーゼ(CAKAK)として機能していることを明らかにした。

本研究は、シロイヌナズナにおける複数個のCAKの生化学的役割の相違を示しただけでなく、複数の性質の異なるCAKがリン酸化を介したカスケードを形成し、植物細胞の分裂と分化の分子機構を柔軟に制御している可能性を強く示唆した点において非常に価値があると考えられる。

なお、本論文は内宮博文博士と梅田正明博士との共同研究であるが、論文提出者が主体となって解析および検証を行ったもので、論文提出者の寄与が十分であると判断し、ここに博士(理学)の学位の授与を認める。

UTokyo Repositoryリンク