学位論文要旨



No 122043
著者(漢字) 相馬,雅代
著者(英字)
著者(カナ) ソウマ,マサヨ
標題(和) ジュウシマツにおける母性効果およびヒナ間競争と発達
標題(洋) Maternal effect, sibling competition and the development of physical and sexual traits in a songbird, the Bengalese finch.
報告番号 122043
報告番号 甲22043
学位授与日 2007.03.22
学位種別 課程博士
学位種類 博士(学術)
学位記番号 博総合第720号
研究科 総合文化研究科
専攻 広域科学専攻
論文審査委員 主査: 東京大学 教授 長谷川,壽一
 東京大学 教授 繁桝,算男
 東京大学 助教授 村上,郁也
 東京大学 専任講師 星野,崇宏
 東京大学 助教授 松田,良一
内容要旨 要旨を表示する

 鳥類は生活史形質に著しい多様性を示し,中でも発達様式は,早成性から晩成性までの幅広いスペクトラムに分類される.晩成性の鳥種は,機能的に未分化な状態で孵化し,その後の短期間に急速な成長を遂げる.このため晩成性鳥では,発達期のコンディションが個体の適応度に関わる形質に与える影響が大きい.個体発生に関わる生態学的要因は数多くあるが,本論文においては,親の投資配分や子の成長戦略の進化に関連する主要因として,ヒナ間競争及び母性効果の双方に焦点をあて,その後の発達との関連を,行動生態学的見地から検討した.身体発達は成熟後の生存・繁殖能力と密接に結びついている一方,性的形質の発達も繁殖成功と深い関わりがある.また,特に鳴禽類においては,求愛歌の音響特性は歌学習を通じて発達期に獲得されることから,学習能力といういわば認知的形質の一部も,発達コンディションの影響下にあるのではないかと予測される.

 このような観点から本研究では,ヒナ間競争が身体形質・歌形質双方に与える影響を明らかにするとともに(研究1),多元的形質である歌形質間の関連についても検討を行った(研究2).また研究3では,研究1の知見をふまえ,身体発達に関わる要因として,母性効果とヒナ間競争の性差を検討した.さらに,体や嘴のサイズが発声の音響特性に与える影響についても検討することで,形態形質の発達が歌の音響構造に影響を与える可能性についても考察した(研究4).研究対象は,鳴禽類(晩成性鳥)に属するジュウシマツ(Lonchura striata var. domestica)である.

研究1.ヒナ間競争と身体形質・性的形質の発達

 鳴禽類のオスは,求愛歌を発達途中の臨界期に音声学習し,歌神経系の発達が生育コンディションの影響を受けやすいことから,歌がオスの質を示すシグナルとして機能している可能性が示唆されてきた(Nowicki et al. 1998).これまでの研究では,発達期の栄養制限やストレスホルモンの投与が,性成熟後の歌神経核サイズの減少につながることは確かめられてきたが(Nowicki et al. 2002, Buchanan et al. 2004),貧栄養やストレスホルモン濃度上昇を引き起こす生態学的な要因は明らかにされていない.そこで,そのような生態学的要因として巣内でのヒナ間競争に着目し,巣内ヒナ数およびヒナ性比と成熟後の身体形質・歌形質との関連を検討した.自然状態に近いフライトケージで飼育繁殖を行い,巣内ヒナ構成を記録した上で,成熟後の体サイズおよび歌形質(長さ・複雑さ)との関連を調べた.この結果,巣内ヒナ数が多くヒナ間競争が激しい場合,メスは殆ど影響を受けない一方,オスの体サイズは小さくなること,体サイズが小さいと歌の持続時間は短くなる傾向が認められた.さらに,巣内ヒナ数が多くかつオスの多い巣で育った個体は,歌の音素遷移の複雑さが低下する傾向がみられ,初期発達環境が歌学習能力に影響することを行動面から検証することができた.以上の結果から,ヒナ間競争は身体形質・性的形質(歌)の発達に影響を与えていることが示された.

研究2.多元的歌形質間の関係性

 鳥の歌は複合形質であり,配偶者選択の影響を受ける多面的な特性から成る.歌は,産出度に関連する形質と複雑さに関連する形質とに二分されるが,前者は,歌の持続時間・音圧など歌の量に関連し,主に身体コンディションに依拠する一方,後者は,歌の音素数や音素系列の複雑さなど,発声学習によって獲得される音響構造の複雑さと関連し,主に神経系の発達に依存すると考えられる.実際,研究1では,歌の長さは体サイズとの間に直接の関係がみられた一方,歌の複雑さにそのような影響はみられなかった.このように,両形質はその維持発現メカニズムにおいて区別されるが,歌行動全体は共通の発声器官に依ることから,形質間に何らかのトレード・オフが生じている可能性もある.そこで,産出度形質として持続時間と速度,複雑さ形質として音素数,線形性指数,エントロピーを測定し,これらの間の関係を検討した.この結果,5形質は全体にほぼ独立であることが示されたが,歌音素系列の線形性が低い(複雑である)ほど歌の持続時間は長くなるという相乗関係がある一方,音素数が多いほど歌の速度は低下するというトレード・オフが明らかになった.これまで,音素の周波数帯域の広さと歌の速度との間にはトレード・オフが生じることが知られてきたが(Podos et al. 2004),音素数が多様で周波数構造が複雑であることも,歌の速度低下に影響している可能性があり,発声制御面での制約が生じていることを示唆する.

研究3.母性効果およびヒナ間競争と身体発達の性差

 研究1で検討した以外のヒナ間競争に関わる要因として,卵順(孵化順)が挙げられる.ジュウシマツは多くの晩成性鳥同様に非斉一孵化種であるため,産卵順に孵化が進行し,同腹ヒナ間に日齢差が生ずる.一般に,後から孵化するヒナほど,サイズ・日齢の格差によりヒナ間競争に不利となる(Krebs 1999).また,研究1の結果からは,発達コンディションの影響の受けやすさに性差があることが示唆された.ジュウシマツの性的体サイズ二型(SSD)は鳥類一般の傾向とは逆転しており,メスの方が5%ほど大きい(Soma et al. 2005).多くの場合,大きい性の方が発達コンディションの影響を受けやすいが(Clutton-Brock et al. 1985),ジュウシマツでは逆にサイズの小さいオスの方が脆弱性を示した.この理由として,(1)母親からの卵への投資パターン(母性効果)の性差,(2)性特異的な成長パターン という2つの要因が考えられる.これらについて,非斉一孵化に起因するヒナ間競争の影響も含めて検討した.

(1) 母性効果の性差

 母親の投資の性特異的偏りには,卵順によって性比が偏る可能性と,卵順と性によって卵に質的・量的差異が生じている可能性とが考えられる.前者については,卵順によって性を産み分ける傾向は確認できなかった.しかし,性と卵順が卵重に与える影響を検討したところ,両者の交互作用がみとめられた.すなわち母親は,産卵順が遅いほど重い卵を産む傾向があった.この傾向はメス卵よりもオス卵でより顕著で,また全般に,メスよりオスで卵重が重かった.このことは,母親がヒナ間競争で不利になりやすい孵化順の遅い卵,脆弱な性であるオスの卵に多く投資し,ヒナの減少を回避しようとする戦略を反映すると考えられる.しかしこれらの結果から,オスの脆弱性を母性効果で説明することはできなかった.

(2) 成長パターンの性差

 性および卵順がヒナ間競争中での発達におよぼす影響を検討するため,里子実験によってヒナ間に実験的に日齢差をもうけることで,ヒナ間競争に有利な年長個体と不利な年少個体との身体発達(体重増加)を比較した.発達初期にヒナの性判定を行い,実験巣が全て両性とも2羽ずつ,各性年少・年長1羽ずつになるようヒナを配置した.各ヒナの体重増加をvon Bertalanffyの成長曲線にあてはめ,最終体重と成長速度に影響を与えている要因を分析した.この結果,成長速度には性と日齢差の影響が,最終体重には卵順・性・日齢差の影響がみられた.実験巣で年少群に割り当てられたヒナは成長速度の低減がみられ,特にメスにおいて顕著であった.しかし,最終体重は,年長群・年少群ともSSDを反映してメスの方が大きかった.つまり,不利なヒナ間競争下でのメスは成長速度の大幅な低減を示すが,成長期間を柔軟に長くとることで補完していたと考えられる.他方オスは,成長期間の可塑性が低いことが,発達ストレスに対する脆弱性の原因であることが示唆された.

研究4.形態形質が発声の音響特性に与える影響

 鳥の歌は形態形質からの制約を受けやすい.多くの種間比較研究において,嘴の形態が共鳴管の一部として発声の音響構造に与える影響が示されているほか,体サイズと発声周波数との関連も認められている.しかし,同様の影響について種内の個体差レベルまで確認できた研究は殆どない.この理由は,多くの種内研究が鳴禽類の歌を対象としており,歌は生得的な発声よりも音響特性が多様であるために,歌学習による影響が交絡要因となっている点にあると考えられる.そこで,形態形質が歌の音響構造に影響を与える可能性を探ることを目的として,学習性でない発声としてメスのコールを用い,体サイズと嘴サイズが発声の音響特性に与える影響を検討した.この結果,嘴サイズが大きいほど,短くトリルの速い発声になる傾向が示され,同一個体群内でも形態形質から由来する発声への制約が存在することが明らかとなった.このことは,オスにおける嘴の発達が歌の音響構造に影響している可能性を示唆する.

 以上のように本論文は,発達期のコンディション(ヒナ間競争)が晩成性鳥の成長に大きく影響し,個体の適応度と深く関わっていること,特に鳴禽類オスにおいては歌形質への影響が甚大であることを明らかにした.親鳥にとっては,可能な限り多くのヒナを育てる方が効率的であるものの,ヒナ間競争は負の影響を伴う.そこでジュウシマツの母親は,卵に対する投資量を偏らせることで,ヒナ間競争を緩和する繁殖戦略を進化させ,子の側では,体サイズがその後の生殖能力に大きく影響するメスにおいて,補完的かつ可塑的な成長戦略が進化したと考えられる.ジュウシマツが家禽種でありメスの生殖能力に人為淘汰が作用したこと,その結果,祖先種とSSDが逆転する程メスの体サイズが肥大したことを考えるならば,このような生活史形質の進化は家禽化による淘汰圧の変化に起因する可能性が高く,これは今後の検討で明らかにされるべき点のひとつである.

審査要旨 要旨を表示する

 鳥類は生活史に著しい多様性を示し,中でも発達様式は,孵化後すぐに親を追従できる早成性から孵化時のヒナが未熟な晩成性までの幅広いスペクトラムに分類される.晩成性の鳥種は,機能的に未分化な状態で孵化し,その後の短期間に急速な成長を遂げる.このため晩成性の鳥では,発達期の環境条件が個体の適応度に関わる形質に与える影響が大きい.個体発生に関わる生態学的要因は数多くあるが,本論文では,ヒナ間競争と母性効果に焦点をあて,その後の発達との関連を,行動生態学的観点から検討した.身体発達は成熟後の生存・繁殖能力と密接に結びついている一方,性的形質の発達も繁殖成功と深い関わりがある.特に鳴禽類においては,求愛歌の音響特性は歌学習を通じて発達期に獲得されることから,学習能力も発達コンディションの影響下にあるのではないかと予測される.

 そこで本研究では,晩成性鳴禽類に属するジュウシマツ(Lonchura striata var. domestica)を対象として、次のような研究を行った。

研究1.ヒナ間競争と身体形質・性的形質の発達

 鳴禽類のオスは,求愛歌を発達途中の臨界期に音声学習し,歌神経系の発達が生育コンディションの影響を受けやすいことから,歌がオスの質を示すシグナルとして機能している可能性が示唆されてきた.先行研究では,発達期の栄養制限やストレスホルモンの投与が,性成熟後の歌神経核サイズの減少につながることは報告されたが,貧栄養やストレスホルモン濃度上昇を引き起こす生態学的な要因は明らかにされていない.そこで,生態学的要因として巣内でのヒナ間競争に着目し,巣内ヒナ数およびヒナ性比と成熟後の身体形質・歌形質との関連を検討した.自然状態に近いフライトケージで飼育繁殖を行い,巣内ヒナ構成を記録した上で,成熟後の体サイズおよび歌形質(長さ・複雑さ)との関連を調べた.この結果,巣内ヒナ数が多くヒナ間競争が激しい場合,メスは殆ど影響を受けない一方,オスの体サイズは小さくなること,体サイズが小さいと歌の持続時間は短くなる傾向が認められた.さらに,巣内ヒナ数が多くかつオスの多い巣で育った個体は,歌の音素遷移の複雑さが低下する傾向がみられ,初期発達環境が歌学習能力に影響することを行動面から検証することができた.以上の結果から,ヒナ間競争は身体形質・性的形質(歌)の発達に影響を与えていることが示された.

研究2.多元的歌形質間の関係性

 鳥の歌は複合形質であり,配偶者選択の影響を受ける多面的な特性から成る.歌は,産出度に関連する形質と複雑さに関連する形質とに二分されるが,前者は,歌の持続時間・音圧など歌の量に関連し,主に身体コンディションに依存する一方,後者は,歌の音素数や音素系列の複雑さなど,発声学習によって獲得される音響構造の複雑さと関連し,主に神経系の発達に依存すると考えられる.両形質はその維持発現メカニズムにおいて区別されるが,歌行動全体は共通の発声器官に依ることから,形質間に何らかのトレード・オフが生じている可能性がある.そこで,産出度形質として持続時間と速度,複雑さ形質として音素数,線形性指数,エントロピーの5形質を測定し,これらの間の関係を検討した.この結果,5形質は、全体にほぼ独立であることが示されたが,歌音素系列の線形性が低い(複雑である)ほど歌の持続時間は長くなるという相乗関係がある一方,音素数が多いほど歌の速度は低下するというトレード・オフが明らかになった.これまで,音素の周波数帯域の広さと歌の速度との間にはトレード・オフが生じることが知られてきたが,音素数が多様で周波数構造が複雑であることも,歌の速度低下に影響している可能性があり,発声制御面での制約が生じていることが示唆された.

研究3.母性効果およびヒナ間競争と身体発達の性差

 研究1で検討した以外のヒナ間競争に関わる要因として,卵順(孵化順)が挙げられる.ジュウシマツは多くの晩成性鳥同様に非斉一孵化種であるため,産卵順に孵化が進行し,同腹ヒナ間に日齢差が生ずる.一般に,後から孵化するヒナほど,サイズ・日齢の格差によりヒナ間競争に不利となる.また,研究1の結果からは,発達コンディションの影響の受けやすさに性差があることが示唆された.ジュウシマツの性的体サイズ二型(SSD)は鳥類一般の傾向とは逆転しており,メスの方が5%ほど大きい.多くの場合,大きい性の方が発達コンディションの影響を受けやすいが,ジュウシマツでは逆にサイズの小さいオスの方が脆弱性を示した.この理由として,(1)母親からの卵への投資パターン(母性効果)の性差,(2)性特異的な成長パターン という2つの要因が考えられる.これらについて,非斉一孵化に起因するヒナ間競争の影響も含めて検討した.

(1) 母性効果の性差

 母親の投資の性特異的偏りには,卵順によって性比が偏る可能性と,卵順と性によって卵に質的・量的差異が生じている可能性とが考えられる.前者については,卵順によって性を産み分ける傾向は確認できなかった.しかし,卵順と性が卵重に与える影響を検討したところ,両者の交互作用がみとめられた.すなわち母親は,産卵順が遅いほど重い卵を産む傾向があった.この傾向はメス卵よりもオス卵でより顕著で,また全般に,メスよりオスで卵重が重かった.このことは,母親がヒナ間競争で不利になりやすい孵化順の遅い卵,脆弱な性であるオスの卵に多く投資し,ヒナの減少を回避しようとする戦略を反映していると考えられた.しかし、これらの結果から,オスの脆弱性を母性効果で説明することはできなかった.

(2) 成長パターンの性差

 性および卵順がヒナ間競争中での発達におよぼす影響を検討するため,里子実験によってヒナ間に実験的に日齢差をもうけることで,ヒナ間競争に有利な年長個体と不利な年少個体との身体発達(体重増加)を比較した.発達初期にヒナの性判定を行い,実験巣が全て両性とも2羽ずつ,各性年少・年長1羽ずつになるようヒナを配置した.各ヒナの体重増加をvon Bertalanffyの成長曲線にあてはめ,最終体重と成長速度に影響を与えている要因を分析した.この結果,成長速度には性と日齢差の影響が,最終体重には卵順・性・日齢差の影響がみられた.実験巣で年少群に割り当てられたヒナは成長速度の低減がみられ,特にメスにおいて顕著であった.しかし,最終体重は,年長群・年少群ともSSDを反映してメスの方が大きかった.つまり,不利なヒナ間競争下でのメスは成長速度の大幅な低減を示すが,成長期間を柔軟に長くとることで補完していたと考えられる.他方オスは,成長期間の可塑性が低いことが,発達ストレスに対する脆弱性の原因であることが示唆された.

研究4.形態形質が発声の音響特性に与える影響

 鳥の歌は形態形質からの制約を受けやすい.多くの種間比較研究において,嘴の形態が共鳴管の一部として発声の音響構造に与える影響が示されているほか,体サイズと発声周波数との関連も認められている.しかし,同様の影響について種内の個体差レベルまで確認できた研究は殆どない.この理由は,多くの種内研究が鳴禽類の歌を対象としており,歌は生得的な発声よりも音響特性が多様であるために,歌学習による影響が交絡要因となっている点にあると考えられる.そこで,学習性でない発声としてメスのコールを用い,体サイズと嘴サイズが発声の音響特性に与える影響を検討した.この結果,嘴サイズが大きいほど,短くトリルの速い発声になる傾向が示され,同一個体群内でも形態形質から由来する発声への制約が存在することが明らかとなった.このことは,オスにおける嘴の発達が歌の音響構造に影響している可能性を示唆する.

 以上のように本論文は,発達期のコンディション(ヒナ間競争)が晩成性鳥の成長に大きく影響し,個体の適応度と深く関わっていること,特に鳴禽類オスにおいては歌形質への影響が大きいことを明らかにした.親鳥にとっては,可能な限り多くのヒナを育てる方が効率的であるものの,ヒナ間競争は負の影響を伴う.そこでジュウシマツの母親は,卵に対する投資量を偏らせることで,ヒナ間競争を緩和する繁殖戦略を進化させ,子の側では,体サイズがその後の生殖能力に大きく影響するメスにおいて,補完的かつ可塑的な成長戦略が進化したと考えられた.

 本研究の意義は、鳥の発達期のコンディションがその後の適応度や繁殖成功に関連する形質の成長にどのように影響するか、また母性効果がヒナの成長にどのような影響を及ぼすかについて、複合的な要因を一つずつ丁寧に解きほぐした点にあり、鳥類の発達研究に寄与するところが大きい。とくに歌学習の獲得における発達ストレスの生態学的要因に関する研究としては初めてのものである評価できる。上に要約した一連の研究は、すでに3編の英文論文として受理、発表されている。また、国際学会もすでに数多く行い、その成果は国際的に認知されて、論文引用もされ始めている。

 これらの成果により、本論文は、東京大学総合文化研究科課程博士(学術)の学位請求論文として合格であると、審査委員が全員一致で判定した。

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